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PC1333 RDRAMを来年サポートするSiSチップセットロードマップ


●怒濤の製品ラッシュが続くSiSのチップセット

 この1年間のチップセットでは、SiSの躍進が目覚ましい。だが、SiSはまだ手を休めるつもりがない。同社は、今後も怒濤の製品ラッシュを用意している。今後登場するデスクトップチップセット製品をざっと概観しただけでも下のような膨大なラインナップとなる。

Intel系チップセット
  FSB メモリ AGP ビデオ機能
R658 533MHz Dual RDRAM1066 AGP8X  
651 533MHz DDR333 AGP4X 内蔵
655 533MHz Dual DDR333 AGP8X  
648DX 533MHz DDR400 AGP8X  
660 533MHz DDR333 AGP8X 内蔵
R658DX 667MHz? Dual RDRAM1333 AGP8X  
648FX 667MHz? DDR400 AGP8X  
656 667MHz? Dual DDR/DDR II400 AGP8X  
AMD系チップセット
  FSB メモリ AGP ビデオ機能
Athlon XP/Duron向け
746 266MHz DDR333 AGP8X  
746DX 266MHz DDR400 AGP8X  
746FX 333MHz? DDR400 AGP8X  
Hammer向け
755 800MHz   AGP8X  
760 800MHz   AGP8X 内蔵

 Intelプラットフォームでは、先日RDRAMベースチップセット「SiS R658」を発表した。しかし、さらに来年には「SiS R658DX」に更新する。SiS R658DXでは、RDRAMの高速版規格「PC1333」(1.33GHz版)RDRAMに対応する見込みだ。PC1066がようやく来たと思ったら、次はPC1333というわけだ。PC1333のデュアルチャネルになると、メモリ帯域は5.3GB/secとなり、デュアルチャネルDDR333と同等になる。RDRAMベンダーであるSamsungは、来年にはPC1333を出荷するつもりで、SiSはその動きに積極的に対応して行く。ただし、Samsungでも、PC1333は2003年中は潤沢には採れないと見られる。

 また、SiS R658DXは、Intelの次期CPU「Prescott(プレスコット)」の667MHz FSBにも対応すると見られる。PC1333に対しては667MHz FSBの方が、原理的には同期性はよくなる。ちなみに、もともとはR658DXの位置には「SiS R659」と呼ばれるPC1200(1.2GHz RDRAM)をサポートする製品プランがあったが、現在はより高速なR658DXに代わっている。SiSは、SiS R658DXのサンプルを来年頭までに出すつもりでいる。

 SiSは、RDRAM系チップセットを、デスクトップ向けだけでなくローエンドサーバー向けにもプロモートする見込みだ。と言っても、現在のSiSのチップセットはデュアルプロセッサしかサポートしていないため、市場は限られる。本格的なサーバー展開はまだその後ということになりそうだ。


●デュアルチャネルDDR IIが来年前半に

SiSチップセット推定ロードマップ
 Intelプラットフォームでの次の波はデュアルチャネルDDRチップセットで、SiSはデュアルDDR333サポートの「SiS655」を今秋に投入する。SiS655は、もともとSiS R658の前に登場するはずだったが、スケジュールが遅れた。

 SiSは、SiS655をSiS R658の上位に位置づけようとしているフシがある。それは、SiS655の方がコストが高くつくからだ。今春の段階では、SiSのNelson Lee氏(Sr. Technical Marketing Manager, Integrated Product Division)は次のように説明していた。「デュアルチャネルDDRのインプリメントの方が、デュアルチャネルRDRAMより高コストになる。チップセットのダイサイズ(半導体本体の面積)が大きくなり、マザーボード上の配線も増える。また性能も異なる。当社のシミュレーションでは、デュアルチャネルDDRの方が、デュアルチャネルRDRAMよりも性能は上がる。これは、デュアルDDR333の方が、メモリ帯域とレイテンシの両面で優れるからだ」。

