【IFA 2011レポート】
会場内で展示されたタブレット&スマートフォン

会場南口から駅へ向かう通路にはHTCがタブレットやスマートフォンを紹介する広告を掲示している

会期:9月2日~7日(現地時間)

会場:独ベルリン Messe Berlin



 開幕前のカンファレンスにおいて、東芝、Samsungがタブレットやスマートフォン製品を発表したように、IFAはこれらのデバイスにとっても商戦の場ともなっており、会場内にはこれらデバイスの新製品が数多く展示されている。時期的には、Android 3.2を採用した7型液晶タブレットデバイスや、MangoことWindows Phone 7.5を採用したスマートフォンなどが注目される。ここでは会場内で展示されていた主なタブレット、スマートフォン製品を紹介する。

●Acer:発売を控えるAcer W4や各種Androidデバイスを展示

 Acerが6月に発表したWindows Phone 7.5採用スマートフォン「Acer W4」。発表時点でWindows Phone 7.5を搭載することを表明していたデバイスで、今回その稼働モデルが、自由に触ることができる状態で展示された。

 Acer W4はプロセッサに1GHz駆動のMSM8255を搭載。液晶は3.6型で解像度は800×480ドット。本体サイズは59×115.8×59mm。Acer製PCと組み合わせることでUSB給電による充電時間を短縮する「acer fast charge」機能を有している。発売は11月を予定。

 ちなみに本製品のほか、本稿で紹介する他のWindows Phone 7.5採用製品のすべてにおいて、Windows Phone 7.5のBuild 7720がインストールされている。ただし、メーカーによって、これを最終バージョンと説明するところもあれば、デバイス発売またはアップデートイメージ提供までにアップデートを行なうとしているところもあり、確定といえる答えは得られなかったことを付記しておく。

Windows Phone 7.5採用の3.6型スマートフォン「Acer W4」裏面には500万画素カメラを内蔵
上部に電源ボタンとヘッドセット端子。下部にmicroUSB端子を備えるWindows Phone 7.5のバージョンはBuild 7720が使われている

 Android搭載デバイスの新製品としては、同社が発売した「Liquid Mini」と、一回り大きくしたようなデザインの「Liquid Express」が展示されていた。具体的なサイズについては情報を得られなかったものの、両製品は相似形のようなデザインで、液晶サイズがMiniの3.2型に対して3.5型に大型化し、それに伴い本体サイズも大きくなった格好だ。液晶解像度は320×480ドットで同等。

 このほか、Miniに比べてCPUが600MHzから800MHzへ高速化、Androidバージョンが2.2から2.3へ変更された点などを違いとして挙げている。発売日や価格は未確定としているが、9月末の発売を目指しているとした。

3.5型液晶のAndroidスマートフォン「Liquid Express」既存モデルのLiquid Mini(左)との比較。ほぼ同じデザインで液晶と本体サイズが一回り大きくなっている
裏面に搭載するカメラは500万画素Androidバージョンは2.3.4がインストールされている

 このほかAcerブースでは、21:9(1,024×480ドット)という特徴的なアスペクト比の液晶を採用する「ICONIA SMART」や、8月に海外で発売された7型Honeycombタブレット「ICONIA TAB A100/A101」も展示されている。この両製品はとくに注目されている印象で、週末に訪れた一般来場者が次々に手にとって操作を試していた。

 ICONIA SMARTは2010年来、さまざまなイベントで展示が行なわれてきており、その存在をご存じの読者も多いのではないだろうか。Android 2.3を採用するスマートフォンとタブレットの中間に位置するようなデバイス。4.8型、1,024×480ドットの液晶を持ち、本体サイズは141.7×64.5×13.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量は185g。プロセッサはQualcommのMSM8255(1GHz)を搭載する。IFAのブース説明員の話では、欧州では9月末には発売。499ユーロからの価格が予定されているという。

 ICONIA A100/A101はNVIDIAのTegra 2を搭載し、7型、1,024×600ドットの液晶を持つタブレット製品。本体サイズは195×117×13.1mm(同)、重量は410g。カメラは前面が200万画素、背面が500万画素となる。欧州での発売は間もなくで299ユーロからを予定。

