【Macworld | iWorldレポート】展示ホールレポート、iOS編

会期:1月26日~28日(現地時間)
会場:San Francisco The Moscone Center (モスコーニセンター)



 Macworld | iWorldの詳報は、いまや展示内容の大半を占めるようになり、イベント名称にもついにiWorldが加わったiOS関連製品から紹介する。展示されている製品の半分程度は、直前に開催されたInternational CESで発表、展示されているものも含まれている。CES側にiLoungeが移行したことで、2年前から大手のアクセサリメーカーはCESへのシフトを行なっている。大手だからこそブース出展にかかるコストも相応に必要になり、両イベントへの出展が難しくなっているという理由もあるだろう。むしろ両方に出展しているようなところは、最小小間単位である1小間から2小間程度のブースを構える中堅どころや、スタートアップを狙う企業が目立つ。

ホール内の一角を占めるMobile Apps Showcase。CESでは見ることのできないアプリに特化したエリアである。レイヤをもたせることで、現在の位置と1コマ前の位置を同時に確認できるようにしたストップモーションアニメ作成アプリ「iStopMotion」など、キッズ向けからエンタープライズ用途まで幅広いアプリが紹介されている

 またCES側のiLoungeは最初の2010年に比べると約3倍のスペースまで拡張を続けている。前述のとおり、大手アクセサリメーカーがそこに大規模なブースを構えてしっかりとした展示を行なっているのも事実だが、無数のiPhone向けケースやバッテリを取り扱う企業がDEM/ODMを目指して集まって、収拾がつかなくなるという状況にもなりつつある。バイヤーをメインターゲットとするCESとエンドユーザーをターゲットとするMacworld | iWorldという性格の違う展示会の比較にはなるが、より落ち着いて各ブースをまわることができるのはMacworld | iWorldの方という印象だ。

●人気のカメラ機能を支えるアクセサリ

 iPhoneの人気を支えている機能の1つがカメラだ。初代モデルから価格帯やスペックを考えれば十分と言える写真が撮れていたiPhoneシリーズだが、3GS以降は一段と画質が向上している。また、カメラ関連APIの公開により、多様な写真関連アプリが続々と登場したことと、SNSの普及によりネット接続と投稿の容易さが結びついて、単なるカメラだけでは実現できない楽しみ方を生み出した。結果、カメラ関連の周辺機器は非常に活気づいている。

 昨年の11月に発表されたSchneider Opticsによる「The iPro Lens」システムは、iPhone 4/4Sに対応するケースと、ワイドレンズコンバータ、魚眼レンズコンバータ、レンズのケースを兼ねるハンドルがセットになった製品だ。ケースの背は2重になっており、コンバータレンズを捻り込むマウンタとしての役割がある。ハンドルは三脚座にもなる仕組み。ワイドコンバータはiPhone 4/4S標準の30mmから、19mmの画角に広角化される。魚眼コンバータは12mmの画角だ(いずれも35mm版に相当して換算した数値)。iPro Lens標準システムの価格は199ドルとかなり値が張るが、高品質な製品を提供することでハイアマチュア層への訴求を目指し、今後も対応レンズを開発する意向だ。ブースには試作品のテレコンバータも置かれていた。

The iPro Lensのシステム構成。使わないときにはハンドル内にすべてのレンズが収納できる構造。ケースは上下ともにネジ穴が切ってある魚眼コンバータレンズを付けた状態。三脚座を兼ねるハンドル内には、コンバータレンズがそれぞれ収納できるSchneider Opticsのブースには、試作品となるテレコンバータ(望遠側)も展示されていた
International CESの記事でも紹介したが、こちらは前出のiPro Lensに比べて、もう少しお手軽な価格となる「ollo Clip」。日本国内にも販売代理店があって、6,195円で入手可能。ワイド、魚眼、マクロのセットになる。iPhone 4/4Sに挟み込んで使用する

Grif、Serifの使用例。基本的には三脚へ手軽にiPhone 4/4Sを固定するための台座だが、簡易スタンドにもなるのが特徴。Serifの登場により、より強力に固定できるようになった

