鈴木ナオ2の「PC うおっち 今日のキーワード」


4月1日

■■スティーブン・ジョブCEO基調講演レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0401/uocchi/macl.htm

●白熱電球
はくねつでんきゅう

 白熱電球とは、フィラメントに電流を流すことで光を得る機器のことをいう。発明者はエジソンと思っている人が多いようだが、オリジナルの発明者はイギリスのスワン。エジソンは何をしたのかというと、同じ原理を使って実用的な電球を作ったのだ。発明は1879年。最初は、木綿糸を炭化させたフィラメントを使ったが、のちに日本の竹から作った炭素フィラメントを採用したというのは有名な話。

 エジソンがこの白熱電球を売り出すために設立した会社が現在のGE(General Electric)社。日本では、現在の東芝の前身にあたる「白熱舎」が1890年に設立され、電球の製造に乗り出す。のちに「東京電気株式会社」となるが、東京電気はその後経営不振となり、1905年にGE社と提携を結び、GE社から融資を得て立ち直る。1910年にGE社でタングステン電球が発明され、東京電気はその技術を導入して国内での販売を開始。当時GEは同社の技術を使ったタングステン電球(GEのクーリッジが発明)に「MAZDA LAMP」の名称を付けさせていたため、国内では「マツダランプ」のブランドで販売を行う。一時は「松田ランプ」とも表記していたようだが、元々の名前はゾロアスター教の光の神「Ahura Mazda」(アラフ・マツダ)に由来する名称。ちなみに自動車メーカーのマツダは創業者が松田さんだが、このアフラ・マツダにも由来する名前なのだとか。

 このMAZDA LAMPって名称は、ブランドと技術ライセンスを一緒にしたもので、GEは、これを積極的にライセンスし、一方でMAZDA LAMPの宣伝を雑誌に掲載するなどのマーケティング活動を行った。なんだか、今のMicrosoftの姿を見るような感じ。

 このマツダランプ、かつては東芝の電球のブランドとして1960年代ぐらいまで使われていたが、現在では「東芝ランプ」(製造は東芝ライテック)となっている。

 白熱電球は、その後、GEのラングミュアによりガス封入電球が発明される。これは不活性ガスを入れることでタングステン分子の蒸発によるガラスの内面の黒ずみを押さえ、さらに寿命が長くなるもの。その後、日本人の発明による「2重コイルフィラメント」(三浦順一)、「内面つや消し電球」(不破橘三)などにより現在の電球の基礎が作られた(ご両人とも東芝の方)。ちなみにエジソンの考案とタングステンフィラメントとあわせて、これらを電球の5大発明というのだとか。

 なお、現在の東芝は、この東京電気株式会社とと芝浦製作所が合併してできた(株)東京芝浦電気で、1984年に現在の社名である東芝に名称変更した。なお、芝浦製作所の創業者はかつてNHKでもドラマになったカラクリ義右衛門こと田中久重。1875年(明治8年)に銀座に店舗工場を設置したのが始まりとのことだが、調べてみるとこの工場を田中は「珍器製造所」と呼んでいたのだとか。東芝のホームページを見ると「電信機工場」って書いてあるけど、そうだよねぇ、「珍器」じゃねぇ。まかり間違って「東京珍器電気」になったら、「東珍」って名前になるところだったかも。

【白熱電球関連リンク】
□Edison National Histroc Site
http://www.nps.gov/edis/
□The Mazda lamp Story
http://www.oldchristmaslights.com/The%20Mazda%20Lamp%20Story.htm
□東芝:歴史と沿革
http://www.toshiba.co.jp/about/histo_j.htm
□東芝の技術開発の変遷
http://www.toshiba.co.jp/125th/technology/main.htm
□田中久重
http://www.enju.co.jp/meiji-e6.htm

[Text by ナオミ鈴木]


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