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■元麻布春男の週刊PCホットライン■
メインメモリが買いにくくなった理由【ベンチマーク編】
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●実際にテストしてみる
Intel 875PやIntel 865G/PE/Pチップセットでは、メインメモリに用いるDIMMの種類やインストール方法によって性能が変わるという。ならば、それを確かめてみようではないか。そう思って、4種類各2枚のメモリを用意して、実験してみることにした。表1が今回用いたPC3200 DIMMのスペック、表2がテストに用いたハードウェアである。
【表1:今回用いたPC3200 (DDR400) DIMM (各2枚使用)】
DIMM種別(呼称) |
DIMMメーカー |
型番 |
容量 |
CAS Latency |
チップ構成 |
Samsung512 |
Samsung Electronics |
M368L6423DTM-CCC |
512MB |
CL=3(3-3-3) |
32Mbit×8bit×16(両面) |
Samsung256 |
Samsung Electronics |
M368L3223DTM-CC4 |
256MB |
CL=3(3-4-4) |
32Mbit×8bit×8(片面) |
Crucial |
Micron Technology |
CT3264Z40B.8T *1 |
256MB |
CL=3(3-3-3) |
32Mbit×8bit×8(片面) |
KingMax |
KigMax Semiconductor |
MPXB62D-68KX3 |
256MB |
CL=2.5(2.5-3-3) |
16Mbit×8bit×16(両面) |
*1 販売元であるCrucial Technologyの型番で、Micron TechnologyのMT8VDDT3264AG-40BC4相当
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Samsung512 |
Samsung256 |
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|
Crucial |
KingMax |
【表2:テストに用いたハードウェア】
マザーボード |
Intel D865GBF |
BIOS |
P07 |
CPU |
Pentium 4 3GHz |
ビデオ機能 |
内蔵(16MB割り当て) |
OS |
Windows XP SP1 |
画面解像度 |
1,024x768ドット(32bit) |
表1の4種のうち、Samsung512とKingMaxが両面DIMMで、Samsung256とCrucialが片面DIMMだ。テストに際して内蔵グラフィックスを用いたのは、メインメモリをフレームバッファに用いる内蔵グラフィックスを利用した方が、メモリによる性能差が現れやすいからだ。言い換えると、外付けAGPビデオカードを利用するユーザーにとって、メインメモリやその組み合わせによる性能差は、今回のテストよりはるかに小さくなると考えられる、ということである。
なお、Samsungの256MB DIMMがCrucialよりアクセスタイミングが遅い(Crucialの3-3-3に対し3-4-4)のは、たまたま今回用いたモジュールがそういうスペックのものであるというだけで、SamsungにもCrucialと同じアクセスタイミングのモジュールが存在する。
●DIMM 1枚使用時
まず表3に示したのは、今回用いた4種のDIMMをそれぞれ1枚づつインストールした場合の性能だ。その結果は表1に示したスペック通りで、唯一CL=2.5のアクセスタイミングをサポートしたKingMax(構成4)が最も高い性能(メモリ帯域)を示した。が、CL=3であっても512MB DIMMであるSamsung512の性能はKingMaxに肉薄している。アクセスタイミングを考えれば、Samsung256の性能が悪いのはやむをえないところだろう。
【表3:今回用いた4種のDIMMの基本性能 (DIMM 1枚インストール時)】
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構成1 |
構成2 |
構成3 |
構成4 |
DIMM数 |
1本 |
1本 |
1本 |
1本 |
ChannelA Slot1 |
Samsung512 |
Samsung256 |
Crucial |
KingMax |
ChannelA Slot2 |
空き |
空き |
空き |
空き |
ChannelB Slot1 |
空き |
空き |
空き |
空き |
ChannelB Slot2 |
空き |
空き |
空き |
空き |
Memory Channel Mode |
シングル |
シングル |
シングル |
シングル |
