イベントレポート

HP、13.3型の回転型2-in-1「Spectre x360」を発表

~WQHDパネルを選択可能

Spectre x360は13.3型液晶ディスプレイと360度回転型ヒンジを備えた2-in-1デバイス

 Hewlett-Packard(HP)は、MWC(Mobile World Congress) 2015に先立って行なわれた報道関係者向けのイベント「Mobile Focus」に出展し、2-in-1デバイス「Spectre x360」を発表した。Spectre x360は、360度回転型のヒンジを備える2-in-1デバイスで、クラムシェルモード、タブレットモード、テントモード、スタンドモードなどさまざまなスタイルで使えることが特徴となる。

 アルミを多用したスタイリッシュなデザインを採用しており、13.3型のディスプレイと第5世代Coreプロセッサを搭載したPCとしては大容量な56Whバッテリを搭載しており、MobileMarkという割と厳しめのバッテリベンチマークテストで、12時間のバッテリ駆動を実現できる。

ギアを内蔵した回転ヒンジを採用

 今回発表されたSpectre x360は、ヒンジ部分が360度回転する形の回転ヒンジを備えた2-in-1デバイスとなる。最初にこうしたデザインを採用したLenovoだけでなく、今や多くのメーカーが同じ仕組みを採用しており、業界の1つのトレンドになっている。回転ヒンジの最大のメリットは、追加重量を抑えながら変形機構を実装できること。HP自身も「HP Pavilion 11-n000 x360」という11.6型モデルを投入済みだ。クラムシェル型でのユーセージモデルが主で、たまにタブレットやテントモード、スタンドモードなどで使いたいと考えるユーザーにとっては最適な選択肢になる。

 HPの展示員によれば、今回Spectre x360で採用したのは、独自開発した最新型の回転ヒンジだという。ヒンジの内部にギアが入っており、クラムシェルモード時には、ユーザーが液晶をタッチしても後ろに倒れないようになり、逆に回転してタブレットモードなどに変形させるときには滑らかに変形できるように調整されているのだという。これにより、ユーザーがクラムシェルモードで使う時も、変形させる時も快適に利用できるという。なお、タブレットモード時にキーボードが格納されるなどの機構は用意されておらず、ソフトウェア的に無効になる。

 ボディはアンテナ部分などを除いてアルミが採用されており、外観は非常に高級感のあるデザインとなっており、厚さは最厚部で15.9mm。重量は1.49kgと、13.3型のクラムシェル型ノートPCとしては決して軽い部類ではないが、その代わりに剛性感は高く、持ち歩く時の安心感がある。

 また、56Whという比較的大きな容量のバッテリを内蔵していることも重量に影響している。その代わりとして、比較的実利用時間に近いと言われているバッテリベンチマークのMobileMark 2012において、12.5時間という長時間駆動が可能になっている(Core i5、4GB LPDDR3、128GB SSD、フルHDパネル選択時)。

このようにテントモードにもすることができる
タブレットモードにもできる。この時キーボードはソフトウェア的に無効になる
スケルトンパネルに取り付けられた回転ヒンジ部分。ギアが入っており、クラムシェルモードでは多少の押しでは倒れず、回転するときには滑らかに回転するようになっている
キーボードや液晶天板などはアルミで製造されている
本体の内部。大部分をバッテリが占めていることが分かる
基板のCPU、メモリ部分のアップ

フルHDかWQHDのどちらかを選択可能な13.3型ディスプレイ

 PCとしての基本的なスペックも充実しており、CPUは第5世代CoreのUプロセッサで、Core i7ないしはCore i5から選択すできる。メモリはLPDDR3-1600で、最大で8GBまで対応している。ストレージはすべてSSDで、128GB、256GB、512GBのいずれかから選択する。

 ディスプレイはフルHD(1,920×1,080ドット)ないしはWQHD(2,560x1,440ドット)。既に米国では受注が開始されているが、現在選択肢として選べるのはフルHDのみで、WQHDに関しては選択することができず、今後追加モデルとして設定される。なお、デジタイザペンには対応しておらず、タッチ操作のみとなる。

 ポート類は、右側面にMini DisplayPort、HDMI、USB 3.0×2、ヘッドフォン端子が用意され、左側面にはUSB 3.0とSDカードスロットが用意されている。左右合計で3つ用意されているUSB 3.0は、全てがスリープ中の電力給電にも対応しており、カバンに入れている時にモバイルバッテリの代わりとしてスマートフォンを充電したりできる。キーボードに関してもフルピッチのアイソレーション型キーボードで、大きめのタッチパッドも用意されており、操作性はよさそうだ。

 HPによれば、米国では既に受注が開始されており、Core i5、4GBメモリ、128GB SSD、フルHDディスプレイの構成で899.99ドル(日本円で約108,000円、税別以下同)、Core i7、8GBメモリ、256GB SSD、フルHDパネルの構成で1,149.99ドル(日本円で約138,000円)、Core i7、8GBメモリ、512GB SSD、WQHDパネルの構成で1,399.99ドル(日本円で約168,000円)という価格設定になっている。展示員によれば日本など、米国と欧州以外の市場に関しては本社側では不明ということで、後日各地域の現地法人から発表があるという説明だった。

本体の左側面にはUSB端子とSDカードスロット
本体の右側面にはMini DisplayPort端子、HDMI端子、USB 3.0×2、ヘッドフォン端子が用意されている

(笠原 一輝)