 SiS655の位置するハイエンドチップセットの座は、来年中盤に「SiS656」に引き継がれる。SiS656は、デュアルチャネルDDR II 400MHzをサポートするチップセットで、DDR400も同時にサポートする見込みだ(DDR II版とDDR版では、マザーボードは別個になる)。SiS656は、またIntel Prescottの667MHz FSBにも対応すると見られる。SiSは、このSiS656でも、デスクトップだけでなくサーバー市場を狙おうとしていると予想される。

 SiSはもともとDDR IIサポートは、シングルチャネルメモリで計画していた。これは「SiS649」と呼ばれる製品プランで、メインストリーム向けの位置づけだった。しかし、現在はDDR IIはデュアルチャネルで、パフォーマンスエリアを狙う戦略に変わっている。これは、当初価格が割高になるDDR IIが浸透するのは、ハイエンド市場だと見たための変更だと思われる。

 デュアルチャネルDDR/DDR IIの下にSiSが位置づけるのは、シングルチャネルのDDR400サポートチップセット群だ。SiSは、今秋に「SiS648DX」を出し、来年中盤には667MHz FSBをサポートすると見られる「SiS648FX」へとつなげる。ちなみに、SiS648のDDR400版は、当初はこの夏前に出てくるはずだったのが、大幅にずれ込んでいる。SiSも、DDR400のサポートは、かなり遅れている。

 統合チップセットでは533MHz FSBとDDR333をサポートする「SiS651」の後は、いよいよ新グラフィックスチップ「Xabre」系の内蔵グラフィックスコア「Ultra256」を統合した製品が登場する。これは「SiS660」で、年末までにサンプル出荷の見込みだ。XabreはPixel Shaderを搭載しDirectX 8.1をサポートするため、SiS660は統合チップセットながらDirectX 8.1サポートになると見られる。ほかのチップセットは、nForce2でさえ、Pixel Shaderは搭載していない。


●モバイル向けチップセットではBaniasへの対応も

 AMD系チップセットでは、まず、DDR400サポートの「SiS746DX」が控えている。さらに、SiSはその後にAthlon XPの333MHz FSBに対応すると見られる「SiS746FX」をリリースする見込みだ。型番からして、746系の後継版になると見られる。SiS746FXは、比較的最近になってOEMにその計画が明かされた。

 また、SiSはHammer向けチップセットでは単体の「SiS755」を今秋に投入、さらに年末には統合グラフィックスの「SiS760」のサンプル出荷も開始する予定だ。SiS760のグラフィックスコアも、DirectX 8世代のXabreとなる。SiS760は、チップセット側にもメモリを接続できる仕様となっている。

 SiSは、SiS755とSiS760をモバイル向けにも投入する見込みだ。Hammer向けノートの登場を期待しているわけだ。SiS760の方は、モバイル版のSiS M760となる。

SiS755のブロック図 SiS760のブロック図

 Intel系のモバイルチップセットでは、グラフィックス統合チップセットでDDR333に対応した「SiS M652」が今年中に登場する。

「Intel系のモバイル向けチップセットの次のステップは、既存の製品とピン互換でより速い533MHz FSBをサポートする製品を提供すること。また、Intelはモバイル向けCPUをPentium 4とは異なるアプローチで進化させる。この新CPU“Banias”への対応も行なうつもりだ」とSiSのAlex Wu(アレックス・ウー)氏(Senior Marketing Director)は説明する。さらに来年第2四半期には、SiSはXabreコアを搭載した統合チップセット「SiS M660」も投入する。

 サウスブリッジサイドでは、SiSはシリアルATA 150サポート版の「SiS964」を計画している。SiS964は、今年第4四半期にサンプル予定だ。「2台のHDDをシリアルATAに接続できるPHYを統合した。そのほか、1チャンネルのパラレルATA(従来のATA)も残してあるので、2台のHDDをパラレルATAで接続できる」とSiSのLee氏は説明する。

 また、SiS964世代では、モバイル向けサウスブリッジも計画する。「現在、IEEE 802.11bを統合したサウスも開発している。これはモバイル向けだ」(Lee氏)。このサウスは、「SiS964B」と呼ばれているようだ。

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【8月26日】【海外】4チャネルRDRAMチップセットも検討するSiSのRDRAM戦略
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0826/kaigai01.htm

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(2002年8月27日)

[Reported by 後藤 弘茂]

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