Dynamic Paging Mode |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes |
メモリ実装量計 |
512MB |
256MB |
256MB |
256MB |
3DMark 2001 SE |
2,332 |
2,059 |
2,231 |
2,336 |
PCMark 2002 Memory |
6,261 |
5,923 |
6,085 |
6,283 |
●同一ベンダのDIMM 2枚使用時
次に表4だが、同じベンダ製の同一の256MB DIMMを2枚使った場合のテスト結果だ。明らかなのは、どのベンダのDIMMであってもデュアルチャンネルモードを利用した場合の性能が高い、ということだ(同じモジュールであるため、自動的にダイナミックページングモードも有効になる)。ただし、KingMaxのデュアルチャンネルモードは、BIOSによる自動設定(アクセスタイミングはスペック通りの2.5-3-3)では動作が不安定で、3DMark 2001のスコアを得ることができなかった。そこでメモリのアクセスを遅くしたところ、3-4-4の設定で3DMark 2001がきちんと動作した。同じ構成でも外部AGPビデオカードを利用すると、問題なく3DMark 2001を実行できることから考えて、グラフィックスコアからのアクセスに対して問題があるようだ。
【表4:同一の256MB DIMMを2枚さした場合の性能】
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構成5 |
構成6 *2 |
構成7 |
構成8 |
構成9 *2 |
構成10 |
構成11 |
構成12 *2 |
DIMM数 |
2本 |
2本 |
2本 |
2本 |
2本 |
2本 |
2本 *5 |
2本 |
ChannelA Slot1 |
Crucial |
Crucial |
Crucial |
Samsung256 |
Samsung256 |
KingMax |
KingMax |
KingMax |
ChannelA Slot2 |
空き |
Crucial |
空き |
空き |
Samsung256 |
空き |
空き |
KingMax |
ChannelB Slot1 |
Crucial |
空き |
空き |
Samsung256 |
空き |
KingMax |
KingMax |
空き |
ChannelB Slot2 |
空き |
空き |
Crucial |
空き |
空き |
空き |
空き |
空き |
Memory Channel Mode |
デュアル |
シングル |
シングル |
デュアル |
シングル |
デュアル |
デュアル |
シングル |
Dynamic Paging Mode |
Yes |
Yes |
Yes *3 |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes |
メモリ実装量計 |
512MB |
512MB |
512MB |
512MB |
512MB |
512MB |
512MB |
512MB |
3DMark 2001 SE |
2,777 |
2,323 |
2,326 |
2,571 |
2,174 |
N/A *4 |
2,718 |
2,440 |
PCMark 2002 Memory |
7,117 |
6,269 |
6,166 |
6,881 |
6,128 |
7,654 |
7,260 |
6,325 |
*2 このメモリ構成では初回起動時BIOSによりエラーメッセージ(メモリの構成が最適でない)が出る
*3 D865GBFのマニュアルによるとDynamic Paging Modeにならないハズなのだが、BIOSはDynamic Pagin Modeであると表示し、テスト結果もそのように思われる
*4 エラーメッセージも出さず途中でプログラムが落ちる(外部AGPでは動作)
*5 BIOSセットアップにてマニュアルでアクセスタイミングを3-4-4に設定(3-3-3ではなぜかダメ)
実は、今回用いたものより1つ前のリビジョンのBIOS(P06)では、外部AGPビデオカードを用いても3DMark 2001を完了させることができなかった。それを考えると、今後のBIOSのバージョンアップで問題が解決する可能性はある。と同時に、異なるベンダのマザーボード(つまりはBIOSが異なる)では、KingMaxによるデュアルチャネル構成が動作する可能性がある、ということでもある。
さて表4でもう1つわかったのは、非対称にメモリをインストールした構成7でも、ダイナミックページングモードが有効になったことだ(BIOSのメッセージ的にも、得られたスコアからもダイナミックページングモードは有効だと考えられる)。同じチャネル内のメモリが同一、という条件を満たしているのだから、有効になっても不思議ではないのだが、D865GBFのマニュアルではダイナミックページングモードが無効になる例として、この実装例が挙げられている。Intel内部でも混乱(勘違い)があったのかもしれない。構成7のテストで、構成6のパターン(片側のチャネルにのみ2枚のDIMMをインストール)と変わらない、ということがわかったので、Samsung256とKingMaxについて構成7と同じ構成のテストは省略した。実際には、起動時にBIOSがメモリの構成が最適でないという警告を発してくれるため、構成6のパターンが使われることはないハズではある。
