DDIポケットのパケット通信定額サービス「エッジeメール放題」を試す



■最近の携帯電話、PHSの使い方を振り返えると……

 年に1、2度のペースで、モデルチェンジが行なわれるのが、最近の携帯電話の特徴だ。しかもマイナーチェンジではなく、フルモデルチェンジといっても良い、大幅な機能向上が行なわれている。そのため、新製品や新サービスが発表されると、今度はどんなことができるようになったんだろう、どこが便利になったんだろうなどと、興味はつきない。

 ただ、筆者自身それほど通話やメールを行なわないために、興味だけで携帯電話やPHSを購入しても、新機能にすぐ飽きてしまったり、使わなくなってしまうことも多い。

 特にカメラ付き携帯は発売された直後に購入したものの、それほど使うことなく、しばらくすると持ち歩くことさえしなくなった。同様にGPS付き携帯もしばらく使ってみたが、最近は持ち歩く機会が激減している。

 携帯電話だけでなく、PHSに関しても理由は異なるが、購入しても結局使わなくなくなってしまうものが多い。PHSの場合は、ほとんどの場合データ通信用として購入している。利用できる場所が多くなった、通信が切れにくくなったという噂を聞いては、新機種を購入したり、機種変更をしてきた。通話が目的ではなかったので、PHSの場合はサブノートPCやPDAと組み合わせてインターネットを利用することが多い。

 最近ではパソコンやPDAなどがなくても、ちょっとした情報であれば携帯電話からアクセスして入手できるような環境が揃ってきている。メールのチェックに関しても、PDAやサブノートを利用しないで、自分宛てに届いたメールを携帯電話のメールアドレスへ転送することで、ある程度は対処することができる。

 筆者の場合は、複数のメールアドレスを所有し、目的に応じて使い分けている。筆者宛てのメールは、日に500件を越すことも珍しくないので、すべてを携帯電話などのアドレスへ転送するのは現実的ではない。仕事に関するものや、大切な内容のメールが届きそうなアドレス宛てのメールは、必要に応じて転送することが多くなってきた。

 そのため、このモバイル環境でのPHS利用に関しても、この夏頃から激減している。

■携帯電話、PHSのメールサービスへの不満点

 筆者の場合、携帯電話やPHSを使ってホームページを閲覧する機会に比べると、メールチェックをする機会のほうが遥かに多い。ただ、これまでの携帯電話やPHSのメールサービスでは、受信できる文字数の制限や通信コストが原因で、必ずしも満足しているとはいえない状況だった。

 当たり前の話だが、パソコンからメールを送信してくる相手は一般的な電子メールの感覚でメール送信するため、メールの文字数の制限によって、最初の挨拶文の部分しか送られてこないこともあった。外出が多くメール転送を頻繁にやっていた翌月には、いつもの倍以上の料金請求書が届いたといったこともある。

 料金はともかく、送られてきたメールの肝心な部分が切れてしまうと、わざわざ有料のメール転送を使っている意味が無くなってしまう。結局モバイル環境ではPDAやサブノートに戻るしかないというジレンマがあった。

■DDIポケット「エッジeメール放題」

 このジレンマを解消してくれたのが、DDIポケットのサービスである「エッジeメール放題」だ。料金は従量制でなく、定額制で、どんなにメールの送受信をしても、月額700円となっている。

 通話をしないでメールだけ送受信すると仮定すると、標準コースの2,700円に「エッジeメール放題」のオプション料金を700円加えた3,400円が月々の料金となる。年間割引などを利用すれば3,000円程度まで料金を下げることも可能だ。

 また、メールの文字制限に関しても、「エッジeメール」では2バイト文字で送信1,000文字、受信10,000文字程度まで扱うことができるため、一般的な電子メールを転送しても内容が途切れてしまうことはほとんどない。さすがにメール版PC Watchなど、ファイルサイズが大きいメールマガジンなどは途切れてしまうことがあるが、ほとんどのメールは最後まで転送することができるスペックだ。

 このサービスを知った筆者は、すぐさまこのサービスを利用すべく、ショップに出向いた。

■エッジeメール放題対応PHS「KX-HV210」

 エッジeメール放題に対応している端末は、現時点で一機種しか存在しない。それがパナソニック「KX-HV210」だ。折りたたみタイプのPHSで、いわゆるDDIポケットのH"対応端末の最新機種になる。

 端末の色は3色用意されていたが、筆者が選んだのは「ラベンダーブルー」。細かなスペックはDDIポケットのページで確認してもらいたい。この「KX-HV210」は、エッジeメール放題対応のほか、SDメモリーカードスロットが用意されている点も大きな特徴だ。送受信したメールの保存場所をSDメモリーカードに設定することで、より多くのメールを扱うことができるようになる。

 それ以外にも「KX-HV210」で録音したデータをSDメモリーカード経由でパソコンに取り込んだり、OutlookのスケジュールデータをSDメモリーカード経由で「KX-HV210」のスケジューラに取り込むことも可能になっている。