 昨年のMacworldレポートで紹介したSTUDIO NEATの「Grif」。iPhone 4/4Sスリットにはさんで使用する三脚へのマウンタだ。手軽に利用できることで人気が高い。今年は新たに追加アイテムとして「Serif」と「Ligature」を展示した。

 Serifは、iPhoneとGrifをさらにしっかりするためのアイテムでGrifとiPhoneへ直角に挟み込む形で固定する。Ligatureはネジ穴に合わせたキーホルダー用のリング。SerifのサイズはGrifの内寸にあわせてあるので、使用しないときには3点を一体にして持ち運べるのがポイントだ。Grifのアドオン製品ということで、会場では新規ユーザー向けのセットと。すでに「Grif」を所有している人向けの追加キットをそれぞれ販売。追加キットの定価は12ドルとなっているが、会場内価格は10ドルだった。

Serifを使うことで、Grifのスリットに挟んでの使用が前提だったをiPhoneをよりしっかりと固定できるようになる会場内で販売されていたプラスパックは10ドル。新規ユーザー向けにGrif、Serif、Ligatureをセットにしたものは会場価格で25ドル持ち運ぶ際には、このように3点が一体化する仕組み。安価なだけに、思わず昨年に続いて買ってしまったアイテムだ

●SRSの音質補正アダプタ「iWOW」にユニバーサル版が登場

 iOS機器の30ピンコネクタに対応するSRSの音質補正アダプタ「iWOW」シリーズ。2011年、Macworldの開催にあわせて「iWOW 3D」が発表された。この、iOS機器向けの専用製品だったiWOW 3Dに対し、汎用品として登場するのが「iWOW-U」だ。基本的にはステレオミニプラグを持つオーディオ機器であれば、Android端末をはじめとして、MP3プレーヤー、PC/Mac、カーステレオのAUX入力など、音楽ソースと出力機器の間に挟み込むことで効果を発揮する。

 音質補正の効果はiWOW 3Dと同等とのこと。給電可能な30ピンコネクタに対してステレオミニプラグでは給電ができないことから少量のバッテリを搭載。付属のMicroUSBコネクタでの充電が必要となる模様。同社によれば近日中に発売予定で、価格はiWOW 3Dに準ずるとのこと。米国ではカラーパネルが5枚付属するパッケージと1枚(シルバー)だけの2モデル構成。日本市場での販売も予定しているが、詳細は決まっていない。ちなみにiWOW 3Dの日本国内向け製品は、カラーパネルが複数含まれるパッケージのみが流通している。

Android端末でも利用できるSRSの音質補正アダプタ「iWOW-U」。音楽ソースとヘッドフォンなどの出力機器の間に挟み込んで使用する。プラグは4極で信号をスルーできることから、ヘッドフォン付属のリモートスイッチも機器を問わずに利用できるようだ
SONOMA WIRE WORKSの「Guiter Jack」。30ピンコネクタに付けることができるギターインターフェイスとステレオマイク(LINE)入力、ステレオ出力を備えるアダプタ
プロ、ハイアマチュア向けの音声入力インターフェイス「iAudioInterface2」。Studio Six Digitalの製品。ファントム電源のマイク入力、LINE IN/OUT、TOSLINKデジタル音声出力に対応する30ピンコネクタ付きのアダプタ

●iOS機器対応アクセサリの数々

 韓国Wise Powerのワイヤレス充電ソリューション。2つのモデルを展示しており、Wireless Power Consortium(WPC)のQiに対応する「Willy Willy 2」と、非互換の「Willy Willy 1」がある。何度か紹介しているように、ワイヤレス充電の基本的な技術はそれなりに枯れた技術であり、Qi対応とするかしないかは、メーカーあるいは販売側の損得勘定に近い。独自路線を進むならジャケットと充電器をセットにして売る必要があるし、Qiで相互運用性をアピールするならバラ売りも可能となり将来的なワイヤレス充電のインフラにも対応できるが、コンソーシアム側と細かなすり合わせが必要になる。主にOEMをターゲットにしていると思われる同社が2つのモデルを用意するのも、そういった背景があるものと想像される。

