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会場:Moscone Center
会期:2月25日~28日(現地時間)
Intel Developer Forumは基本的には基調講演/技術トラックといったエンジニア向けの説明会だが、Intelや関係ベンダによる展示会であるデモショーケースも同時に行なわれている。本レポートでは、展示されていた中でも注目のPentium 4用の新チップセットに関するレポートをお届けする。
●ハイエンドユーザー注目の“Granite Bay”がこっそりデビュー
Intelブースで最も注目したい製品は、“Granite Bay(グラナイトベイ)”を搭載したシステムだ。Granite Bayとは、Intelが第4四半期にPentium 4プロセッサ用としてリリースする予定のワークステーション向けチップセットで、デュアルチャネルのDDR SDRAM、ICH4をサポートする。現在ローエンドワークステーションなどで利用されているIntel 850を置きかえることになる製品だ。OEMメーカー筋によれば、Granite Bayの現時点でのスペックは以下のようになっているという。
【Granite Bay】
・MCH(1,077ピン、FCBGA)
・対応CPU:Pentium 4プロセッサ(Northwoodコア)
・システムバス:400/533MHz
・メモリ:デュアルチャネル DDR200/266(各チャネル2DIMMで合計4DIMM、最大4GB)
・グラフィックス:AGP 8X
・インターフェイス:ハブインターフェイス(266MHz、266MB/Sec)
サウスとなるICHはICH4(後述)となっており、USB 2.0などにも対応しているという。なお、Xeon向けには別の“Placer(プレイサー)”という製品が用意されており、PlacerはGranite Bayの基本仕様に加えて、64bitのPCI-XブリッジチップとなるP64H2を接続することが可能になっている。このため、ハブインターフェイス2(16bit、533MB/Sec)に対応していることが大きな違いであるという。
●DDR333サポート可能性大のGranite Bay、システムバス667MHz化への前兆か?
さて、このGranite BayだがハイエンドPCユーザーにとって注目製品である理由は、メモリの帯域幅とシステムバスの帯域幅が一致しているためだ。
Granite Bayのメモリモジュールのアップ。DDR266と書いてあるのが確認できた |
Intelは5月にシステムバスのクロックが533MHzとなったPentium 4 2.4B GHzと2.26GHzという2つのクロックグレードを追加する。これにより、Pentium 4のシステムバスの帯域幅は4.2GB/Secにまで上昇することになる。だが、同時期にリリースされるIntel 850E(Tehama-E)は2チャネルのPC800をサポートし、メモリの帯域幅は3.2GB/Sec、Intel 845E/G(Brookdale-E/G)は1チャネルのDDR266で2.1GB/Secとなっており、いずれもシステムバスよりも帯域幅は狭くなっている。
システムバスが400MHzの現行Pentium 4で、システムバスとメモリバスの帯域幅が一致しているIntel 850に較べ、メモリの帯域幅がシステムバスの1/3もしくは2/3でしかないIntel 845の性能が若干劣るのを見ても判るように、どちらかの帯域幅が狭ければ、そちらがボトルネックになってしまい、システム全体のパフォーマンスは向上しない。
だが、このGranite Bayでは、デュアルチャネルのDDR266が利用可能なので、帯域幅は4.2GB/Secとなり、システムバスが533MHz時であってもシステムバスとメモリバスの帯域幅は一致することになる。そのため、Intel 845E/Gに較べて高いパフォーマンスを発揮する可能性が高いと言える。これが、Granite Bayがハイエンドユーザーにとって要注目の製品である理由と言える。ただ、Granite BayはデュアルチャネルのDDR SDRAMという設計になっているため、マザーボードの製造コストはシングルチャネルのIntel 845E/Gなどに較べて高くついてしまう。このため、IntelはGranite Bayをワークステーション向けと位置付けているのだろう。
なお、台湾のマザーボードベンダはこのGranite Bayを搭載したマザーボードをハイエンドデスクトップ用と位置付けており、Intel 850に代わる製品として計画している。気になるのは、OEMメーカー筋の情報によれば、IntelはOEMメーカーに対してGranite BayのメモリはDDR333になると通知してきているらしいということだ。
オリジナルのプランではGranite BayはDDR266に対応するということだったのだが(実際展示されていたGranite BayのシステムはDDR266が利用されていた)、変更があったという。仮にDDR333をサポートしているのであれば、メモリバスの帯域幅は5.4GB/Secとなる。既に述べたように、システムバス533MHz時の帯域幅は4.2GB/Secだからメモリバスの帯域幅が上まわる状況となる。Granite Bayは統合型チップセットではないので、システムバスの帯域幅を上まわるメモリ帯域幅は必要がないはずだ。
ここから先は筆者の推測だが、IntelはPentium 4のシステムバスの帯域幅を5.4GB/Sec、つまり667MHzへと引きあげることを検討しているのではないだろうか?。実際2003年の半ばまでには、Northwoodの後継となるPrescottが登場する。そこで、システムバスの667MHz化ということが検討されていてもなんら不思議ではなく、Granite BayのDDR333サポートはその前兆と考えるのが妥当なのかもしれない。
●注目のBrookdale-G搭載システムが展示
Intel 845Gを搭載したマシンのデモ |
既に述べたように、Intelは5月にシステムバスを533MHzに引きあげたPentium 4 2.4B GHzと2.26GHzを追加する予定であるという。それに対応したチップセットとして、Intel 850E(Tehama-E)、Intel 845E(Brookdale-E)、Intel 845G(Brookdale-G)、Intel 845GL(Brookdale-GL)という4つのチップセットを予定している。それらの詳細については、後藤氏のコラム( http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0225/kaigai02.htm )に詳しいので、スペックなどに関してはそちらを御覧戴きたい。
