NEW PRODUCTS TESTREPORT |
オンキヨー | ||
SE-80PCI | ||
S/N比110dBを実現した高音質サウンドカード | ||
TEXT:藤本 健 Ken Fujimoto |
カードの設計はSE-120から一新された。これに伴いカードの長辺もいくぶん短くなった |
そのキーとなっているのがD/A変換時に発生するノイズを除去する新回路、「VLSC(Vector Linear Shaping Circuitry)」である。これはD/Aコンバータ、つまりデジタル信号を耳で聞き取れるアナログ信号に変換する際に利用する回路の、ノイズシェーピング処理などで発生するパルス性ノイズを排除するためのものだ。
VLSCはもともと同社の最高級AVアンプに搭載されていた技術を発展させたもので、MP3やWMAはもちろん、さまざまなデジタル音楽信号処理に適用可能だ。SE-80PCIではこれを採用した結果、S/N比110dBまでノイズを低減し、飛躍的な音質の向上を図っている。従来、この数値は10万円クラスのオーディオデバイスでしか実現できなかったクオリティだが、それを普及価格帯製品で実現しているわけだ。なお、SE-80PCIにはオプティカルのS/PDIF入出力端子が搭載されているが、これに関してはVLSCは働かない。
インターフェイスは、S/PDIFによるデジタル入出力とRCAピンジャックによるアナログ入出力を1つずつ備える |
一番手軽な環境作成方法は、手元にあるミニコンポなどのオーディオ機器に接続することだろう。こうすることで、クオリティを損なわずに再生できるだけでなく、カセットテープなどのアナログ素材をデジタル化する際に、高品質な音質で取り込むことも可能になる。
AC'97 CODECにはWolfson MicroelectronicsのWM9707が採用されている | サウンドチップは従来製品SE-120PCIと同様、Maestro M3iが搭載されている |
コントロールパネルからSE-80PCIはESS Maestro 3というデバイス名で認識される |
ちなみに、今回はWindows XP環境で試用したが、Windows XPの場合、とくにドライバを用意することなく、OSが標準で持つドライバをそのまま使うことができた。さらに、このチップの場合MIDI音源機能がないため、MIDI演奏するためにはWindows標準のソフトウェアシンセを使用する。
MP3やWMAなどの圧縮音声、あるいはDVD-Videoなどの普及に伴い、PCのサウンド機能を気にするユーザーはますます増えてきている。そうした中、12,500円という手頃な価格でオーディオ機器レベルのサウンド環境を構築できるSE-80PCIは、非常に魅力的な選択肢となるだろう。
【編集部注】
SE-80PCIは当初5月下旬の発売を予定していたが、5月28日にオンキヨーより発売を延期すると告知された。6月11日現在、正式な発売時期は決定していない
・製品名:SE-80PCI
・標準価格:12,500円
・問い合わせ先:株式会社オンキヨー
・TEL:072-831-4221
・URL:http://www.onkyo.co.jp/
・サウンドチップ:ESS Technology Maestro M3i
・対応スロット:PCI
・インターフェイス:S/PDIF IN(光角形)×1、S/PDIF OUT(光角形)×1、LINE IN×1、LINE OUT×1
・対応OS:Windows XP/Me/2000
■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)
□オンキヨーのホームページ
http://www.onkyo.co.jp/
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(2002年6月11日)