NEW PRODUCTS TESTREPORT

	ヤマハ
	RTA55i
	IP電話に標準対応したTA内蔵ブロードバンドルーター
	TEXT：一ヶ谷兼乃　Kenno Ichigaya

　ヤマハはサウンド関連機器やCD-Rドライブなどさまざまな製品を手がけているが、その中でもルーターは個人向け、業務用にかかわらず高い評価を得ている。その同社から個人・SOHO向けISDN TA内蔵型ブロードバンドルーター「RTA55i」が発売になった。

　本製品はISDN回線に接続し、INS64のサービスを利用したり、プロバイダにダイヤルアップ接続を行なったりすることができるだけでなく、CATVやADSL、FTTHを利用したブロードバンドサービスにも対応したWANポートを備えている点が特徴だ。こうした基本機能は、従来機RTA54iでも備えているが、RTA55iでは基本部分から設計が見直され、まったくの別モデルと言ってもよいほど性能が向上している。

本体前面部には本機の動作状況を示すLEDが、背面部には各種インターフェイスがまとめて配置されている		右側面には電池ボックスが用意されており、単3形乾電池を利用することで、停電時にも利用できる

ISDN回線でのダイヤルアップやPPPoEなど、さまざまなインターネット接続方法に対応している

　ブロードバンドルーターを購入するときに注意する点の1つにスループット性能がある。RTA54iのときには最大6Mbps程度しかなかったスループットがRTA55iでは最大12Mbpsに向上しており、8MbpsタイプのADSLサービスや10MbpsタイプのFTTHサービスにも十分対応できるようになった。

　また、インターネットに常時接続するようになると気になるのがセキュリティである。RTA55iは単純なNAT/IPマスカレードによる簡易ファイアウォール機能でなく、受発信パケットの静的/動的フィルタリングや不正アクセス検知といった本格的なファイアウォール機能を装備しており、セキュリティ面でも優れたルーターであると言える。

RTA55iに接続された電話機で、そのままインターネット電話機能を使うことが可能だ

　RTA55iの特徴の1つに、インターネット電話機能がある。RTA55iは、ヤマハがサービスを行なっている「ネットボランチDNSサービス」にも対応しており、対応機器間では無料でインターネット電話が可能になる。これはRTA55iのアナログポートに接続した電話機から、ネットボランチDNSサービスで割り当てられた番号に電話をかけることでインターネット電話が実現できるサービスで、PCを介すことなく気軽にインターネット電話を利用できるのが特徴となっている。

　また、VPNや今後普及が期待されるIPv6にも対応している点も、他社の製品にはあまり見られない特徴だ。将来的にはユニバーサルプラグ&プレイに対応したファームウェアの公開が予定されているので、メッセンジャーソフトを利用する場合にも役立つだろう。

　本製品は、ISDN TA/ルーターの機能を取り込むというユニークなアプローチだけでなく、インターネット電話やIPv6への対応といった先進性や、高いセキュリティ性能など、ブロードバンドルーターとして申し分ない仕上がりになっている。また、ブロードバンドルーターには、アナウンスされた機能が実装されなかったり、バグフィックスのタイミングが遅かったりする製品も多い中、ヤマハ製品であれば購入後のサポートも安心して受けることが期待できる点も製品選択の重要なポイントとなるだろう。

・製品名：RTA55i
・標準価格：オープン(実売35,000円前後)
・問い合わせ先：ヤマハ株式会社
・TEL：03-5715-0350
・URL：http://www.yamaha.co.jp/
▼インターフェイス
　・WAN：10BASE-T/100BASE-TX(RJ-45)×1
　・LAN：USB×1、10BASE-T/100BASE-TX(RJ-45)×4
　・ISDNポート：ISDN U点(RJ-11)×1、ISDN S/T点(RJ-11)×1
　・アナログポート：アナログポート(RJ-11)×2
・本体サイズ(W×D×H)：33×115×230mm
・重量：約500g

■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)

□ヤマハのホームページ
http://www.yamaha.co.jp/
□関連記事
【5月16日】ヤマハ、IP電話やPPTPに対応する高セキュリティルータの新製品を発表(Broadband)
http://www.watch.impress.co.jp/broadband/news/2002/05/16/yamaha55.htm

(2002年6月12日)