 外見に関しては、筆者が選んだ色にも大きく左右されるとは思うが、最近の携帯電話と比べて多少高級感に欠ける。スペック上は98gとなっているが、実際に手にしてみると非常に軽い印象を受けるが、その意外な軽さも高級感を損なう原因のひとつかもしれない。

 しかし、最近の高級感のある塗装がされている携帯電話と比べたときの意見であって、けっして持ち歩くのをはばかれるほど質感が悪いわけではない。筆者の意見が気になる人は実際に店頭で手にとって確認してほしい。

「KX-HV210」本体 液晶画面は明るい戸外でも室内でも見やすい。筆者はこの解像度で文字表示しているが、文字を大きくすることもできる 「KX-HV210」を閉じたところ。本体横のボタンを押すことで、90度程度まで開く

本体横のボタンを押して開いたところ SDメモリカードは本体横のスロットから挿入する

■メールチェックのスタイルを変えた「KX-HV210」

 自分宛てのメールのなかで、主に仕事に関係するメールアドレス宛てのものを「KX-HV210」で受信できるように転送してみた。しばらくすると、次々に「KX-HV210」にメールが入ってくる。携帯電話のメールは、遅延が問題になることも少なくないが、いまのところエッジeメールに関しては、メールの遅延を感じたことはない。

 元々は外出時にメールチェックすることが目的でこのサービスを受けたものの、使ってみると期待以上の感触を得ることができた。例えば、お昼休みで一時的に席を外しているときや、会議でパソコンの前にいることができなときでも、次々にメールが飛び込んでくる。希に、一刻を争うような用件のメールが入ってくることがあり、このようなメールが、どこにいても受信できるというのは、非常にありがたい。

 エッジeメールでなくとも、携帯電話のメールサービスでも可能なことであるが、エッジeメールでは受信できるメールの文字数が10,000文字と多いことや、「KX-HV210」への電波の入りがいいことで何倍にも利便性が向上している。

 筆者は東京近辺を電車や地下鉄で移動する機会が多いが、ほとんどの場所でメールの受信が可能であることに驚いた。移動中だけでなく建物の中もいわゆるメール受信圏内で、うれしいことに筆者の行動する範囲のほとんどでメールが受信できるということがわかった。

 購入してから2、3日「KX-HV210」を持ち歩くと、既に手放せないものになってしまった。今では、これまで持ち歩いていた携帯電話はカバンの中にしまい、代わりに「KX-HV210」を身につけるようになっている。

 いちいち、PDAやサブノートを取り出すのではなく、携帯端末でお気軽に、いつでもメールがチェックできるのはとても便利だ。ここまで便利に感じてしまうのは、電子メールに依存している筆者だからかもしれないが、4、5分席を外している間でも確実にメールがチェックできる環境は手放せないものとなっている。

 バッテリ持続時間も満足いくものだ。メールチェック時には、必ずバックライトをつけるような状態で利用しているが、それでもまる2日間程度はバッテリが切れることはない。頻繁にメールをチェックするような使い方なので、バッテリの持ちに関しては優秀だといえるだろう。

 筆者はメール受信のために使っているのであまり活用はしていないが、入力時の日本語変換機能も優秀だ。日本語変換部分には、バックス社のCompact-VJEを採用しているのだが、筆者がこれまで利用してきた携帯端末の中でもトップレベルの変換効率だと思われる。KX-HV210に搭載されているのは、最新版のVer.3ではないためか、先読み変換といった機能はないが、十分な変換効率を実現している。

 しかし、まったく不満点がないわけでもない。「KX-HV210」を操作してるとき、反応の鈍さが気になることがある。例えば、メールの受信BOXを開いて、メールの一覧を表示するときや、大きめのメールを開いたとき、メールボックスに入っているメールを丸ごと削除するときになどだ。

 もうひとつ気になるのは、メールを削除する方法が、基本的にメールボックス内全部を削除するか、一通ごとに削除するかという方法しかないことである。メールのタイトルだけ見て、読む必要がないメールにチェックを付けて、いっぺんに複数のメールを削除できると便利なのだが……。

 それと、この原稿を執筆している時点で「エッジeメール放題」に対応した端末は、「KX-HV210」の一機種だけである。これは今後増えてくるとは思うが、選択の幅が広がることを期待したい。

■最後に

 ここのところ、携帯電話に関しては、次々に新技術が搭載され、毎月どこかのキャリアから複数の新機種が発売されている。筆者としても新し物好きなのでいろいろな携帯端末を使ってきた。実用という点では、今回紹介した「エッジeメール放題」がここ数年で最も気に入ったサービスだ。

 PHSということもあって、データ通信ばかりが注目されるが、電子メールをプライベートや仕事で活用している人には、このメールサービスを検討してみてはどうだろうか。ここのところ携帯端末の利用頻度が激減している筆者にとって、「エッジeメール放題」は、久々に「使える」と思ったサービスだ。


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(2002年11月7日)

[Text by 一ヶ谷兼乃]


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