イベントレポート

東プレ、タイピングの強さで値が変わる“アナログ”キーボード

~ソフトウェアでストロークをカスタマイズ。海外向けLED付きも

2種類の試作機

 東プレ株式会社は、COMPUTEX TAIPEI 2015に出展し、タイピングの強さによって値が変わるアナログのような入力が可能なキーボードと、フルカラーLEDを内蔵した静電容量式キーボードのプロトタイプを展示した。

 アナログのような入力が可能なキーボードは、静電容量方式スイッチの特徴を活かした製品。ご存じの通り、同社の静電容量式スイッチは接点が存在しないため、オンとオフという2つの状態の概念がなく、静電容量がハードウェア的に決められた一定の値(押下した深さ、ほぼ力を加えた強さに比例する)を超えた場合にオン、それ未満の場合をオフと設定することで、オン/オフという2つの状態しか持たないキーボードとして動作していた。

見た目は一般的なRealforceとほぼ同じだ
カスタマイズのソフトウェア

 今回、キーボードに専用のASICを組み込むことで、ソフトウェアからその静電容量の状態を読み取れるようにした。これによって、オン/オフの値を256段階の中から自由に設定できるようにした。加えて、この256段階の情報をソフトウェアに直接渡すことも可能となった。

 デモに用いられた専用の内製ソフトでは、ゲームモードに設定すると、アナログジョイスティックやステアリングホイールのように動作し、例えばレーシングゲームにおいて、キーを押下する強さでアクセルワークやステアリングの深さをエミュレートできる。

 一方でMIDIモードにすると、MIDI鍵盤をエミュレートし、鍵盤と同じようにキー押下の強さで音の強弱に変化が加えられるようになる。

 またマウスモードでは、カーソルの移動距離の速度も押下する強さによって変化。ポインティングデバイスが不要となり、例えばFnキー+A/W/S/Dでマウスの動きをエミュレートするように設定すれば、ホームポジションから手を離すことなくマウスポインタを操作可能だ。

 さらにPageUp/PageDownによるスクロールの速度を、押下の強さに応じて変化させる、入力の強さによって大文字と小文字を自動的に切り替える、といった高度な使い方が可能となる。

 試作機はUSB接続で、USB複合デバイスとしてOS上から認識されるようになっており、ソフトウェアのモード切り替えによって、MIDI鍵盤やジョイスティックとして認識されるよう、切り替える仕組みとなっている。なお、ゲーミングに必須なNキーロールオーバーや全キー同時押しにも対応しているとのことだった。

 現在開発を進めており、製品化は来年以降を予定しているという。

【動画】Realforceでベートーヴェンの「月光」を弾く様子
【動画】入力の強弱で大文字/小文字を自動的に切り替える様子

フルカラーLEDを内蔵したキーボードも

 また、同社が海外向けに展開を予定している「TYPE HEAVEN」ブランドの静電容量式キーボードも展示。

TYPE HEAVEN

 こちらはRealforceの姉妹品とも言えるモデルで、キートップがABS樹脂で文字がレーザー刻印になっているほか、製造が中国で行なわれているなど、コストダウンの要素が含まれている。Realforceが250ドル前後で発売されているのに対し、TYPE HEAVENは150ドル~200ドルのレンジを狙うという。ただし、中身はRealforceとほぼ同等だ。

 最大の特徴は、東プレ純正キーボードとしては初めてフルカラーLEDを内蔵した点。個々のキーにLEDが埋め込まれ、ソフトウェアによって各々のLEDの発色やパターンなどを設定できる。LEDコントローラの品質にこだわり、約1,600万色を正確に表現できるとしている。

 加えて、先のプロトタイプのように細かくは設定できないものの、押下の深さで反応する距離、つまりキーストロークを1mm、1.5mm、2mm、3mmの4段階に調節可能となっている。

 説明員によると東プレのキーボードは、国内ではユーザー間の口コミによって認知度が広まったが、中国のような新興市場や欧米諸国では認知度が低いとしており、TYPE HEAVENのような製品で市場を開拓していきたいという。

1mmのストローク
1.5mmのストローク
2mmのストローク
3mmのストローク

(劉 尭)