嵐のように凄まじい年末進行(年末に出版関連企業が休みに入るため、前倒しですべてのスケジュールを進めること)もほとんど終わり……と書ければ良かったのだが、まだ出口がようやく見え始めたところ。 遅れているのは自分だけかと思えば、あちこちの同業者の予定が“炎上”しているようだ。そうした話を聞くと少し安心しつつ、少しだけ勇気を得ながら、なんとかフィニッシュに向けて最後の血の一滴を絞り出している。 そんなわけで外出もままならない缶詰状態だが、忙しいおかげで、様々な製品を試用したり説明を受けたりと、ストレスの上に物欲が刺激され、色々な買い物をしたくなってくる。一昨日も、買うつもりも無かったCDを4枚もオンラインで注文してしまった。欲しいものならなんでも注文してしまいそうな衝動を抑えつつ、この冬に自分で買いたいいくつかの製品をピックアップしてみた。 ●ポータブルDVD-RWドライブ 世の中ではDVD±RWとRAMをサポートする“何でも”ドライブが注目されているが、個人的にはポータブルのDVD-RWドライブにとても心惹かれている。というのも、我が家ではDVD+RW/RドライブはデスクトップPCで使っているのだが、DVDマイナス系のドライブが1台もないからだ。これはつまり、自制心を振り払って「買ってしまえ!」というエネルギーを出しやすい。 という与太話はともかく、写真派の僕は、ずっと以前に買ったDVカムコーダをその存在が忘れるほど使っていなかったのだが、ちょっとしたきっかけで以前撮影していた水中ビデオを整理し始めたら、これがなかなかたいへん。そんな時に評価用貸し出し機が回ってきたのが、ソニー「PCGA-DVRW1」である。
実際にDVD-RWドライブを出先に持っていく必要があるのか? と問われると、クリアに必要だとは答えられない。が、小さくて、軽くて、色々な場所で使えるというのは、決して悪いことじゃない。DVD-R/RWの書き込み速度が等倍速というのはちょっとした問題。そもそも、僕のノートPCにはIEEE 1394が標準では付いていない。さらにはバイオシリーズしか動作保証されていない。などと考えると、普段ならだんだんと購買意欲が下がってくるのだが、この製品には1つハードウェアではない特徴がある。 この製品に付属している「Click to DVD」は、かなりスグレモノのDVD制作ソフトだ。DVカムコーダを接続してキャプチャを開始すると、テープの巻き戻しから取り込み、インデックスページの作成まで自動的に行なってくれる。「おまかせコース」を選択すると、何ら手を加えることなくDVDビデオができてしまうのだ。 そこまで自動でやらなくとも、自動的に取り込んでおき、簡単なカット編集を加えてDVDに書き込むまでの操作は、ほかのどのソフトよりもカンタン。評価中に面倒くさくて放置していた水中ビデオのライブラリも、テープからDVD-Rへと姿を変えた。ちなみに同じソフトはこの冬のバイオシリーズにプリインストールされているが、入手するためにはバイオシリーズを買わなければならない。バイオシリーズのPC本体以外でバンドルされているのがこの製品なのだ(ちなみにやはりIEEE 1394接続の外付けDVD-RWドライブ「PCVA-DRW3」にもバンドルされているが、こちらはポータブルではない)。 これだけカンタンなら、使い方を教えてかみさんにビデオの整理を任せることができるかもしれない。そんな野望を達成するための問題はPCGA-DVRW1の価格の高さなんだけど、その前にソニーさん。このソフト、単体で販売しないですよね? たぶん……。 【お詫びと訂正】記事初出時に「Click to DVD」がPCGA-DVRW1にのみバンドルされていると表記しましたが、正しくはPCVA-DRW3にもバンドルされています。お詫びして訂正させていただきます。 ●ポータブルバスパワードUSB 2.0 HDD 今更、ポータブルバスパワードUSB HDDでもないだろうと言われそうだが、評価で使い、いつか買おうと思いつつ、なんだかんだとそのままになっている。実は2カ月ほど前、40GBで17,800円(!)の製品を発見、これは安いと買いそうになってしまったのだが、レジに赴く前にUSB 1.1対応製品と気づいた、なんて間抜けなことをやっている。 こんなことでは何を紹介しても説得力に欠けるが、僕が狙っているのがメルコの「HD-P60U2」。
ポータブルのバスパワードUSB 2.0 HDDは、何度かに分けて評価をしたことがあるが、USB 2.0に対応した当初はメルコ製のドライブよりもアイ・オー・データ機器製のドライブの方がパフォーマンスが高かった。おそらくUSB 2.0からIDEに変換するチップの能力に差があったためだろう(両者は当時、異なる変換チップを使っていた)。 しかしHD-PU2シリーズになってからは、ほぼ同じ速度に改善されていた。公式に高速化されたことがアナウンスされたわけではないが、変換チップがアイ・オー・データ製ドライブと全く同じものになったからだ。 速度的な問題がないとなると、パッケージ構成やサイズなどで選べる。アイ・オー・データ以外にもロジテックから同等製品が発売されているが、最もコンパクトで軽量なのがHD-PU2シリーズだったから、というのが個人的な選択理由。ケーブルが長・短の2本付属しているのも親切。 この手の製品はHDDを含まないケースとインターフェイスだけのキットも販売されているが、バスパワードのHDDは供給電力量がギリギリのため、できればメーカーが保証した組み合わせで使いたい。余ったHDDでうまく動けばいいが、動作音や容量を考えると余りHDDを使うのも今ひとつ魅力的に見えず、さらにベアのHDDとUSB 2.0対応ポータブルHDDケースを一緒に購入すると、メーカー製HDDの価格を超えてしまう。というわけで、大容量を持ち歩きたい、まだバスパワードUSB 2.0 HDDを持っていない人には、是非ともおすすめの一品だ。 これまではCD-Rドライブを出張先に持ち込んで、高画素のデジタル写真データなどを整理していたが、これからはその必要もなくなるだろう。RAWデータでバンバン撮影しても、60GBあればかなり耐えてくれるはずだ。 ●5GHz無線LANとワイヤレスLANコンバータ
