■イヤホンマイクを使いたいのだが どうも筆者は、騒音の多いところで電話を使うのが苦手である。携帯電話以前は、外で電話をかけるときにはかならず、電話ボックスを使い、店先などに置いてある公衆電話は使わないようにしていた。 しかし、携帯電話でこれも不可能になった。もちろん、自分からかけるときには、静かなところへ行けばいいのだが、かかってきた電話はそうもいかない。本当は電話を受けるのにイヤホンマイクを使いたいのだが、携帯電話がひも付きになってしまって取り扱いが不便になる。また、常にイヤホンマイクを耳に着けておくほどの着信頻度もない。 そんなとき米国で見つけたワイヤレスヘッドセットをちょっと使ってみたのだが、これがまるでだめ。というのは、待機状態で数時間しか電池が持たないのである。製品には、500円玉大の充電可能なリチウムイオン電池が付属していて、携帯電話側のアダプタとヘッドセットでこれを利用する。これを毎日充電しなければならないのである。携帯電話の充電でさえときどき忘れて、ポケットに入れっぱなしになってしまう筆者が、毎日ヘッドセットから電池を出して、充電器に装着するといった作業ができるはずがない。というわけで、この製品は、すぐにお蔵入りとなった。 ■海外用にGSM携帯を買った そうこうしているうちに、海外取材のときに使う携帯電話をGSMにした。これは、J-PhoneのW-CDMAでのローミングサービスをあてにして、先に端末だけ購入したのである。ただし、GSMは海外でのみ利用可能なので、契約は毎月の基本料金が不要なモベルコミュニケーションズのものを使っている。 端末は、手持ちのPalmなどでちゃんと制御できるように、Bluetooth対応のものを選ぶことにした。選んだのは、Bluetooth携帯では一般的なエリクソン(現ソニー・エリクソン)のT39mM(正確にはその中国語圏向け版のT39mc。この機種、漢字が表示できる)である。これは、PalmやPocketPCからインターネットアクセスでもするときに、Bluetoothだと便利だろうと思ったからである。ケーブル接続やIrDA接続は、一見問題なさそうだが、外出先で立ったまま、移動しつつあるときに使うのは結構不便なのである。 海外のBluetooth対応携帯電話はほぼ例外なく、Bluetoothヘッドセットに対応している。Bluetoothの役目の半分は、携帯電話とヘッドセットの接続のためでもあるのだ。 しかし、純正品のBluetoothヘッドセットは200ドル近くする。たかがヘッドセットに2万円以上とは恐れ入る。というわけで、純正品は諦めていたところ、昨年耳よりな情報を得た。海外では、安いサードパーティのBluetoothヘッドセットが入手可能だというのである。そこでインターネットで調べてみると、PlantronicsやJabraが製品を出荷しているという。特にJabraは、耳にフィットするイヤホンマイクなどで有名な、米国の専門メーカーである。 ■買ったのは、非Bluetooth端末用 CES取材で訪れたラスベガスのFry's Electoronicsには、Plantronicsのものと、Jabraのものの2つがあった。価格的には、Jabra社のものが最も安かった。PlantronicsのM1000は、ヘッドセットだけで149.95ドル。アダプタ付きは199.99ドルだった。 JabraのBluetoothヘッドセットBT200は、3種類の製品が出ている。1つはヘッドセットのみ(充電用ホルダとACアダプタは付属する)のもの、残りは非Bluetooth対応端末のイヤホンマイク端子に接続してヘッドセットとBluetoothで接続するアダプタが付属したもので、ノキア用(ノキア-2.5φの変換アダプタ付き)と汎用(2.5φのプラグ)である。ちなみに、米国で使われている2.5φの携帯電話イヤホンマイク端子と日本国内で使われているイヤホンマイク端子は同じものである。 どうして非Bluetooth用を買ったのかというと、ヘッドセットのみで99.99ドル、アダプタ付きでも149.99ドルと50ドルしか違わなかったことと、他の端末でもためしてみたかったからである。 BT200は、2時間の充電でスタンバイ時間が100時間、通話時間が4時間ととなっている。