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NEW PRODUCTS TESTREPORT |
日立製作所 | ||
FLORA 330サイレントモデル PC7DK5-GA04P1L00 |
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低消費電力型Athlon XP搭載のビジネス向け小型デスクトップ | ||
TEXT:橋本新義 Shingi Hashimoto |
インターフェイスはUSB、LAN、サウンドなどに加えD-Sub15ピンとDVI-Dの2種類のディスプレイ出力を装備 |
本機でもっとも注目される点はCPUで、2月中旬時点では事実上本機のみの採用となる、「低消費電力型Athlon XP」を搭載する。このCPUのモデルナンバーは1500+で、FSB 200MHz、実クロックは1.3GHzとなっている。これに対して通常のAthlon XP 1500+ではFSB 266MHz、実クロックは1.33GHz動作となるので、実際の処理能力にはわずかながら違いがあることになる。
低消費電力型Athlon XPには、「Cool'n' Quietテクノロジ」という省電力技術が導入されている。これはモバイルAthlonシリーズに搭載されたPowerNow!テクノロジのデスクトップ版とも言える技術で、CPU負荷に応じて動作クロックを動的に変化させ、ムダな消費電力と発熱を削減するものだ。ただし、PowerNow!で可能なコア電圧の動的な切り換えには対応していない。
もう1つの特徴とも言えるのが、コンパクトマシンとしてはまだ少数派となる、DDR SDRAM搭載機である点だ。チップセットにはVIA Apollo KT266Aを採用し、CPU性能を損なわない高いバランスが保たれている。
チップセットにApollo KT266Aを採用したマザーボード。左下にはMOBILITY RADEONも見える | 本機に採用されている低電圧版Athlon XP 1500+。形状は通常版のAthlon XPと似ているがマーキングは異なる |
ライザーカードの使用により、薄型筐体ながら2本のPCIスロットを利用することができる |
本機のウリである静音性に関しては、発熱に合わせて回転数の制御を行なうCPUクーラーと、筐体内部に吸入式の冷却ファンを搭載した静音電源ユニットの採用により、非常に優秀なものとなっている。HDDには動作音の小さなSeagateのU6を採用しており、ストレージ系にも抜かりはない。
こうした静音性を実現した要因は、熱設計の手法にある。他メーカーのPentium 4やAthlonマシンが「小さな筐体の中で可能な限り効率的な放熱を行なう」ことを目指しているのに対して、本機は「発熱自体を可能な限り抑える」ことをコンセプトとしているのだ。
そのため、内部の構造はPentium 4搭載の小型マシンなどとはかなり異なる。あえて言うなれば、放熱処理に対して無頓着と言うか、放熱を重視する必要がない構造なのである。それを端的に表わしているのが、CPUの位置だ。本体前面にあるFDDのそばに位置しており、CPUクーラーとFDDの間にはちょっとした隙間しか空いていない。本来ならば冷却に有利な箇所ではないのだが、CPU自体の発熱が小さいので問題はないというわけだ。また、ビデオチップはノートパソコン用のMOBILITY RADEONを搭載しているが、こうした点でも低発熱志向が見て取れる。
実際に触れてみると、ビデオチップの性能に大きく左右される3Dグラフィックス処理などを除けば、速度は文句なしのレベル。Athlon XPが持つ高いパフォーマンスはまったく失われていない。
動作音に関しては、高い負荷をかけた状態でもCPUクーラーがうるさくなることがない。筐体内部の各所に触れてみても発熱は小さく、Athlonマシンの「高性能だが、大きな筐体で騒音も大きい」というイメージを覆すものとなっている。性能と静音性を両立したよくばりなマシンとして、パーソナルユースでも大きく注目したい存在だ。
■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)
□日立のホームページ
http://www.hitachi.co.jp/
□製品情報
http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/OSD/pc/flora/prod/desktop/flora330silent/
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【2001年12月21日】日立、低消費電力版Athlon XP 1500+搭載の省スペースPC
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011221/hitachi.htm