IntelのブースにはこのBrookdale-GことIntel 845Gを搭載したシステムが展示されていた。展示されていたのは、Intel 845Gの内蔵ディスプレイ機能を利用したデモマシンだ。Intel 845Gの内蔵グラフィックスコアは、世代的にはIntel 830Mファミリーに内蔵されているものと同等で、32bitカラーをサポートしたものとなっている(Intel 815ファミリーでは24bitカラーまで)。3Dの機能に関してはレンダリングエンジンは2パイプライン×1テクスチャユニット(ハードウェアT&Lは未サポート)で、350MHzのRAMDACを内蔵している。
DVOに対応したのアドオンカード。これはDVIコネクタを増設するタイプ。Intel 845GのAGPスロットに装入して利用する。最大で2DVOポートまで対応可能なので、例えばDVI+TV出力といったアドオンカードも可能になる |
ところで、このマシンにはAGPスロットに、見馴れぬアドオンカードが刺さっている。これは、Intel 815ファミリーでも採用されていたDVO(Digital Video Out)と呼ばれる、内蔵グラフィックスの拡張ポートを利用したアドオンカードだ。
DVOとはIntel 815ファミリーに、DVI、テレビ出力、セカンドCRT出力などを追加する専用ポートで、Intel 815ファミリーでは1ポートを利用することができた。これに対してIntel 845Gでは3つのDVOポートを利用可能となっている。つまり、DVI、テレビ出力、セカンドCRTの3つを同時にサポート可能となっているのだ。この3つのDVOポートのうち、1つはマザーボード上にオンボードでインプリメントされ、残り2つがAGPの形をしたカードに搭載され、利用されることになる。
今回のデモではこのアドオンカードが展示されていたほか、実際にデモではAGPスロットに、テレビ出力が可能なアドオンカードを挿した状態でのデモが行なわれていた。
●Brookdale-E/GやGranite Bayで利用されるICH4も静かにデビュー
Intel 845E/G/GL、そしてGranite BayやPlacerでサポートされる新しいICHのICH4(FW82801DB)も展示されていた(Granite BayやIntel 845Gのシステムが公開されていたので当たり前なのだが)。
Intel 845E/G/GL、Granite Bay、Placerで利用されるICH4 |
ICH4の新機能はUSB 2.0コントローラの統合だ。ICH3でもUSB 2.0の機能は統合していたものの、有効にはされていなかったが、ICH4では遂に有効となった。ICH4のUSB 2.0コントローラはUSB 2.0 EHCI(Enhanced Host Controller Interface)コントローラが1つ、USB 1.1のUHCIコントローラが3つという構成になっている。
これはICH4が8ポートをサポートするという意味ではなく、実際には6ポートがサポートされ、すべてがUSB 2.0対応になる。ただし、USB 2.0 EHCIコントローラは1コントローラであるので、6ポートすべてのUSB 2.0対応機器を接続した場合には、1つのEHCIコントローラですべてのポートをコントロールすることになるので、各デバイスあたりの帯域は480Mbps÷6=80Mbpsと制限されることになる。
しかし、現時点ではUSB 2.0に対応したデバイスはさほど多くなく、実ユーザー環境では1つないしは2つのUSB 2.0デバイスを接続する程度であると考えれば、さほど大きな問題ではないだろう。
●Rambusは32bitRIMMモジュールRIMM4200をデモ
RIMM4200のメモリモジュール。RIMM4200は32bit幅で、1,066MHz動作時で4.2GB/Secの帯域幅を実現する |
Rambusは、昨年日本で開催されたRambus Developer Forumにおいて構想を明らかにした、バス幅を32bitに拡張したDirect RDRAMのモジュール「RIMM4200」をデモした。
RIMM4200は、従来のPC800のバス幅が16bit幅であったのに対して、これを32bitに拡張し、倍の帯域幅を実現したものだ。また、RDRAMのクロック自体も1,066MHzに上げられており、これにより1モジュールで4.2GB/Secという帯域幅を実現している。
ASUSTeK ComputerのP4T1066というマザーボードを利用して、実際にデモされていた。Rambusの展示員によれば、このチップセットはIntel 850E(Tehama-E)であるという。ただし、Intel 850EのメモリはPC600/800(600/800MHz)のDirect RDRAMのみをサポートしており、1,066MHzのRDRAMはサポートしていない。Rambusの展示員によれば、メモリバスの部分はオーバークロックで動作しているということだった。
RIMM4200の動作デモ。各メモリモジュールが16bitDirect RDRAMモジュールの2つ分に相当するので、メモリソケットは合計で2つしかない | 利用されていたのはASUSTeK ComputerのP4T1066という製品名までついたマザーボード。はたして製品として投入されるのだろうか? |
●ALiはCyberALADDiN-P4を展示
ALiのCyberALADDiN-P4(M1672)。モバイルPentium 4-M用の統合型チップセット |
ALi(Acer Laboratories Inc.)はTrident MicrosystemsのCyberBLADE XP2コアを統合したCyberALADDiN-P4をリリースし、展示した。CyberALADDiN-P4は、モバイル用とデスクトップ用が用意されているが、基本的にはモバイル用途がメインであるという。
□関連記事
【2月26日】ALiとTrident、Pentium 4ノートPC用チップセット「CyberALADDiN-P4」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0226/ali.htm
□Intel Developer Forum Spring 2002のホームページ(英文)
http://www.intel.com/idf/us/spr2002/index.htm
□関連記事
【2月25日】【海外】SpringdaleはAGP 8X/Serial ATA/Gb EthernetプラスDDR333?
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0225/kaigai02.htm
(2002年2月27日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]