充電量半分でもスタンバイ50時間、通話時間2時間となるので、1日2日ぐらいは充電し忘れてもその日1日ぐらいは十分持つ。 ■青いLEDがステキ このBT200、アダプタ、ヘッドセットともに青いLEDが付いていて、スタンバイ時には、3秒に1回点滅する。またアダプタは、ヘッドセットの充電器とホルダを兼ねていて、ベルトクリップが付けられる。このアダプタをケーブルで携帯電話に装着しておくのだが、ここにヘッドセットを付けるとアダプタ自体の電源は自動的にオフになり、ヘッドセットを取り出すと自動的にオンになる。 ヘッドセットには3つのボタンがあって、そのうち2つはボリューム調整用、残り1つで電源オンオフ、ペアリングモードへの移行、スタンバイモードのオンオフを行なう。軽く押して離せばスタンバイモードのオン/オフ、3秒程度押し続けることで電源のオン/オフが行なえ、7秒以上押し続けるとペアリングモードへ移行する。ペアリングとは、Bluetoothで接続先を決めるための作業である。Bluetoothは無線なので、そのままだと勝手にあちこちの機器と通信が可能になってしまうが、このペアリングを行ない、お互いのIDなどを交換しておくことで、特定の相手とだけ通信できるようになるわけだ。携帯電話や、アダプタどちらでもペアリングを行なうだけで、接続できるようになる。 ヘッドセット部分は三日月型で、イヤホン側がフックのようになっていてここを耳にかける。一見、マイクが口から遠いようだが、十分な音量で話すことができる(マイクゲインの調整も可能)。 また、耳にあたる部分はジェルと呼ばれる素材でできており、耳穴にぴったりフィットする。一応半日着けてみたが、特に耳が痛くなるようなことはなかった。 ■使い方 常にヘッドセットを着けていてもいいが、電話が鳴ってから、ヘッドセットを着けても何とかなる。だいたい携帯電話なんてのは、着信してから出るまでに結構時間がかかるもの。相手が気の短い人でもなければ、これでも十分間に合う。ヘッドセットのほうは、ボタンをクリックするだけで通話状態となる。アダプタ側は特に操作は必要ない。 端末を耳にあてなくても通話できるのに、着信のために端末のボタンを押したり、フリップを開いたりするのはちょっと面倒だ。ヘッドセットを付けているのを忘れて思わず耳に当てたりして……。特に2つ折り型やフリップのある機種は、開かないとボタンにも触れず着信できない。 こういう場合に、端末にイヤホンマイク使用時の自動着信機能があるならそれを使う。これは俗に「オート着信」や「ハンズフリー」などと呼ばれるもので、呼び出し音が鳴って一定時間後に自動的に着信させる機能。一部の機種では、イヤホンマイクの有無を判定して、それにより自動着信するしないを決定するため、ヘッドセットを使っていないとき(アダプタを接続していないとき)には自動着信させないことができる。 こういう機種がヘッドセットとの組み合せに向いている。逆に、スイッチ付きのイヤホンマイクを使うことを前提にしている機種ではこうした機能がなく、このBT200とアダプタの組み合せにはあんまり向いていない。 ただこの方法だと、相手の番号を見て、居留守を使えなくなるのが欠点ではあるが……。 ■ヘンですか? 海外では携帯電話をイヤホンマイクで使う人が多く、町中で1人でブツブツ言っている人がいると思ったら携帯電話で話していた、なんてこともある。携帯電話の電磁波を気にしてヘッドセットを使っている人も多いのだとか。そういえば、たしかにちょっと気になるところ。Bluetoothも電磁波だが、携帯電話の出力に比べるとはるかに小さい。 この電磁波の影響、実際のところどういう影響があるのかまだ、不明なところが多いし、長時間利用した結果どうなるかについては、ほとんどわかっていない。それで筆者としても少し気になっている。このヘッドセットで少しでも影響を小さくしておこうというわけだ。 携帯を持たずに話していると、奇妙に思う人はやっぱりいるらしい。駅のホームで話していたら、ジロジロ見られてしまった。やっぱり、町中でブツブツいっているヘンな人に見られているのかしら?
□Jabraのホームページ (2003年1月27日) [Text by 塩田紳二]
【PC Watchホームページ】
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