NEW PRODUCTS TESTREPORT |
シャープ | ||
LL-T1620-H | ||
ASV液晶を搭載した高画質16型液晶ディスプレイ | ||
TEXT:天野 司 Tsukasa Amano |
安定感のあるスタンド。ディスプレイケーブルや電源ケーブルもこのスタンドを通すことで、すっきりとまとまる |
LL-T1620-H最大の特徴は、何と言っても高視野角、高速応答、高輝度を実現した、ASV(Advanced SuperV)液晶パネルだ。このASV液晶とは、液晶分子の配列方向が一方向に揃う、一般的なTN(Twisted Nematic)液晶に対し、電圧印加時に、液晶分子が電極を中心として放射状に配列するもので、どの方向から見ても色ムラのない広視野角を実現する。また、電圧を加えた際に輝点、電圧を加えないときに黒点となる「ノーマリーブラック」方式(通常のTN液晶は逆のノーマリーホワイト)を採用することで、ドット不良時における輝点の発生も低減されている。
反射防止にも工夫が凝らされている。一般的なLCDでは、パネル表面の凹凸を粗くすることで外光を拡散するアンチグレアコーティングが使われるが、LL-T1620-Hの場合には、反射光自体を抑制する低反射コーティングが採用される。結果、目が疲れにくくなるだけでなく、より高いコントラストが得られるというわけだ。この技術は「低反射ブラックTFT」と名付けられているが、実際、本製品の液晶パネルは他機種のそれと一目見て違いがわかるほど黒っぽく、その呼称がダテではないことに気付かされる。
フレームは、その幅16mmという「狭額縁」タイプで、高輝度表示と相まって、かなりすっきりとした印象を受けるデザインだ。本体色は白に近い明るいグレーだが、ほかにもブラックモデルのLL-T1620-Bが用意されている。本体と同色となるスタンドは、直線を多用した形状のため、どっしりとした印象を受ける。調整機能はチルトおよび左右の首振りで、これを取り外してVESAフリーマウントアームを取り付けたり、壁にかけたりすることも可能だ。
入力インターフェイスはDVI-IとアナログRGBの2系統。電源はACアダプタを使わない直接入力タイプだ | 操作ボタンは液晶パネル右下に配置されている。操作ボタンはあまり多くないが、比較的操作性は良好 |
接続コネクタはすべてパネル背面に用意されているが、ケーブル類はスタンド部に設けられたダクトを経由させることができるため、すっきりとまとめることができる。電源はACアダプタではなく、使いやすいAC100Vを直接入力するタイプだ。
入力は2系統で、アナログRGBとDVI-I端子が用意される。DVI端子の形状がDVI-DではなくDVI-Iであることに注目してほしい。これはつまり、DVI端子にもアナログ接続して、アナログの2系統切り換えが可能であるということだ。もちろん、DVI-Dケーブルを使えば、一般的なアナログ・デジタル各1系統の接続にも対応する。
操作ボタンは電源スイッチも含めて6個で、OSDはこのうち4つのボタンで操作する。少ないボタン数での操作となるが、ボタン数のわりには操作しやすい部類に入るだろう。
カノープスのSPECTRA X21によるアナログ接続のSXGA表示。試作機レベルながら、その発色は良好。高コントラストでメリハリの利いた絵作りとなっている |
sRGBモードも搭載し、これによるカラーマッチングも可能。OSDはもちろん日本語表示に対応する |
唯一気になるのが、SXGA以外の解像度を用いた際に、固定アスペクト表示が行なえず、常にフルスクリーン表示となってしまう点だ。ゲームにしろビデオ表示にしろ、PCでの画像表示は4:3画面を基準としていることがほとんど。5:4サイズのSXGAパネルで固定アスペクト表示が省略されると、4:3画像は縦に引き伸ばされて表示されてしまう。前モデルのLL-T1610では等倍表示まで用意されていただけに、少し残念な変更だ。
とはいえ、狭額縁タイプで設置面積は小さく、それでいてこれだけの高画質が実現できるのはやはり魅力的。サイズ、画質ともに重視したい方にお勧めしたい製品である。
■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)
□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□製品情報
http://www.sharp.co.jp/products/llt1620/
□関連記事
【3月7日】シャープ、2系統入力装備の16インチSXGA液晶など
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0307/sharp.htm
(2002年5月13日)