会場:Hannover Messe
会期:3月13日~20日(現地時間)
●JVCのミニノートはチップセットに統合型のSiS630Tを採用
JVCのMP-XP7210。超低電圧版モバイルPentium III-M 750MHzを採用し、重量はわずか875gと、現時点で正式発表されているWindows XPが動作するノートPCとしては世界最軽量 |
その模様に関しては山田氏のレポートを御覧戴くとして、ここでは会場で実際に展示してあったマシンを触るなどして判った詳細なスペックをお届けしよう。
CPUは超低電圧版モバイルPentium III-M 750MHz(Tualatinコア、L2キャッシュ512KB)で、パフォーマンスモード時は750MHz(1.1V)、バッテリ最適化モード時は300MHz(0.95V)で動作する。
チップセットは統合型チップセットのSiS630Tになっており、ビデオ機能はチップセット内蔵のSiS300相当のグラフィックスコアを搭載する(ビデオメモリはメインメモリの一部を利用するUMA方式)。内蔵されているモデム、オーディオ、Ethernet(SiS900相当)はチップセットの機能として搭載されている。
SiS630Tが採用されているのは、SiS630Tのノースブリッジがサウスブリッジ1チップに統合されており、チップの実装面積を小さくすることができるためだ。本製品のような小型ノートPCに適している。
なお、SiS630TにはIEEE 1394および、SDメモリーカード/PCカードコントローラの機能は搭載されていないため、それぞれTI、リコーのチップが採用されている。
HDDは、IBMのIC25N030ATCS04が採用されていた。これは型番を調べてみると、IBMのTravelstar 40GNシリーズの30GBモデルで、2.5インチで9.5mm厚の製品となっている。残念ながら、外部からはアクセスできないようになっているので、HDDの交換には本体を分解する必要があるだろう。
こうして見ていくと、MP-XP7102/3210は意外とスタンダードなパーツで作られていることがわかる。
MP-XP7210DE | MP-XP3210DE | |
CPU | 超低電圧版モバイルPentium III-M 750MHz | 超低電圧版モバイルCeleron 650MHz |
メモリ(最大) | 256MB(384MB) | 128MB(384MB) |
HDD | 30GB | 20GB |
チップセット | SiS630T | |
ビデオ機能 | SiS630T内蔵(UMA) | |
液晶 | 8.9インチTFT 1,024×600ドット/32bitカラー |
|
オーディオ | SiS630T内蔵/ステレオスピーカー | |
インターフェイス | PCカードスロット(Type2×1)、SDメモリーカードスロット、USB 1.1×2、100Base-TX対応Ethernet、モデム、VGA(ミニコネクタ)、マイク、ヘッドホン端子 | |
IEEE 1394 | 1ポート | - |
キーボード | ドイツ語(16mmキーピッチ、1.5mmストローク) | |
ポインティングデバイス | スティックポイント | |
バッテリ駆動時間 | 2時間(内蔵)/12時間(オプション) | |
本体サイズ | 225×152×28mm(幅×奥行き×高さ) | |
重量 | 875g |
●活気付くアンダー1kgのノートPC市場、課題は「何ができるのか」の提案
デバイスマネージャで各デバイスを表示したところ。チップセットにはSiS630Tが採用されている |
ソニーも先日バイオUという新しいジャンルの製品の開発意向表明と開発中製品の公開を行なったが、ここにきて急にアンダー1kgのノートPC市場が俄然活気付いてきたことは、モバイルユーザーとして素直に歓迎したい。
あとはメーカー側が、アンダー1kgならではの使い方をユーザーに提示できるかどうかだ。これまでも、こうしたアンダー1kgの製品はいくつか登場してきた。古くはIBMのPalm Top PC110、NECのMobio、東芝のLibretto ffなど華々しく登場しては消えていった。これまでのパターンを見ていくと、こうした製品が登場したときに、メディアは大絶讃する。だが、実際にはあまり売れないで、結局メーカーはビジネスにならず消えていくということが繰り返されてきた。
各メーカーの担当者が指摘するのは、そうしたアンダー1kgのPCを何に使うのかということを上手く提案できなかったという反省の弁だ。今後、この市場が本格的に立ち上がるためには、こうしたアンダー1kgの製品で何ができるのかということをユーザーに提案していく必要があるといえる。ただ単に「PCが小さくなった」と主張するだけでは、広くコンシューマに受けいれられるのは難しいだろう。
そういう意味では、本製品をビクターが日本で投入する時や、バイオUでソニーがどのようなメッセージを打ちだしてくるのか、そのあたりに期待したい。特に、「市場がないのではないか?」と皆が考えていた液晶デスクトップPC市場に、バイオWで殴りこみをかけて大成功を収めたソニーがどのようにバイオUを売りこんでいくのか、その点がこのアンダー1kg市場の成否をにぎっているのかもしれない。
●CeBIT会場にはF1マシンが花盛り?