●異なるベンダのDIMM 2枚使用時
いよいよ表5は異なるメーカー製の256MB DIMMを2枚利用した場合のスコアだ。上述したようにKingMaxは16チップを搭載した両面DIMMであり、明らかにほかの2種(Samsung256、Crucial)とは異なるモジュールである。一方、Samsung256とCrucialはアクセスタイミングこそ異なるものの、Intelの定義によると「同じ」メモリモジュールだと考えられる。表5の結果は、これを裏付けるものとなった。CrucialとSamsung256を対称にインストールした構成13は、問題なくデュアルチャネルモードが利用可能だったのに対し、CrucialとKingMaxを対称にインストールした構成14、同じくKingMaxとSamsung256による構成15は、いずれもシングルモードとなった。しかも、シングルモード(メモリチャネルは仮想的に1つの64bitチャネルとなっている)でチャネル内のメモリが同一でないため、ダイナミックページングモードの利用もできず、スコアは非常に低くなってしまった。
【表5:異なるメーカー製256MB DIMMによる組み合わせ】
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構成13 |
構成14 |
構成15 |
構成16 *2 |
構成17 |
構成18 |
DIMM数 |
2本 |
2本 |
2本 |
2本 |
2本 |
2本 |
ChannelA Slot1 |
Crucial |
Crucial |
KingMax |
Crucial |
Crucial |
KingMax |
ChannelA Slot2 |
空き |
空き |
空き |
Samsung256 |
KingMax |
Samsung256 |
ChannelB Slot1 |
Samsung256 |
KingMax |
Samsung256 |
空き |
空き |
空き |
ChannelB Slot2 |
空き |
空き |
空き |
空き |
空き |
空き |
Memory Channel Mode |
デュアル |
シングル |
シングル |
シングル |
シングル |
シングル |
Dynamic Paging Mode |
Yes |
No |
No |
Yes |
No |
No |
メモリ実装量計 |
512MB |
512MB |
512MB |
512MB |
512MB |
512MB |
3DMark 2001 SE |
2,573 |
2,023 |
2,019 |
2,182 |
1,966 |
1,941 |
PCMark 2002 Memory |
6,881 |
5,373 |
5,344 |
6,132 |
5,371 |
5,338 |
*2 このメモリ構成では初回起動時BIOSによりエラーメッセージ(メモリの構成が最適でない)が出る
構成16から構成18は片側のメモリチャネルに異なるメモリを実装したもの。最初からシングルチャネルモードにしかなりようのない構成だが、構成16で表4の構成6などと同じ警告メッセージが出たのに対し、構成17と構成18ではそのメッセージが出なかった。やはりメモリコントローラにとって、CrucialとSamsung256は同じメモリ、KingMaxだけが異質なメモリと認識されているようだ。構成13のスコアが構成8と、構成16のスコアが構成9と、それぞれほぼ一致していることも、その証拠といえるだろう(構成13と構成16において、CrucialはSamsung256と等価なメモリになっている)。
●1GB実装テスト
表6は1GBのメモリを実装する組み合わせのテストだ。表5の結果によりCrucialとSamsung256は同じメモリだと考えられるので、一部の組み合わせ(Samsung256とKingMax)は省略した。比較のために、512MB DIMMであるSamsung512による1GBメモリ実装例についてもテストしてみたが、性能的に優れていることが見て取れる。もちろんデュアルチャネルモードにした方が良いのは言うまでもない。構成19から構成22は256MB DIMMを4枚使ったもので、これまでのテストから予想できる通りの結果となっているが、同じメモリを同じ数だけ使っても構成19と構成22で3DMark 2001の性能差が35%もあるのに改めて驚かされる。
【表6:1GBメモリ実装時の組み合わせ】
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構成19 |
構成20 |
構成21 |
構成22 |
構成23 |
構成24 |
DIMM数 |
4本 |
4本 |
4本 |
