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NECもパソコン出荷計画を下方修正
~第3四半期決算は、収益面での回復進む

松本滋夫取締役専務

1月30日発表

2003年第3四半期実績
 NECは30日、2002年度第3四半期連結決算を発表した。

 売上高は、前年同期比5%減の1兆682億円、営業利益は232億円、当期純利益はマイナス45億円となった。売上高については、昨年10月に発表した計画には未達となったが、原価低減措置などの効果によって営業利益が大幅に回復。当期純利益も赤字となったものの、当初計画を上回る形で推移している。

 松本滋夫取締役専務は、「デフレ環境下においても利益を確保できる経営体質への改革を進めてきており、その成果が出てきた」と話す。

セグメント別売上高 セグメント別営業損益

NECソリューションズの状況
 原価低減では、NECソリューションズがパソコン完成品の中国調達や、欧州の子会社であるNECCIとパソコン部材の共同購買を推進した効果などによって、13%の資材費削減を実現。NECネットワークスでは20%、エレクトロンデバイスでは14%の削減を通期で見込んでいる。

 だが、今年度通期の売上高については、当初計画を下方修正、前年比8%減となる4兆6,800億円とした。営業利益、当期純利益に関しては、それぞれ1,000億円、100億円と当初計画通り。「バランスシートの本格的な改善には遠い。まずは今年度の目標を達成して投資家の信用回復を図りたい」と手綱を引き締めた。

 部門別では、NECソリューションズが、売上高で4,767億円と前年同期比約5%減となったものの、営業利益は229%増の188億円。SIサービス/サポートが利益を支えた。通期に関しては、2兆1,000億円と前年比5%減を見込むが、営業利益は1,000億円、前年比33%増を見込む。

 NECソリューションズのなかで業績回復の鍵を握っているのが、パソコン事業だ。パソコンを含むパーソナルプロダクトは、第3四半期は前年同期比3%減の1,802億円となったが、収益では、「ほぼブレイクイーブンのところまできた」と、あと一歩で黒字転換を図れる段階となった。

 第4四半期についても、同様の推移を見せるものと読んでおり、「これにより、下期はブレイクイーブン。上期の百数十億円のマイナス分を足しても、通期では百数十億円のマイナスに留まる。来年度は、採算線以上に乗れば、NECソリューションズのハード事業においても利益が残る」とした。

 なお、同社では、今年度の国内向けパソコンの出荷計画を下方修正した。当初計画では、前年並みの年間280万台としていたが、修正値は前年比5%減の265万台。上期は前年同期比9%減の129万台、第3四半期は3%減の56万台となっており、第4四半期は前年並みの80万台を計画している。

 一方、NECネットワークスは、第3四半期の売上高は前年同期比20%減の3,379億円、営業利益は74億円と前年同期の5億円から大きく改善した。通期の見通しについても、売上高は前年比18%減の1兆6,000億円と落ち込むものの、営業利益は300億円を確保できる計画を示した。

 通信キャリアの設備投資が抑制されていることが大きな要因だが、その一方で、カメラ付きケータイの成長や、NTTドコモの第3世代携帯電話のインフラ拡大に伴うネットワークインフラ案件などが期待できるという。

 なお、松本滋夫取締役専務は、昨日発表したNTTドコモ向けのN504iSの不具合発生に関しても言及した。

 松本専務は、「現在対応に全力をあげている段階であり、新品用に確保していた部材を補修用に回して対応している。出荷が一時的に停止しているが、どれぐらいの影響がでるのかは、一にも二にも、必要な部材をいかに早く揃えることができるかどうかにかかっている。とにかく部材を積み上げる努力を組織をあげて行なっている。2月はそれなりの影響があるだろうが、3月には影響をミニマイズしたい。業績に対する影響は現時点ではわからない。業績修正を要する事態になれば遅滞なくお話ししたい」とした。

 補修に関わる費用については明言を避けたが、「直感的には一部報道にあるような線になるだろう」として、20~30億円程度になることを臭わせた。同社では、携帯電話の出荷計画として、前年同期比25%減となる940万台前後の計画を立てているが、現段階では下方修正は発表していない。

 なお、同社の携帯電話の出荷実績は、第1四半期が180万台(前年同期比53%減)、第2四半期が200万台(同47%減)と大幅な落ち込みを見せていたが、第3四半期は、ドコモ向けのカメラ付きケータイの発売などによって、270万台(同10%減)と前年割れながらも回復基調に転じていた。今回の84万台にのぼる製品の不具合は、同社の年間出荷計画にも大きな影響を与えそうだ。

エレクトロンデバイス事業の状況(営業損益)
 一方、エレクトロンデバイス事業は、第3四半期の売上高が前年同期比16.7%増の2,290億円と増収になったものの、営業損益はマイナス3億円の赤字。通期の見通しも、売上高は8%増の9,100億円とするものの、通期では100億円の赤字となる見通しへと修正した。

 半導体は計画通りに回復しているものの、PDP新ラインの立ち上げの遅れなどの影響が出たディスプレイ事業が苦戦したのが原因だという。なお、液晶の新会社として、NEC液晶テクノロジーを4月1日付けで設立することを明らかにした。

 社長にはNEC執行役員兼ディスプレイ事業部長の奥野和雄氏が就任。カラー液晶ディスプレイなどの映像表示装置の開発、設計、製造、販売、保守を行なう。資本金は20億円。事業規模は約600億円、従業員数は約280人の予定。

□NECのホームページ
http://www.nec.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0301/3001.html
□関連記事
【1月20日】NEC、突然の社長交代を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0120/nec.htm
【2002年5月16日】NEC、リストラを推進、半導体事業も分社化
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0516/nec.htm
【1月29日】ドコモの「N504iS」、本体内部で発熱の不具合(ケータイ)
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/0,,12507,00.html

(2003年1月30日)

[Reported by 大河原克行]


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