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FSB 533MHzのPentium 4は、FSB 400MHz版と同価格に設定


●533MHz FSBへの移行を促すIntel

 デスクトップでのIntelの次のステップは533MHz FSB(フロントサイドバス)への移行。Intelは、今回の400MHz→533MHzの移行では、かなり積極的にユーザーを新プラットフォームにけん引する。それを象徴するのは価格戦略だ。

 OEMメーカーによると、Intelは533MHz版と400MHz版のPentium 4(Northwood:ノースウッド)の価格差をつけない方針だと明かしたという。533MHz版と400MHz版はチップセットもそれほど価格差がない。そのため、原理的には同じクロックの533MHz FSB版がお買い得ということになる。

 これはIntelのよくある戦略で、移行を促したい時には性能差による価格差をなくす。例えば、Pentium III発表時には同じ価格のPentium IIとほとんど価格差をつけなかった。そのため、Pentium III移行は急速に進んだ。つまり、Intelはユーザーに533MHz FSBへ移行して欲しがっていることを意味している。

 もう少し、詳しく見よう。Intelは、533MHz FSB版Pentium 4の第1段として2.4GHzと2.26GHzを5月中に投入する。Pentium 4はそれ以前の4月頭に400MHz版の2.4GHzを発表する予定でいる。そのため、2.2~2.4GHzがオーバーラップするクロック帯になる。ちなみに、同じクロックの533MHz版は「2.4B GHz」という名称で区別されるようだ。

 これらのPentium 4の登場時の価格レンジは以下のようになる。

クロックFSB価格
2.4GHz533 MHz550ドル前後
2.4GHz400 MHz550ドル前後
2.26GHz533 MHz500ドル前後
2.2GHz400 MHz500ドル前後

●2.8GHzから上は533MHz FSBだけに

 実際には、ドルのケタまでピタリと同じ価格にIntelは設定している。2.2/2.26GHzの価格がかなり割高だが、Intelは価格の引き下げを予定しているという。そのため、第2四半期後半のPentium 4の価格レンジは以下のようになる。

セグメント400MHz533MHz
600ドル前後2.4GHz2.4GHz
440ドル前後----
330ドル前後----
250ドル前後2.2GHz2.26GHz
190ドル前後2/2AGHz--
150ドル前後1.8/1.9GHz--

 これで分かる通り、533MHz FSBはすぐに手軽な価格レンジに来る。ここでも、533MHz FSBの浸透を早めようという意図が見える。Intelは今後しばらくは400MHz FSBも平行して出し続けるが、下の図のように第4四半期の2.8GHzからは533MHz FSBオンリーとなるようだ。

時期400MHz533MHz
03Q1--3.06GHz?
Q4--2.8GHz
2.6GHz2.66GHz
Q32.5GHz2.53GHz
Q22.4GHz2.4GHz
2.2GHz2.26GHz

 来年第1四半期に登場する3GHzクラスは、実際のクロックがどうなるのかわからないので、これは推定クロックだ。ちなみに、次の「Prescott(プレスコット)」に入れ替わるまでに、Northwoodは3.33GHzクラスまでは行くだろう。

 Intelが533MHz FSBへの移行を促すため、年末商戦時期までには、Pentium 4はほぼ533MHz FSBに移行してしまうだろう。これは、昨年までの予定とは大きく違っている。昨年の11月頃までIntelは、533MHz FSBを来年中盤に投入する予定で、400MHz FSBもかなりの割合で残る計画だった。

●Willamette-128KB前倒しとリンクする533MHz FSB化

Intel CPU 最新移行図

 Intelが533MHz FSBを急ぐ理由は2つ考えられる。ひとつは、Pentium 4アーキテクチャベースのCeleron(Willamette-128KB:ウイラメット128KB)の投入を早めたため、差別化を急ぐ必要が出たこと。Willamette-128KBはPentium 4と同じSocket 478だが、400MHz FSBオンリで提供される。だから、Pentium 4を533MHz FSBに移行させれば、L2キャッシュサイズとFSBで、明確な差別化ができる。

 実際、これまでPentium 4の533MHz FSBが前倒しされるのと平行して、Willamette-128KBも前倒しになりつつある。1月まで夏頃に導入の予定だったWillamette-128KBのスケジュールは再び前へずれた。最新の情報では第2四半期後半まで繰り上がっている。その結果、Celeronが現在のPentium IIIベースのTualatin(テュアラティン)からWillamette-128KBに入れ替わる時期も前倒しになった。今年の末までには、IntelのデスクトップCPUはすべてPentium 4アーキテクチャに入れ替わってしまう見込みだ。

 5月頃に登場する最初のWillamette-128KBは、1.7GHzになるようだ。そのため、TualatinベースのCeleronは1.4GHzで打ち止めになる。これは、Celeronもまた熱くなる、つまり、TDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)が高くなってしまうことを意味している。Willamette-128KBは製造プロセスが0.18μmであるため、0.13μmのNorthwoodよりTDPが高い。Pentium 4のTDPから推定すると、60W以上は覚悟しなければなたない。

 そのため、今年後半は、Pentium 4の方がCeleronよりクール=TDPが低くなる。そのため、Intelとしては、Pentium 4でSFF(Small Form Factor)を作るようにと、OEMメーカーにさらに言いやすくなる。OEMメーカーとしては、SFFを作るのにますます苦労が増えることになる。

 もっとも、Intelは、NorthwoodコアのCeleronを第1四半期に持ってくる計画も明らかにしているという。2GHzから上はNorthwood(2GHzはWillamette-128KBとNorthwoodの両方)になる。そのため、2003年の中盤までには、すべてのIntelのCPUが0.13μmへの移行を終えると見られる。つまり、0.13μmへの移行にはまるまる8四半期、2年かかることになる。Intelの0.13μmプロセスの製造キャパシティを考えると、これは時間がかかり過ぎのような気もするが、理由はわからない。

 ちなみに、0.13μm化を終える2003年後半には、Intelは今度は0.09μm(90nm)プロセスの製品の導入を始める。また、CPUコアでは、“NetBurstアーキテクチャ(Pentium 4)を発展させた”というPrescottが登場する。

デスクトップCPUロードマップ


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(2002年2月19日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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