最薄部14.9mmの世界最薄ノート「DynaBook SS S4」が登場!



 東芝から登場した「DynaBook SS S4/275PNHW」は、厚さ14.9mmという世界最薄を実現したB5ファイルサイズスリムノートPCである。重量も約1.19kgと軽く、ノートPCを常に携帯したいというモバイル派にとって待望の製品であろう。

 そこで今回は、高性能と携帯性を高いレベルで両立させたDynaBook SS S4/275PNHWの魅力をじっくり紹介していきたい。



●「液晶は大きく、本体は薄く、軽く」が最近のトレンド

 DynaBook SS S4/275PNHW(以下DynaBook SS S4)は、携帯性を重視した1スピンドル(HDDのみ内蔵)のノートPCである。このクラスのノートPCは、日本ではサブノートと呼ばれているが、そのサブノートをさらに細かく分類すると、10.4インチクラスの液晶を搭載したB5サイズノートPCと、11.3インチまたは12.1インチ液晶を搭載したB5ファイルサイズノートPCに分けることができる。

DynaBook SS S4は、CDのジュエルケースを2枚重ねたよりも薄い

 前者の代表として挙げられるのが、ソニーのバイオノートSRや日本IBMのThinkPad s30、松下電器産業のLet'snote LIGHTなどであり、後者の代表として挙げられるのが、シャープのMURAMASAやソニーのバイオノートR505、日本IBMのThinkPad X23などである。10.4インチクラスの液晶を搭載したB5サイズノートは、携帯性の点では有利だが、ドットピッチが小さくなり、細かな文字が読みにくくなってしまうことや、キーボードに割けるスペースも狭くなるので、キーボードにしわ寄せがきてしまう(キーピッチが狭くなるとか、配列が変則的になるなど)という欠点がある。

 そこで最近は、12.1インチクラスの液晶を搭載しながら、本体をできるだけ薄く、軽くすることで、使い勝手と携帯性を両立させようというアプローチが主流になってきている。

 そうしたアプローチの追求によって生まれた製品が、2001年6月にシャープから登場した「Mebius MURAMASA PC-MT1-H1S」(以下MURAMASA)である。MURAMASAは、12.1インチ液晶を搭載したB5ファイルサイズノートPCだが、キャビネット一体薄型表示ユニットの採用によって、最薄部16.6mm、重さ約1.31kgという当時の世界最薄・最軽量(12.1インチ液晶搭載モデルとして)を実現し、大きな注目を集めた。今回、東芝から登場したDynaBook SS S4もMURAMASAと同様に、12.1インチ液晶を搭載しているが、最薄部の厚さ(むしろ薄さと言うべきか)はわずか14.9mmで、重さは約1.19kgしかない。初めてMURAMASAを目にしたときにもその薄さには驚かされたが、そのMURAMASAの記録を1.7mm更新したDynaBook SS S4は、まさに究極の「スリム」ノートといえるだろう。

 DynaBook SS S4は、一番厚い部分でも厚さは19.1mmであり、音楽CDやCD-ROMなどのジュエルケースを2枚重ねた厚さよりも薄い。MURAMASAのキャッチフレーズとして、「ノート」から「シート」へという言葉があったが、ここまで薄くなると、確かにシートと呼ぶのがふさわしいのかもしれない。



●メモリを512MBまで増設できるなど、高い基本性能を実現

底面に用意されているメモリモジュール増設用ソケット。メモリモジュールの形状は独自である

 DynaBook SS S4は、単に世界で最薄・最軽量のノートというだけでなく、高い基本性能を実現していることも魅力である。CPUには、750MHz駆動の超低電圧版モバイルPentium III-Mを搭載し、メモリは標準で256MB実装している。初代MURAMASA(PC-MT1-H1)は、メモリ容量が128MB固定で増設できないといった不満があったが(後継製品では256MB固定に増えている)、DynaBook SS S4では、独自形状のメモリモジュールによって、最大512MBまでメモリを増設することが可能である。

 MURAMASA(3月13日に発表された2スピンドルモデルのPC-MV1-C1W/PC-MV1-C1Hを除く)やLet'snote TB、Let'snote LIGHTなどの機種ではチップセットにIntel 440MX(最大256MBまでのメモリをサポート)を採用しているため、最大メモリ容量が256MB止まりとなっているが、DynaBook SS S4ではチップセットとしてALiのCyber ALADDiN-Tを採用しており、512MBまでの増設が可能になっているのだ(Cyber ALADDiN-T自体は最大3GBまでのメモリをサポート)。将来新たなOSが登場したときのことを考えると、最大256MBでは心許ないが、512MBまで増設できればとりあえず十分であろう。



●PCカードサイズの1.8インチHDDを搭載

 DynaBook SS S4では世界最薄・最軽量を実現するために、さまざまな工夫が凝らされている。その1つが、1.8インチHDDの採用である。通常のノートPCでは、2.5インチHDDが採用されているが、DynaBook SS S4では、一回り以上サイズの小さい1.8インチHDD(東芝製MK2003GAH:20GB)を搭載している。1.8インチHDDは、PCカード型HDDでも採用されているが、2.5インチHDDに比べてサイズが小さく軽いだけでなく、3.3Vで駆動されるので消費電力が小さいという利点がある。その代わり、現時点での1.8インチHDDの最大容量は20GBなので、より大容量のものに交換することはできないが(もちろん将来的には、さらに大容量の1.8インチHDDが登場する可能性はある)、製品のコンセプトを考えれば、20GBでもそれほど不満はない。

