IDF2002 Fallレポート:展示会場編
Placer、Granite Bay、Intel845PEなど
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IntelのD845PEBT2。Silicon ImageのSerial ATA対応RAIDコントローラを搭載しており、RAID0とRAID1に対応している |
会期:9月9日~12日(現地時間)
会場:San Jose Convention Center
Intel Developer Forum Conference Fall 2002(IDF)は、基調講演、技術トラック、展示会のデモショーケースから構成されている。デモショーケースでは、PCI Expressなどの様々な新製品が展示されていたが、本レポートでは特に最新チップセットにフォーカスを当てて、レポートをお届けする。
●Intel845PEを搭載した最新マザーボードが展示
OEMメーカー筋の情報によれば、Intelは10月第2週にIntel 845G、Intel 845E、Intel 845GLの後継としてIntel 845GE、Intel 845PE、Intel 845GVのシリーズを予定しているという。Intel 845GE、Intel 845PEはDDR333をサポートするチップセット。それ以外の仕様はIntel 845G/Eと同様で、Intel 845GVはGLではサポートされていなかったシステムバス533MHzに対応している。
“Superbeam Array”マイクロフォン。ステレオマイクとなっていて、周囲の雑音などに強い仕様となっている |
今回Intelブースには、ひっそりとIntel 845PEを搭載したIntel製マザーボードが展示されていた。それが“D845PEBT2”で、オーディオチップとしてAnalog DevicesのSoundMaxを搭載し、付属品として、“Superbeam Array”マイクロフォンと呼ばれるマイクをオプションとして利用することができる(“Superbeam Array”マイクロフォンに関しては元麻布春男氏の記事が詳しいので、そちらを参照していただきたい)。また、オンボードでSerial ATAのRAIDチップが搭載されており、標準でSerial ATAのデバイスを利用することができる。筆者の記憶では、過去にIntelのデスクトップPC向けマザーボードでRAIDコントローラが搭載された例はなく、本製品が初めてということになる。
会場では、Intelマザーボードのカタログが配布されており、Intel 845GE、GVのマザーボードも掲載されていたので、以下にまとめて掲載しておく。また、同時にIntel 850Eの新マザーボードに関しても記述がされていた。それがIntel 850EMDR(microATX)とIntel 850EMVR(ATX)で、それぞれ新たにPC1066をサポートしているのが大きな特徴となっている。
表1●Intel 845GE/PE/GV搭載マザーボードの主な仕様一覧
なお、これらのマザーボードは、Intel 845GE/PE/GVの発表と同時に市場に出荷されることになる。
●PlacerとGranite BayのデュアルチャネルDDRをサポートするワークステーション向けチップセット
また、デュアルチャネルDDR SDRAMをサポートする、Xeon用のPlacer(E7505)、Pentium 4用のGranite Bay(E7205)という2製品も会場に展示されていた。E7505とE7205は、いずれもデュアルチャネルのDDR266をサポートし、メモリの帯域幅は4.2GB/secに達する。Pentium 4のシステムバスの帯域幅である4.2GB/secとマッチするため、大きな注目を集めている。
メモリの帯域幅が4.2GB/secという意味では、10月に正式にサポートされるPC1066とIntel 850Eの組み合わせでもすでに実現されている。PC1066が256MBが2枚で2万円近くのコストとなってしまうなどやや高コストになっていることと、Intelの今後のチップセットロードマップにDirect RDRAMをサポートするチップセットがないということから、将来性という意味ではやや不安があった。だが、DDR266で4.2GB/secを実現できるE7205であれば、コストは半分程度で済むうえ、DDR333を買っておけば来年にリリースされる予定のSpringdale-G/Pでも利用することができ、将来性という意味でも安心できる。このため、E7205は、ワークステーション用というIntelのマーケティングにも関わらず自作ユーザーの注目の的となっていた。
また、Intelは本日、AGP 8Xの仕様であるAGP Specification 3.0の最終仕様をリリースしたことを発表したが、E7205、E7505ともにAGP 8Xをサポートしている。このため、RADEON 9700 PROやXabre400などAGP 8Xをサポートしたグラフィックスチップを8Xモードで利用することができるようになる(といっても現時点ではAGP 8Xにするメリットはあまりない)。
なお、両チップセットともサウスブリッジとしてICH4がサポートされる。また、Placerに関してはこれまでのXeon用チップセットではサポートされていなかった、システムバス533MHzのサポートが追加され、CPUソケットが現行の603ピンから604ピンに変更されるほか、P64H2というPCI-Xのコントローラチップを接続することも可能になっている。
●Placer、Granite Bayを搭載したマザーボードも展示
Intelのワークステーション用マザーボードのブースには、マザーボードベンダ各社のE7505(Placer)、E7205(Granite Bay)を採用したマザーボードが展示されていた。ASUS、MSI、GIGA-BYTEなど各社のマザーボードが展示されており、各社ともリリースに向けて準備が整っていることを伺わせた。
なお、Gigabit Ethernetを搭載した製品が多く、今年の秋以降のトレンドとなりそうだ。
●Springdale? とおぼしきリファレンスデザインも公開
最後に、Intelブースに展示されていた気になるボードを紹介しておこう。写真は、Intelが推進するBig Watrerプログラムの、デザインサンプルボードなのだが、なんと、搭載されているサウスブリッジには“ICH5”の記述がある。
ICH5は、来年の第2四半期にリリースが予定されているデュアルチャネルDDRをサポートするSpringdale-G/Pのサウスブリッジになる予定であり、実際ボード上には4つのDIMMソケットが搭載されていて、2チャネル構成を匂わせることを考えると、Springdaleの可能性がかなり高い。
ただ、SpringdaleはPCI Expressをサポートしていないのだが、このデザインサンプルには複数の2Xと1つの16XというPCI Expressのコネクタが搭載されていた。16XのPCI Expressは、Serial AGPと呼ばれるグラフィックスチップ接続用とされていることを考えると、2004年頃のマザーボードのデザイン例なのかもしれない。だとすると、もしかすると、Springdaleどころか、その後継チップセット(名前はまだ明らかになっていない)なのかもしれない。
しかし、こうしたデザインサンプルまで、ご丁寧に仕様を類推できるようなちゃんとしたものとなっているあたり、Intelは非常に律儀な会社であるといえるだろう。
□IDFのホームページ(英文)
http://www.intel.com/idf/us/fall2002/
□関連記事
【6月13日】【元麻布】PCプラットフォームは地道に進化している
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0613/hot205.htm
(2002年9月13日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング / Photo by DOS/V PowerReport編集部]