会場内で展示されたタブレット&スマートフォン
開幕前のカンファレンスにおいて、東芝、Samsungがタブレットやスマートフォン製品を発表したように、IFAはこれらのデバイスにとっても商戦の場ともなっており、会場内にはこれらデバイスの新製品が数多く展示されている。時期的には、Android 3.2を採用した7型液晶タブレットデバイスや、MangoことWindows Phone 7.5を採用したスマートフォンなどが注目される。ここでは会場内で展示されていた主なタブレット、スマートフォン製品を紹介する。
●Acer:発売を控えるAcer W4や各種Androidデバイスを展示Acerが6月に発表したWindows Phone 7.5採用スマートフォン「Acer W4」。発表時点でWindows Phone 7.5を搭載することを表明していたデバイスで、今回その稼働モデルが、自由に触ることができる状態で展示された。
Acer W4はプロセッサに1GHz駆動のMSM8255を搭載。液晶は3.6型で解像度は800×480ドット。本体サイズは59×115.8×59mm。Acer製PCと組み合わせることでUSB給電による充電時間を短縮する「acer fast charge」機能を有している。発売は11月を予定。
ちなみに本製品のほか、本稿で紹介する他のWindows Phone 7.5採用製品のすべてにおいて、Windows Phone 7.5のBuild 7720がインストールされている。ただし、メーカーによって、これを最終バージョンと説明するところもあれば、デバイス発売またはアップデートイメージ提供までにアップデートを行なうとしているところもあり、確定といえる答えは得られなかったことを付記しておく。
Windows Phone 7.5採用の3.6型スマートフォン「Acer W4」 | 裏面には500万画素カメラを内蔵 |
上部に電源ボタンとヘッドセット端子。下部にmicroUSB端子を備える | Windows Phone 7.5のバージョンはBuild 7720が使われている |
Android搭載デバイスの新製品としては、同社が発売した「Liquid Mini」と、一回り大きくしたようなデザインの「Liquid Express」が展示されていた。具体的なサイズについては情報を得られなかったものの、両製品は相似形のようなデザインで、液晶サイズがMiniの3.2型に対して3.5型に大型化し、それに伴い本体サイズも大きくなった格好だ。液晶解像度は320×480ドットで同等。
このほか、Miniに比べてCPUが600MHzから800MHzへ高速化、Androidバージョンが2.2から2.3へ変更された点などを違いとして挙げている。発売日や価格は未確定としているが、9月末の発売を目指しているとした。
3.5型液晶のAndroidスマートフォン「Liquid Express」 | 既存モデルのLiquid Mini(左)との比較。ほぼ同じデザインで液晶と本体サイズが一回り大きくなっている |
裏面に搭載するカメラは500万画素 | Androidバージョンは2.3.4がインストールされている |
このほかAcerブースでは、21:9(1,024×480ドット)という特徴的なアスペクト比の液晶を採用する「ICONIA SMART」や、8月に海外で発売された7型Honeycombタブレット「ICONIA TAB A100/A101」も展示されている。この両製品はとくに注目されている印象で、週末に訪れた一般来場者が次々に手にとって操作を試していた。
ICONIA SMARTは2010年来、さまざまなイベントで展示が行なわれてきており、その存在をご存じの読者も多いのではないだろうか。Android 2.3を採用するスマートフォンとタブレットの中間に位置するようなデバイス。4.8型、1,024×480ドットの液晶を持ち、本体サイズは141.7×64.5×13.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量は185g。プロセッサはQualcommのMSM8255(1GHz)を搭載する。IFAのブース説明員の話では、欧州では9月末には発売。499ユーロからの価格が予定されているという。
ICONIA A100/A101はNVIDIAのTegra 2を搭載し、7型、1,024×600ドットの液晶を持つタブレット製品。本体サイズは195×117×13.1mm(同)、重量は410g。カメラは前面が200万画素、背面が500万画素となる。欧州での発売は間もなくで299ユーロからを予定。
AcerのICONIA SMART。21:9のアスペクト比を持つ4.8型液晶が特徴 | 背面に800万画素カメラを内蔵。前面にも200万画素カメラを内蔵している |
側面のカバー内にmicroUSBとmicroHDMIを装備する | Gingerbredベースの製品で、展示機はAndroid 2.3.3がインストールされている |
●HTC:2モデルのWindows Phone 7.5デバイスを発表
HTCはWindows Phone 7発表時、4.3型液晶搭載の「HD7」をリリースしていたが、Windows Phone 7.5リリースに合わせ、2つの新製品を披露した。欧州においては10月の発売が予定されている。
「TITAN」は4.7型液晶を搭載する大型のスマートフォン。液晶解像度は800×480ドット。本体サイズは131.5×70.7×9.9mm(同)で、重量は160gとなっている。CPUは1.5GHz駆動で、内蔵ストレージは16GB、メモリは512MB。ジャイロセンサー、加速度センサー、デジタルコンパス、近接センサー、環境光センサーといった各種センサーを搭載するほか、本体裏面に800万画素、前面に130万画素のカメラを内蔵している。