 液晶パネルとしては、12.1インチ低温ポリシリコンTFT液晶(1,024×768ドット)が採用されている。明るさ・コントラストともに優れており、表示品位に関しても十分満足できる。Cyber ALADDiN-Tは、グラフィックコアとしてTrident Cyberblade XPコアを統合した統合型チップセットで、メインメモリの一部(16MB)をビデオメモリとして利用する仕組みになっている(SMA方式)。

 DynaBook SS S4では、薄さと強度を両立させるために、ボディの材質にマグネシウム合金を用い、液晶パネル部分の側面の継ぎ目をなくしたバスタブ構造を採用している。薄くてもボディの剛性感は高いので、安心して持ち歩くことができる。

 12.1インチ液晶を採用したB5ファイルサイズノートPCなので、ジャストB5サイズのノートPCに比べると、キーボードのスペースもゆったりしている。キーピッチは、デスクトップPCやA4オールインワンノートPCと同等の19mmで、配列も標準的で無理がない。キータッチもしっかりしており、タイピングも快適に行なえる。また、CapsLockが有効になっていると、CapsLockキーのLEDが点灯するのもなかなか親切だ。

 ポインティングデバイスとしては、タッチパッドが採用されている。パッドの面積はやや小さめだが、操作性が損なわれているわけではない。

DynaBook SS S4に搭載されている1.8インチHDD(左)と通常のノートPCで使われている2.5インチHDD(右)との比較 Enterキーが右端にあるなど、標準的な配列なので使いやすい CapsLockが有効になっていると、CapsLockキーの右にあるLEDが点灯する



●無線LANや外部ディスプレイポートも標準装備

 拡張性についても不満はない。56kbps対応モデムと100BASE-TX/10BASE-T対応Ethernetを内蔵し、USBポート×2と外部ディスプレイポートを標準装備している。さらに、PCカードスロット(Type2×1)とSDメモリーカードスロットを装備しているほか、IEEE 802.11bに準拠した無線LAN機能(Wi-Fi認定済み)を内蔵していることも高く評価できる。無線LAN機能は、右側面にあるスライドスイッチで有効/無効を切り替えられるようになっている。また、デュアルディスプレイ機能をサポートしており、外部ディスプレイと本体の液晶に別々のデスクトップ画面を表示できるのも便利だ(デュアルディスプレイ利用時の外部ディスプレイの最大解像度は1,280×1,024ドットとなる)。

DynaBook SS S4の右側面。左から、無線LAN機能切り替えスイッチ、ヘッドホン、マイク、赤外線ポート、PCカードスロット 左側面には、SDメモリーカードスロットが装備されている DynaBook SS S4の背面。左から、モデムポート(RJ-11)、LANポート(RJ-45)、USBポート×2、外部ディスプレイポート、ACアダプタ接続ポート

無線LAN機能は、スライドスイッチで有効/無効の切り替えが可能 一番右側が無線LAN機能のインジケータになっている

内蔵の無線LAN機能はWi-Fi認定済みで、底面にWi-Fiロゴがある デュアルディスプレイ機能をサポートしており、液晶と外部ディスプレイに別々のデスクトップ画面を表示可能



●標準バッテリでの駆動時間は短いが、大容量バッテリによって補える

 バッテリには、通常使われているリチウムイオン電池よりも薄型化が容易なリチウムイオンポリマー電池が採用されている。バッテリパックの厚さはわずか11mmで、ボディの薄型化・軽量化に貢献している。

 標準バッテリの容量は1,600mAhと小さめなので、連続駆動時間は最大約2.8時間と、6セルのバッテリを標準装備しているThinkPad s30やLet'snote TBなどに比べると半分以下しかないが、底面にオプションの大容量バッテリを装着することで、駆動時間は最大約8.8時間(標準バッテリと併用時)まで延びる。

 大容量バッテリの重量は約330gであり、装着時の合計重量も約1.52kgと、十分携帯可能な範囲に収まる。もちろん、大容量バッテリを装着すると、最大の利点である薄さが犠牲になってしまうが、海外への出張の際などに、長時間のバッテリ駆動が可能になるのはありがたい。

バッテリにはリチウムイオンポリマー電池が採用されている。容量は1,600mAhと小さめだ バッテリパックのサイズはほぼカセットテープと同じである バッテリパックの厚さはわずか11mmしかなく、カセットテープのケースよりも薄い

 DynaBook SS S4は、単に薄くて軽いだけでなく、高い実用性を兼ね備えたノートPCであり、ノートPCベンダーとしては老舗中の老舗ともいうべき東芝の底力が感じられる。アラン・ケイが提唱した理想のパーソナルコンピュータ「Dynabook」の名に恥じない製品として、ノートPCを常に持ち歩いて使おうというモバイル派にお勧めしたい。

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(2002年3月18日)

[Reported by 石井英男@ユービック・コンピューティング]


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