プロカメラマン山田久美夫のCeBIT 2002 Hannover レポート

JVCがA5サイズの小型ノートPCを公開

XP7210DEをもって登場した“ドイツの藤原紀香”ことベローナさん。ドイツ国内でのCMに出演するということで、TV局の取材陣も多数押し掛けていた

会場:Hannover Messe
会期:3月13日~20日(現地時間)




 JVC(日本ビクター)は、CeBIT2002でWindows XP Home Edition搭載の超小型モバイルPC「MP-XP7210DE」および「MP-XP3210」の2機種を発表した。これまで同社は、Windows CEを搭載したInterlinkシリーズを展開してきたが、今回初めてWindows XPマシンを投入することになった。

 本体サイズが225×152×28mm(幅×奥行き×高さ)という小型ノート。大きさとしては、同社のInterlinkシリーズや、CASSIOPEIA FIVAなどに近い。重量は標準バッテリーをつけた状態で875gと、かなり軽量に仕上がっている。

 上位モデルとなるMP-XP7210DEでは、CPUにモバイルPentium III 750MHzを搭載している点も大きな特徴。下位モデル「MP-XP3210」ではCeleron 650MHzを搭載する。DVカメラなどの大容量データを有効に活用できる携帯PCとして設計したため、小型でも十分な処理能力を備えたCPUを搭載したという。

 メモリも「7210DE」は標準で256MBを搭載(最大384MB)。HDDは2.5インチの30GBを搭載するなど、モバイル機としては十分なポテンシャルを備えている。

 さらに、液晶ディスプレイは8.9インチの1,024×600ドット表示低温ポリシリコンTFT液晶を搭載する。「Interlink C304」などにも搭載されている、高精細な低温ポリシリコンTFTであり、その液晶表示の美しさは大きな魅力。

 インターフェイスも充実しており、Type2のPCカードスロットとSDメモリーカード専用スロットを各1スロットずつ搭載。IEEE 1394(MP-XP7210DEのみ)や100BASE-TX対応Ethernetのほか、2基のUSBなども装備している。残念ながら無線LAN機能を内蔵する予定はないということだ。

 バッテリは標準で2時間。大容量タイプを増設することで12時間の駆動が可能。標準タイプでの駆動時間がやや短めに感じるが、これは日常的な携帯性を重視したためという。

 Interlinkシリーズの頃からデザインにこだわりをもつ同社のノートPCだが、今回のモデルは、パッと見では比較的オーソドックスな仕上がりに感じられる。しかし、外装は金属素材で質感も良好であり、閉じた状態で持っても、凹凸が少なく、角が丸まっていることもあって、手にしっくりと馴染む感じがした。

 また、発熱の多い高速CPUを搭載する関係で、ボディー底面は穴だらけになっており、通気による放熱効果を重視した設計になっているが、その部分もきちんとデザインされているため、機能一点張りになっていない点が好ましい。

 小型ノートでは、どうしてもキーボード配列やキータッチにしわ寄せが来てしまいがちだが、本機はInterlinkシリーズの小型キーボードをベースに、剛性感をさらに高めることで、比較的良好な感触を実現したという。ポインティングデバイスは、トラックポイントを採用している。

 ただ、正直なところ、せっかくJVCが開発したのなら、AV系メーカーらしさがもう少し感じられる機能があってもいいかな? と思ってしまう。もっとも、このあたりはプリインストールソフトなどで特徴づけができる部分なので、発売時の展開が期待される。できれば次期モデルでは無線LAN機能の内蔵化や標準バッテリーの駆動時間延長(最低3時間前後)も期待したいところだ。

 なお、ドイツでの価格は、「MP-XP7210DE」が2,800ユーロ(1ユーロ=約116円 3月15日現在)、下位モデルの「MP-XP3210」では2,300ユーロを予定している。これはドイツ国内での価格のため、約15%の内税込みのものだ。ドイツでは今夏の発売が予定されているが、日本国内での発売については未定。

□CeBIT 2002のホームページ(英文)
http://www.cebit.de/homepage_e/

(2002年3月15日)

[Reported by 山田久美夫]


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