一方の「Reader」は3.8型液晶を搭載するモデルで、先発のHD7と比べても一回り小さい製品。本体サイズは120.5×61.5×10.9mm(同)、重量は137g。全体のスペックもTITANより低く抑えられており、CPUは1GHz駆動で内蔵ストレージは8GB。メモリはTITAN同様512MBとなる。センサー類は加速度センサー、近接センサー、環境光センサーを装備。カメラは背面が500万画素、前面がVGA相当となっている。
4.7型液晶搭載のWindows Phone 7.5デバイス「HTC TITAN」 | TITANの裏面には裏面照射型センサーを用いた800万画素カメラを内蔵 | TITANのシステム情報 |
3.8型液晶を搭載するWindows Phone 7.5デバイス「HTC Reader」 | 同じく裏面照射型センサーを用いた500万画素カメラを背面に備える |
Readerのシステム情報 | TITAN(左)とReader(右)の比較 |
●Lenovo:Android 2.3採用の7型タブレットを披露
10.1型液晶のIdeaPad Tablet K1を発売したばかりのLenovoブースでは、7型液晶を搭載するタブレット製品「IdeaPad Tablet A1」を展示している。OSはHoneycombではなくGingerbreadベースの製品となっている。液晶解像度は1,024×600ドット。
CPUは1GHz駆動のARM Cortex A8。内蔵ストレージは8~32GBで、ほかにmicroSDスロットを備える。背面カラーは4色のバリエーションが設けられる。前背面にカメラを内蔵するほか、加速度センサー、GPSも搭載。
欧州での発売は9月末。価格は199ドルからで、最上モデルの32GBが299ドルになる見込み。
Lenovoが展示した7型タブレット「IdeaPad Tablet A1」 | 展示機の裏面はピンク。ほかに3色のカラーバリエーションモデルが用意される | 上部は電源スイッチとヘッドセット端子を備える |
下部にはmicroSDスロット、microUSB端子を備える | インストールされているOSはAndroid 2.3.4 | 展示機にインストールされていたアプリケーション |
●ARCHOS:8型XGA液晶を搭載するAndroid 3.2タブレット
仏ARCHOSのブースでは、Honeycombタブレットとしては珍しい4:3アスペクト比の8型液晶を搭載する「ARCHOS 80 G9」を展示。液晶解像度は1,024×768ドット。CPUはTexas InstrumentsのOMAP4を搭載。フラッシュ8GBモデルは1GHz駆動、フラッシュ16GBモデルおよびHDD 250GBモデルは1.5GHz駆動となる。HDD内蔵モデルを用意しているのも珍しい。
OSはAndroid 3.2。GPSや加速度センサー、デジタルコンパスなどのセンサーも内蔵。通信機能はWi-Fi、Bluetoothを内蔵しており、これに加えて同社が提供するUSBスティックを追加することで3Gにも対応させられるという。価格はフラッシュ8GBモデルが250ユーロ、フラッシュ16GBモデルが280ユーロ、HDD 250GBモデルが330ユーロ。発売は9月末を予定している。
また、ほぼ同一スペックの10.1型タブレット「ARCHOS 101 G9」も展示。同じく9月末に発売予定で、価格はフラッシュ8GBモデルが300ユーロ、フラッシュ16GBモデルが350ユーロ、HDD 250GBモデルが400ユーロとなっている。
8型XGA液晶搭載の「ARCHOS 80 G9」 | 縦位置で使用した場合の表示 | microUSB、ヘッドセット端子、miniHDMIを装備 |
裏面のカバー内にUSBポートを装備。USBスティックタイプの3Gモジュールも提供される。またUSBホストとしての利用も想定されている | スタンドも装備している |
インストールされているアプリケーション | 展示機のOSはAndroid 3.2.8となっていた | こちらは10.1型の「ARCHOS 101 G9」。液晶以外のハードウェア仕様は同じ |
●Huawei:7型MediaPadのAndroid 3.2稼働モデルを展示
Huaweiが7月に公開し、Android 3.2を採用して発売することを予告している「Huawei S7 MediaPad」。IFAの会場では、実際にAndroid 3.2を動作させているものが展示されている。S7 MediaPadはCPUにQualcomm APQ860を搭載。液晶は7型で、サイズのわりに高解像な1,280×800ドットのパネルを用いている。
現在は最終調整中とのことで、9月末にも発売予定。欧州での価格は3G内蔵で400ユーロ程度としている。
Huaweiの7型タブレット「Huawei S7 MediaPad」。ハードウェアは過去に公開されたものから変更されていない | Android 3.2が動作中で9月末にも販売が開始される見込み |
●Dell:Venue ProのWindows Phone 7.5動作機
Dellブースではスマートフォン、タブレットの新製品こそ展示がなかったものの、Streak 7のAndroid 3.2稼働機や、Venue ProのWindows Phone 7.5稼働機の展示が行なわれていた。
Venue Proは4.1型液晶搭載のWindows Phone搭載デバイスで、縦にスライドするハードウェアキーボードを備えるのが大きな特徴。Windows Phone 7.5上でこのキーボードを使用してローマ字入力ができることも確認できた。
ブースの説明員は、Windows Phone 7.5のアップデートイメージについて、2週間後を予定しているとコメントしている。
IFAのDellブースで展示されたVenue Pro。Build 7720のWindows Phone 7.5がインストールされている | ハードウェアキーボードを用いて日本語をローマ字入力できる |
(2011年 9月 6日)
[Reported by 多和田 新也]