トヨタ自動車のAM01(TF101)。昨年型のテストマシン。今年から参戦を開始しているが、スポンサーは松下電器産業(Panasonicブランド) |
さて、ここCeBITにもそういう事情を反映してか、各社のブースにはスポンサーをしているF1カーが展示され、大きな注目を集めていた。
例えば、今年からF1に参戦しているトヨタ自動車は、メインスポンサーである松下電器産業(Panasonic)のブースに昨年型のAM01を展示していたし、日本の佐藤琢磨選手がドライブしていることで注目を集めているジョーダン・ホンダは、そのスポンサーであるドイチェポストのブースに展示されていた。また、マレーシアGPで1、2フィニッシュを飾ったウィリアムズ・BMWは、メインスポンサーであるコンパックコンピュータのブースで、またマクラーレン・メルセデスはテクニカルスポンサーであるキヤノンのデジタルカメラの被写体用にと大々的に展示されていた。
ドイチェポストに展示されたジョーダン・ホンダのEJ11。ディスプレイは今年型のEJ12となっているが、マシンは明らかに昨年型のEJ11だった。ただし、カラーリングは今年のバージョンで、日本の佐藤琢磨のシールが貼られていた |
見てわかるように、モノコックにはホンモノのフェラーリ(おそらく一昨年型だと思われる)を使用し、来場者が実際に乗って、EAスポーツのFormula1 2001を利用したレースが行なわれるのだ。ドイツの英雄ミハエル・シューマッハのマシンに乗れるとあって、このプロモーションは大人気で、多くの来場者がわれ先にと挑戦していた。
ボーダーフォンと言えば、日本ではJ-PHONEが傘下の会社となっているが、ぜひ、日本のショーでもチャレンジしていただきたいものだ。いかがだろうか? >J-PHONEのプロモーション担当の方
ボーダーフォンではフェラーリに乗りこんでF1ゲームを行なうプロモーションを行なっていた。ちなみに、フェラーリにはPCユーザーに馴染みが深いスポンサーもついている |
●ドイツ人の話題の中心はiモード、日本人の多くは逆取材攻勢に辟易?
e-Plusのブースではiモードを大々的にプロモーション |
面白かったのはNTTドコモ関係者ではない、日本人展示員のぼやきだ。日本人展示員の方に「今年のCeBITはどうですか?」ときいてみると、みな一様に「いや~今年はiモード一色ですよ、関係ない私達にもiモードはどうだという質問がくるぐらいですから」とぼやくことしきりだった。
実は、筆者もプレスルームで仕事をしていると、多くのドイツ人プレスに、iモードはどうだとか、auのEZwebはどうなんだとか、こちらが参ってしまうぐらい多くの質問に、まったく仕事にならなかったこともあったほどだ。
とりあえず、今の所ドイツではiモードに対する期待感、興味は非常に高いといってよさそうだ。果たして、1年後にもう一度来たときに、iモードに対する興味は継続しているのだろうか? 日本発のトレンドが、世界で通用するのかどうかには、我々日本人としても気になるところだ。なお、その来年のCeBIT 2003は、2003年の3月12日~19日(現地時間)に渡って、再びHannover Messeにおいて開催される。
●Bluetoothを使ってキーボードを分離したFUJITSU SIEMENS
ノートパソコンからのキーボード分離にBluetoothを利用 |
分離したキーボード内にもキーボードやトラックパッド、そしてBluetoothを駆動するための二次電池が入っているはずだが、それほどの重量感はない。キーボード部分の充電は、本体に装着しているときに行なわれるようなので、あまりにも長時間外しっぱなしというわけにはいかないようだ。
念のため、より小型のノートブックなど、ほかのラインナップへの応用の有無も確認してみたが、現時点では決まっていないという。
●携帯電話を使って簡単なプレゼンテーションを
現時点ではコンセプト出展ながら、ちょっと楽しそうな使い方 |
担当者によれば、マンツーマンでの打ち合わせなどで利用できるプレゼンテーションツールという使い方を想定しているようだ。いまのところコンセプトのみで、デモで映し出されているデータは端末内ではなく、プロジェクター内に保存されているデモ用のデータ。また、それなりの光量も必要なため、バッテリなどどういった電力供給形態にするかも課題のようだ。
とはいえアイディアは面白く、むしろ日本では仕事用途ではなく、若者が楽しい使い方を考えつきそうな気がするが……。
●そのほかに会場で目に付いたもの
□CeBIT 2002のホームページ(英文)
http://www.cebit.de/homepage_e/
□関連記事
【3月15日】プロカメラマン山田久美夫のCeBIT 2002 Hannover レポート
JVCがA5サイズの小型ノートPCを公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0315/cebit06.htm
(2002年3月19日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング/矢作 晃(akira@yahagi.net)]