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MBOにより、インテュイットから弥生へ
~新生“弥生”が中期計画を発表

弥生の製品ラインナップ

4月14日発表

●MBOにより、インテュイットから“弥生”へ

 4月1日付けで、インテュイットから社名を変更した会計ソフトメーカーの弥生株式会社が14日、社名変更後、初の記者会見を行ない、同社の事業戦略などについて明らかにした。

代表取締役社長 平松庚三氏
 同社は、米Intuitから、MBO(management buy out:経営執行者による資産買い取り)によって完全に分離独立。平松庚三社長をはじめとする経営陣および従業員はそのままに、日本市場に根ざした事業展開を進める。また、MBOの際にファンド出資した株式会社アドバンテッジパートナーズから非常勤取締役が加わり、経営に参画している。

 冒頭、平松社長は、「今回のMBOは、当社、米Intuit、アドバンテッジパートナーズの3社が、ウィン-ウィン-ウィンの関係になれるもの」と前置きし、「当社にとっては、念願であった100%日本固有の会社となれること、日本の市場に特化したオペレーションができるようになること、そして、アドバンテッジパートナーズのマネジメントテクノロジーの導入などによってIPOにも近くなる。また、弥生という製品名を社名にすることは認知度を高めるという点でも、大変なアドバンテージが出る」とした。

 同社では、定期的にブランディングの調査を行なっているが、従業員30人以下の中小企業の経営者に対するアンケートでは、インテュイットの認知度は6.8%。それに対して弥生会計では48%に達しており、これも製品名を社名にした理由の1つだとしている。

 一方、アドバンテッジテクノロジーズにとっては、「中小企業市場に対して、安定的な需要とポジションを確保している点を評価している。優良案件に出会えた」(同社 リチャード・エル・フォルソム氏)としたほか、「米Intuitにとっては、リソースを米国内向けに集中できること、日本におけるキャピタルゲインを獲得したメリットがあった」(平松社長)とした。

 弥生は、中小企業向けの会計パッケージソフトとして、パソコンショップ店頭では、本数ベースで34%、金額ベースでは49%のシェアを誇るソフト。平松社長によると、「前年に比べて、金額ベースで4ポイント、本数ベースでは5ポイント上昇した。業界全体としては22%という高い成長率となっており、そのうちの9%を当社が昨年投入した低価格製品の『やよいの青色申告』が貢献したと分析している」と好調ぶりを示した。


●顧客管理、ERP、業種対応にも製品群を拡大

弥生中長期製品戦略
 同社では、今後の事業計画として、これまでの「会計」、「給与」、「販売」、「青色申告」の各業務ソフトに加えて、新たな製品群を投入する計画を明らかにした。

 社内で「MARCHプロジェクト」と呼称していた会計事務所向けソリューションを今年8月に投入するとともに、次期製品となる04シリーズにおいて、新たに「顧客管理」を追加投入する。顧客管理については、量販店向けのパッケージ製品としてパソコンショップを通じて流通させる。

 また、中長期的な製品計画として、業種対応および中小企業向けのERP製品の投入を予定していることを初めて明かした。

 「これまではあらゆる業種に対応できるように、製品の柔軟性、拡張性を重視してきたが、中小企業において、より業務効率を高めていくという意味で業種対応を図っていく。また、販売管理、給与管理、会計ソフトのデータの統合やリアルタイム連携を図ると、自然とERPの雛形ができる。これをベースに近い将来には、中小企業向けのERP製品を投入していきたい」(弥生 秦宇暉執行役員)と話す。

MARCHプロジェクトのコンセプト MARCHソフトウェアの概要


●MARCHプロジェクトも製品化

 会計事務所および会計事務所の顧問先向けのソリューション「MARCHプロジェクト」も、いよいよ現実的なものとして製品の概要および出荷スケジュールが発表された。

 弥生は、中小企業向けのパッケージソフトに特化してきたが、その一方で、何らかの形で弥生を利用しているという会計事務所が全国で5,000事務所に広がっていること、さらに、同社から会計事務所向けに実施しているサービスプログラム「弥生PAP」の参加会計事務所が2,000会員弱に達していることなど、会計事務所からの需要が高まってきたことで、昨年来、会計事務所向けの製品製品の開発表明を行なっていた。

 今回の発表では、MARCHソフトウェアを会計事務所向けの「弥生会計AE(Accountant Edition)」と、顧問先向けの「弥生会計CE(Client Edition)」を正式名称として、2種類の製品として発売することを明らかにした。

 開発表明段階で、「MARCH T」の名称で呼ばれていた税務申告書作成ソフトは、AEのなかに包含されることになった。

 また、サービス体系であるMARCHサービスも、基本ソフトサービス、オプショナルサポートサービスなど、会計事務所および顧問先の双方に役立つサービスを提供。経営コンサルティング支援を軸に税務情報提供やIT支援の強化などを提供していくという。

 なお、製品発売までのスケジュールは、4月2日からすでに外部βテスターの募集を開始しており、βテストを5月上旬からスタート。βテスト終了後、8月に製品発売の予定。さらに、11月には、固定資産管理機能、勘定科目内訳書作成機能などの機能強化を図る。通常の弥生パッケージのように、年1回の機能強化ではなく、随時強化していく予定。

□弥生のホームページ
http://www.yayoi-kk.co.jp/
□アドバンテッジパートナーズのホームページ
http://www.advantagegroup.co.jp/
□弥生への出資に関する情報
http://www.advantagegroup.co.jp/companies/k.html
米Intuitのホームページ(英文)
http://www.intuit.com/

(2003年4月14日)

[Reported by 大河原克行]


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