4本 |
2本 |
2本 |
ChannelA Slot1 |
Crucial |
Crucial |
Crucial |
Crucial |
Samsung512 |
Samsung512 |
ChannelA Slot2 |
KingMax |
Samsung256 |
Crucial |
Crucial |
空き |
Samsung512 |
ChannelB Slot1 |
Crucial |
Crucial |
Samsung256 |
KingMax |
Samsung512 |
空き |
ChannelB Slot2 |
KingMax |
Samsung256 |
Samsung256 |
KingMax |
空き |
空き |
Memory Channel Mode |
デュアル |
デュアル |
デュアル |
シングル |
デュアル |
シングル |
Dynamic Paging Mode |
No |
Yes |
Yes |
No |
Yes |
Yes |
メモリ実装量計 |
1GB |
1GB |
1GB |
1GB |
1GB |
1GB |
3DMark 2001 SE |
2,557 |
2,707 |
2,696 |
2,004 |
2,877 |
2,416 |
PCMark 2002 Memory |
6,272 |
7,261 |
7,281 |
5,480 |
7,390 |
6,299 |
また、対称にインストールすることで異なるメモリモジュールであってもデュアルチャネルモードが実現できた構成19だが、ダイナミックページングモードをサポートした構成20にはかなわない。すなわち、1枚、あるいは2枚では高速なKingMaxであっても、異なるメモリとの組み合わせを前提にすると、必ずしもベストな選択ではなくなる、ということだ。
現在、256MB DIMMはすでに主流が片面タイプになりつつある。ビットクロスを考えると、将来的に両面タイプの256MB DIMMを見つけるのは難しくなっていくだろう。将来、256MB DIMMを追加して1GBまでメモリを増設すると考えると、高速なものの両面タイプのKingMaxより、遅くても片面DIMMであるSamsung256の方が良い選択かもしれない。しかし、将来増設するのが512MB DIMMだと断言できるのであれば(トータルでメモリの実装量は1.5GBになる)、しょせん256MB DIMMとは同じにはならないのだから、最初に買うメモリが片面の256MB DIMMだろうと両面の256MB DIMMだろうと、同じだと考えられる。
●増設シナリオを意識したミックス環境でのテスト
最後の表7は、この増設シナリオを意識して512MB DIMMと256MB DIMMのミックスを試してみた。すべての構成が、ダイナミックページングモードなしのデュアルチャネル動作という結果になっている。Intelは、複数のアクセスタイミングのメモリが混在した場合、最も遅いメモリにタイミングが揃えられるといっており、構成25は3-3-3(どちらのモジュールも同じ)、構成26はSamsung256の3-4-4、構成27はSamsung512の3-3-3になるハズで、構成25と構成27がほぼ同じ性能、構成26が若干遅い、という結果になるハズなのだが、実際には構成27が最も遅くなっている。その理由はハッキリしないが、構成10が動作しないなど、現行のD865GBFのBIOSとKingMaxには、何らかの問題(いわゆる相性問題)があるとも考えられる。
【表7:今回用いたメモリによる最大容量(1.5GB)の組み合わせ】
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構成25 |
構成26 |
構成27 |
DIMM数 |
4本 |
4本 |
4本 |
ChannelA Slot1 |
Samsung512 |
Samsung512 |
Samsung512 |
ChannelA Slot2 |
Crucial |
Samsung256 |
KingMax |
ChannelB Slot1 |
Samsung512 |
Samsung512 |
Samsung512 |
ChannelB Slot2 |
Crucial |
Samsung256 |
KingMax |
Memory Channel Mode |
デュアル |
デュアル |
デュアル |
Dynamic Paging Mode |
No |
No |
No |
メモリ実装量計 |
1.5GB |
1.5GB |
1.5GB |
3DMark 2001 SE |
2,883 |
2,668 |
2,553 |
PCMark 2002 Memory |
7,002 |
6,891 |
6,667 |
考察編に続く。
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(2003年6月12日)
[Text by 元麻布春男]
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