イベントレポート
ワコム、Windowsペンタブレット「Cintiq Companion 2」を展示
~27型WQHD液晶ペンタブ「Cintiq 27QHD」も
(2015/1/9 00:00)
Cintiq Companion 2
「Cintiq Companion 2」は、Windows搭載ペンタブレット「Cintiq Companion」の後継モデル。詳しい仕様などは既報の通り、搭載CPUを第4世代Coreプロセッサに強化するとともに、液晶の表示解像度がWQHD(2,560×1,440ドット)に高精細化されている。
また、DisplayPort+USB分岐型の専用ケーブルを利用しほかのPCやMacなどに接続すると、純粋な液晶タブレットとしても利用できる「デスクトップモード」を新たに追加。これは、「単体利用だけでなく、PCと接続してペンタブレットとしても使いたい」というクリエイターからの要望を受けて実現した機能とのことで、通常の創作環境ではPCに接続してペンタブレットとして、外に持ち出せばWindowsタブレットとして動作し、場所や時間を問わず創作作業が行なえるようになった。
なお、デスクトップモード時には本体内のWindowsはスリープ状態となり動作が停止、専用ケーブルを抜いた瞬間にWindowsが復帰し単体で利用できるようになる。また、デスクトップモード時の機能は、ペンタブレットの「Cintiq」シリーズと同等となっている。
本体サイズは、374.1×247.7×17mm(幅×奥行き×高さ)。側面にエクスプレスキーとリングキーを配置していることもあり、13.3型液晶搭載タブレットとして考えるとやや大きい。また、重量は約1.7kgと、片手で持って使うのはかなりきつい印象。ただ、通常のWindowsタブレットのように手に持って使うことは基本的に想定しておらず、実際に利用するうえでもこのサイズと重量が気になることはほぼないはずだ。
背面には、3段階に角度を調節できるカバーを装着可能。本体を支える板が3枚用意され、それらを引き起こし本体裏面の溝にセットして利用する。無段階の角度調節は行なえないが、ぐらつきなく本体を支えられる。
液晶は表示解像度がWQHDに高められたことで、作業環境が大幅に向上。画面にツールを多数表示しても十分に広いキャンバスの表示領域を確保できる。広視野角パネルを採用しており、表示品質も申し分ない。液晶表面には、10点マルチタッチ対応の静電容量方式タッチパネルと電磁誘導方式のデジタイザの双方をサポートするタッチパネルを搭載。2,048段階の筆圧検知に対応し、サイドに2個のカスタマイズボタンを配置したPro Penも付属。このあたりの仕様は従来モデルと同様だ。
Cintiq 27QHD
27型WQHD液晶搭載のペンタブレット「Cintiq 27QHD」も展示された。詳しい仕様はの既報の通りで、Cintiqシリーズ最上位、および従来の24型液晶搭載モデル「Cintiq 24HD」の後継として位置付けられており、デジタイザのみ対応とデジタイザ+タッチ対応の2モデルが用意される。
本体サイズは770×465×54.5mm(同)。27型液晶搭載ながら、本体サイズは24型液晶搭載のCintiq 24HDとほぼ同等で、本体の大型化を伴わず液晶が大型化されている点は魅力。また、WQHDの高解像度表示に対応することで、従来よりも広大な作業領域を確保できるようになった点も大きな特徴。液晶サイズの大型化で、文字サイズを等倍に設定した場合でも文字やボタンの表示サイズは十分な大きさとなり、快適な操作性も両立している。重量は約9kg。
従来モデルでは、液晶側面にエクスプレスキーやリングキーを内蔵していたが、Cintiq 27QHDではリモコン型の「ExpressKey Remote」に変更。無線接続のため手に持って操作できるようになった。また、液晶の左右ベゼルには磁石が内蔵され、左右ベゼルの好きな場所にExpressKey Remoteを固定して利用できる。左右のベゼル幅が広くなっているのはそのためだが、固定ボタンにはない利便性が実現されている点は大きな魅力と言える。
映像入力端子はDisplayPortとHDMIを備え、DisplayPort入力は10bitカラーにも対応。発色性能はAdobe RGB比97%。本体背面には収納型のスタンドを内蔵し、スタンドを開いて置くことで約20度の角度に調節可能。また、オプションで専用スタンド「Cintiq Ergo Stand」も用意され、自在に角度を調節して利用可能となる。単体ではデスク上での専有面積が大きくなり、自由な角度調節も不可能なため、Cintiq Elgo Standの利用はほぼ必須と言えそうだ。
なお、発売当初は24型液晶搭載のCintiq 24HDも併売になるそうだが、順次Cintiq 27QHDに切り替わっていく予定とのこと。
紙に描いた内容をクラウドで共有できるペンタブレットコンセプト
ワコムブースでは、ペンタブレットの技術を利用したコンセプトモデルの展示も行なわれていた。複数のユーザーが書いたデジタルインクの内容を、OSやアプリなどに制約されることなく、多くのユーザーと共有し活用できるフレームワーク「WILL」ベースのコンセプトモデルだ。
WILLはデジタルインクを共有するための仕組みだが、今回展示されていたコンセプトモデルでは、デジタイザペンとボールペンを組み合わせた特殊なペンを利用し、紙にボールペンで文字や画を書く感覚で利用でき、その書いた内容を共有できるのが大きな特徴。デバイス自体は、紙を置く部分の下にデジタイザのセンサーを設置したもので、USB接続でOSの種類を問わず接続して利用できるという。また、同等のデバイスをテーブルに埋め込んだものも展示され、そちらではテーブル上の紙に文字などを書く感覚で利用できる。
紙に書いた内容は即座に取り込まれ、液晶画面などに表示されるとともに、即座にクラウドに転送。多数のユーザーで書いた内容を共有できる。また、共有しているユーザーが書いた内容も同じキャンバスに転送され、同時表示される。ユーザーは通常のペンで紙に文字や画を書く感覚で使えるため、より気楽に、親しみやすく利用できるという。加えて、文字を書くスピードや筆圧などを生体情報として活用し、強固なセキュリティも担保できるという。
現在は、さまざまなメーカーとこの仕組みをどう発展させるか協議している段階とのこと。実際にペンで紙に書いた内容をデジタル化できるという点では、教育の分野での応用に大きな期待が持たれる。教育に限らず応用範囲は非常に広いと思われるので、この仕組みを活用した新たなサービスの登場に期待したい。