WPCのQiに対応する製品と、非対応の製品が一緒に展示してあるWise Powerのブース。非対応の「Willy Willy 1」は、ジャケットの違いによりワイヤレス充電に対応するだけのモデルと、加えてバッテリパックも付いたモデルがあるこちらはWPCのQiに対応するとされる「Willy Willy 2」Galaxy NexusのようにバッテリにNFCを含めるケースもあることから、ワイヤレス充電用のコイルとNFCを統合したソリューションも紹介されていた
USB給電を強化してデバイスへの急速充電を可能にするアダプタ「KUDOS POWER QUICK CHARGER for iPad and iPhone」。対象製品にもよるが、おおよそ2~4倍の速度で充電が可能になるとのこと。市場価格は29ドル。会場価格は20ドルで販売されていたiPhone 4/4Sのケースに、最低限の財布としての役割を持たせるケース「iLID MK-1」。現金をさほど持ち歩かないこの国では、財布をもたず、クレジットカードと紙幣をマネークリップでとめてポケットに入れるという人も少なくない。このケースは写真の通り、クレジットカード2枚と数枚のドル紙幣、カギなどをケース内に納めることができ、文字どおり財布にしてしまおうというアイディア
主に幼児から低学年の教育市場をターゲットにしたタブレット用のバンパー「iBallz」。4隅にクッションとなるボールを付け、ゴム紐の張力でそれぞれを固定している。ある程度ボールが大きいことから、万一の落下でもタブレット自体が直接接地する可能性は低い。透明の箱の中でKindle Fireを転がし続けるデモのほか、わりと平気にiPad 2を床へと放り投げていた。一角のボールを背に回すことでタイピングに向いたスタンドにもなるという
ペン先がブラシ状になっているスタイラス「nomadbrush」。対応アプリケーションを使うと、タブレットがキャンバスになって筆のような筆致で自由にお絵かきができる。大人向けの標準サイズから、子供向けのグリップが太い物などさまざまな種類があって、価格は19.99~39.99ドル程度
iPadでクリック感のあるタッチタイピングを実現するカバー「iKeyboard」。軽くて薄いため、さほど邪魔にならないと紹介されている。確かにやや野暮ったくはなるが、このカバーを付けたままでも、Apple純正のSmartCoverが機能していた。実際にタイプしてみたが、想像以上に打ちやすく確かにタイピングの効率はよくなりそうである。ただし現時点で商品化されているのは英語配列のみiPad 2に対応するバッテリ内蔵ジャケット「iPad2 Power Case」。CasePowerの製品で容量は9,000mAh

 やはりまだ新しいデバイスという感覚なのか、タブレットの持ち方についてはメーカーもユーザーも試行錯誤が続いていると感じるときが多い。実際、iPadの額縁部分が現状の液晶パネルの持つ狭額縁化の技術以上に広くとってあるのは、持ったときに指が画面にかからないようにするためとも言われている。それでも、もっとしっかりグリップしたい人々が少なくないせいか、グリップ系のグッズはiPhoneケースそしてBluetooth対応キーボードに次ぐ勢いがあるジャンルのように思える。

「FRY GRIP」。シールで指先のグリップを取り付ける製品。端末本体そのものに貼ることもできるが、やはりそれ以外の使い勝手を考えると、写真のようにケースに付けて利用するのが無難だろうバキューム式でグリップを取り付ける「Octa」。グリップのほか、スタンドにも利用できる。鯨の尾をモチーフにデザイン
iPad向けのBluetoothキーボードを数多くラインナップしているZAGG。Logicoolとコラボレーションするケースタイプのものや軽量の「ZAGG folio」などが人気だ。写真で紹介するのは、ケース一体型ではない「ZAGG flex」。iPadだけでなくAndroidなどでも利用できる。なによりケースがそのままスタンドになるタイプの中でも軽量なのがいい。販売価格は79.99ドル

(2012年 1月 31日)

[Reported by 矢作 晃]