我が家のノートPCがIEEE 802.11b対応になるにつれ、速いけれどもなかなか導入に踏み切れなかったIEEE 802.11a無線LAN。チップの世代も代わり、デュアルバンド製品が登場するようになってきた。ということで評価機が回ってきたのは(同じメーカーが続いてしまうけど)ソニーの「PCWA-C700」。詳しくは色々なところで紹介されているから、製品のディテールはここでは説明しないが、1年前に使った第1世代製品に比べると、性能は上がって消費電力は下がっているようだ。 以前は我が家の中心にアクセスポイントを置くと、たいして広くもない我が家でさえ全く使えない、あるいはリンクが不安定になるエリアが多かったのだが、PCWA-C700ではそんなことはなくなっていた。アクセスポイントの自動再探索を抑制するストリーミングモードもいいアイディアだ(ただしやはり動作保証はバイオシリーズのみ……)。 しかし一番気に入ったのは「PCWA-A520」と「PCWA-DE50」。前者はIEEE 802.11a対応アクセスポイントで、後者はノンPCデバイスも無線LANに接続できるワイヤレスLANコンバータだ。
いずれもACアダプタにLANケーブルを接続すると、独自コネクタ1本でコンパクトな本体に繋がっている。デザインも秀逸で、直置きでも壁掛けでもうまく収まってくれる。全く同じフォームファクタで、IEEE 802.11b対応製品も出して欲しいなぁ。なかなかよく考えられた製品だ。 特にIEEE 802.11aに対応したワイヤレスLANコンバータは他に売ってない(売っていたらごめんなさい)だけに貴重な存在。インターネットへの接続速度が実効で10Mbpsを超えたこともあるが、実際に使っているとIEEE 802.11bがえらく遅く感じてしまう。来春になればIEEE 802.11gが……と思いつつ、今にも買ってしまいそう。 IEEE 802.11a対応製品は、シングルバンドならかなり値段も落ち着いてきた。そろそろ買ってもいい時期かもしれない。 ●ただいま評価中…… ビレッジセンターというと、この仕事を始めたころにお世話になったDOSエディタの定番「VZ Editor」を思い出す。当時はMIFESなんて高くて買えなかったなぁ。そのビレッジセンターが発売したのが、「サーチクロス」という製品。
以前、全文検索ソフトをいくつか紹介したが、それらは類似文検索を行なえるものだった。それに対してサーチクロスは(様々な検索オプションはあるが)キーワードによる検索しか行なえない。 しかしその代わりと言ってはなんだが、全文検索用インデックスの作成が非常に速い。しかも低価格な割に対応するファイルやメーラー(サーチクロスはメールデータベースも検索可能)の種類が多い。対応表はサーチクロスのWebページを見てほしい。速さは体験版をダウンロードして使ってみるといいだろう。検索結果のファイルをプレビューする機能もある。 他の仕事が終わらず、まだまともな評価は行なえていないが、速度に関しては圧倒的と言っていい。我が家の環境では、Outlook 2002のメールを検索してくれず四苦八苦している、というのが現在の状況(Exchange 2000サーバ側の問題だろうか?)。安価なこともあり、メーラーの検索ができることが確認できたら、即購入することにしよう。
もうひとつ評価中なのが「SmartVision HG」。MPEG-2ハードウェアエンコーダ付きテレビチューナカードと言えばカノープスの評判がよく、実際僕自身もMTV1000を所有して使っている。比べて以前のSmartVisionは、言っては悪いが添付ソフトの操作性が今ひとつしっくりとこないところがあった。 それがSmartVision HGから添付されている新しいバージョンでは、使いにくさが一掃されて操作レスポンスも良好に。さらにVAIO MediaとGigaPocketの組み合わせのように、MPEG-2でテレビのライブ映像や録画済み映像を配信するサーバ機能が付いた。また以前からの録画済み映像のリアルタイムMPEG-4変換・ネットワーク配信機能も継続して利用可能だ。 ネットワーククライアント側のソフトがよくできていて、ローカルのテレビ視聴・録画ソフトとほぼ遜色ない操作性や機能を実現している。IEEE 802.11a無線LANと組み合わせて使えば、完全ワイヤレスでテレビを楽しめる(エアボード? と言ってしまえばそれまでだが)。 懸案だったADAMS-EPG+の対応ソフトもすでにリリース済みで、MTV派の僕もかなりSmartVision HGシリーズを見直したのだった。このソフトの出来ならば、SmartVision HG/Vユーザーやその登載マシンを所有している人は、同等アプリケーションソフトウェアにアップグレードできる「SmartVision 2.0アップグレードキット」を購入する価値があると思う。
□ソニー「PCGA-DVRW1」の製品情報 (2002年12月5日) [Text by 本田雅一]
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