前回すでにWindows XPをインストールしてのテストを行なっているが、デスクトップ向けではなくサーバー用途として利用すると、どの程度の実力を発揮するかをまず確認してみた。
写真はCube-ZEROにEPIA-E533を組み込んだ様子 |
そこで、ハードウェア構成は前回のままとして、ディレクトリに共有フォルダの設定をして、クライアントマシン側でその共有フォルダをマウントしてアクセスしてみた。テスト方法は
・単純なファイルのコピー
・HDBench 3.30のDisk Access Test
・Ziff-Davis Media WinBench99のDisk WinBench
の3種類だ。
【写真1】回線は100Base-TXだから、どんなに高速でも10MB/secを越えることはありえない。更にサーバーの内部では、HDD→Memory→LANカードという複雑な経路を通ってデータが送られるので、ここのオーバーヘッドもある。それを考えると、8MBというのはかなり高速な方である |
次に、HDBENCH Ver3.30(EP82改/かず氏)のDisk Accessテストを実施した。ファイルサイズを500MBに設定し、Read/Write/Copyを実施するものだ。結果はというとご覧のとおり(写真1)。Readで8MB/sec、Writeで5.7MB/secだから、この結果もなかなかに優秀である。
最後はZiff-Davis MediaのWinBench99 Version 2.0に含まれるDisk WinBenchである。実際のアプリケーションのDisk Accessパターンをエミュレーションして、その際の実転送レートを求めるというテストだ。内容は2パターンあり、Microsoft OfficeやNetscapeなどのビジネスアプリケーションをメインとしたBusiness Disk WinMark99と、マルチメディア系コンテンツ作成をメインとしたHigh-End Disk WinMark99である。High-End Disk WinMark99に関しては、テストしたアプリケーション毎の平均転送速度も示されることになっている。
さて、結果は以下のとおりだ。
テスト項目 | 転送速度(KB/Sec) |
---|---|
Business Disk WinMark99 | 2,980 |
High-End Disk WinMark99 | 6,390 |
High-End Disk WinMark テストアプリケーション | 転送速度(KB/Sec) |
---|---|
AVS/Express 3.4 | 12,600 |
FrontPage 98 | 13,200 | MicroStation SE | 6,630 | Photoshop 4.0 | 5,580 | Premiere 4.2 | 4,140 | Sound Forge 4.0 | 6,520 | Visual C++ 5.0 | 4,650 |
ざっと使った感想では、かなり実用的になりそうな結果である。OSのインストールが終わればCD-ROMドライブも要らないから、これを取り外して空いた5インチベイにHDDを増設して大容量ファイルサーバーにする、なんていうのもなかなか良さげに思える。
次に、Windows XPを使ったルーターを構成してみた。最近ではかなり高速なブロードバンドルーターでも安価に購入できるので、ルーター単品として見るとメリットはない。ただ通常のPCに近い構成でルーターを作るので、例えばファイルサーバーを兼務させるなど、幅広い活用が考えられる。またWindows XPだとUPnPの対応がなされているから、例えばWindows Messengerのビデオカンファレンスをファイアウォール越しに行なうなんて事をしたい場合にも応用できる。
そこでPCIスロットにIntel 21143チップ搭載のLANカードを装着し、ルータを構築してみた。ちなみにこのカードだとWindows XPのインボックスドライバが使えるから、単に装着して電源を入れるだけで利用できる。また、Windows XPでルーティングを行うためのサーバー側の設定は比較的簡単で、管理ツールのサービスから「Routing and Remote Access」サービスを開始するだけだ(写真2)。あとは、クライアントのゲートウェイにサーバー(ここではEPIA-E533)のIPアドレスを指定すればOKだ。
今回最初に構築した環境はEPIA-E533の両LANカードからそれぞれスイッチングHub経由で2台のPCを接続し(図1)、この環境でのスループットを計測した。PC1上ではIIS(Internet Information Services)を起動、先ほどの約700MBのファイルを置き、PC2からIria(Wolfy氏)を使ってhttpプロトコルでダウンロードして転送速度を測定した(写真3)。結果は約3.1MB/secとなり、bps換算では約25Mbps程となる。Bフレッツでは(条件が揃えば)30Mbps強のスループットが得られる事を考えるとちょっと物足りないが、ADSLやCATVには十分なスループットだ。
まず、EPIA-E533とTAをUSB接続し、Windows XP上からダイヤルアップの設定を行なう。ついで、ネットワーク接続の設定からダイヤルアップ接続のプロパティを開き、インターネット接続共有の設定を行えば準備完了だ。これにより、LAN側のクライアントがEPIA-E533を通じてインターネット接続を共有できる。(写真4、写真5)また、Windows XPのファイアウォール機能を利用することで、通過可能なポートを指定することも可能だ。(写真6)。
この動作を検証するため、PC1をEPIA-E533経由でダイヤルアップ接続、PC2をモデムを用いて図2のようにダイヤルアップ接続してWindows Messengerでビデオ&音声チャットを行ってみたところ、写真7のように正しく映像が正しく送られる事が確認できた。
勿論、EPIA-E533と回線の間にUPnPに対応していないルーターが挟まれていると、そこでNATが動いてしまうためにWindows Messengerのビデオチャットなどは利用できない。だから、ルータータイプのADSLモデムなどを利用していて、ブリッジモードに変更できない場合はこのサーバーを立てても意味が無いので注意してほしい。
(*1)Windows Messenger対応といいながら、UPnPを使ってない製品もある。この場合、Windows Messengerで確かにメッセージは送れるのだが、ビデオチャットは不可能だったりする。こうした製品を購入の場合、ちゃんとビデオチャットが出来るかどうかを確認した方がいいだろう。
【図2】Windows Messengerの動作テストを行うために構築した環境のモデル。ルーターとなるEden搭載マシンで、Windows XPのファイアウォール機能を起動している | 【写真7】の設定を施したあとで、Windows Messengerのビデオ&音声チャットを利用した状態。ファイアウォールを挟んでもWindows Messengerのビデオチャットなどが利用できるのは大きなメリットだ |
□VIAのホームページ(英文)
http://www.via.com.tw/
□製品情報(英文)
http://www.viavpsd.com/products/epia_mini_itx_spec.jsp
□関連記事
【5月2日】ファンレスマザーボード「EPIA-E533」活用記
~DVD再生で静音デスクトップPCとしての実力を見る
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0502/eden.htm
(2002年5月9日)
[Reported by 槻ノ木隆]