AcerのICONIA SMART。21:9のアスペクト比を持つ4.8型液晶が特徴背面に800万画素カメラを内蔵。前面にも200万画素カメラを内蔵している
側面のカバー内にmicroUSBとmicroHDMIを装備するGingerbredベースの製品で、展示機はAndroid 2.3.3がインストールされている
Tegra 2搭載の7型タブレット、ICONIA TAB A101横位置での表示背面。500万画素カメラを内蔵。前面には200万画素カメラを内蔵する
背面のパネルが異なるカラーバリエーションモデルも用意インターフェイスはmicroUSB、microHDMI、ドック用端子など上部にmicroSDとSIMスロットを装備する。ちなみにモデル名は3G対応モデルが「A101」、3G非対応モデルが「A100」となる

●HTC:2モデルのWindows Phone 7.5デバイスを発表

 HTCはWindows Phone 7発表時、4.3型液晶搭載の「HD7」をリリースしていたが、Windows Phone 7.5リリースに合わせ、2つの新製品を披露した。欧州においては10月の発売が予定されている。

 「TITAN」は4.7型液晶を搭載する大型のスマートフォン。液晶解像度は800×480ドット。本体サイズは131.5×70.7×9.9mm(同)で、重量は160gとなっている。CPUは1.5GHz駆動で、内蔵ストレージは16GB、メモリは512MB。ジャイロセンサー、加速度センサー、デジタルコンパス、近接センサー、環境光センサーといった各種センサーを搭載するほか、本体裏面に800万画素、前面に130万画素のカメラを内蔵している。

 一方の「Reader」は3.8型液晶を搭載するモデルで、先発のHD7と比べても一回り小さい製品。本体サイズは120.5×61.5×10.9mm(同)、重量は137g。全体のスペックもTITANより低く抑えられており、CPUは1GHz駆動で内蔵ストレージは8GB。メモリはTITAN同様512MBとなる。センサー類は加速度センサー、近接センサー、環境光センサーを装備。カメラは背面が500万画素、前面がVGA相当となっている。

4.7型液晶搭載のWindows Phone 7.5デバイス「HTC TITAN」TITANの裏面には裏面照射型センサーを用いた800万画素カメラを内蔵TITANのシステム情報
3.8型液晶を搭載するWindows Phone 7.5デバイス「HTC Reader」同じく裏面照射型センサーを用いた500万画素カメラを背面に備える
Readerのシステム情報TITAN(左)とReader(右)の比較

●Lenovo:Android 2.3採用の7型タブレットを披露

 10.1型液晶のIdeaPad Tablet K1を発売したばかりのLenovoブースでは、7型液晶を搭載するタブレット製品「IdeaPad Tablet A1」を展示している。OSはHoneycombではなくGingerbreadベースの製品となっている。液晶解像度は1,024×600ドット。

 CPUは1GHz駆動のARM Cortex A8。内蔵ストレージは8~32GBで、ほかにmicroSDスロットを備える。背面カラーは4色のバリエーションが設けられる。前背面にカメラを内蔵するほか、加速度センサー、GPSも搭載。

 欧州での発売は9月末。価格は199ドルからで、最上モデルの32GBが299ドルになる見込み。

Lenovoが展示した7型タブレット「IdeaPad Tablet A1」展示機の裏面はピンク。ほかに3色のカラーバリエーションモデルが用意される上部は電源スイッチとヘッドセット端子を備える
下部にはmicroSDスロット、microUSB端子を備えるインストールされているOSはAndroid 2.3.4展示機にインストールされていたアプリケーション

●ARCHOS:8型XGA液晶を搭載するAndroid 3.2タブレット

 仏ARCHOSのブースでは、Honeycombタブレットとしては珍しい4:3アスペクト比の8型液晶を搭載する「ARCHOS 80 G9」を展示。液晶解像度は1,024×768ドット。CPUはTexas InstrumentsのOMAP4を搭載。フラッシュ8GBモデルは1GHz駆動、フラッシュ16GBモデルおよびHDD 250GBモデルは1.5GHz駆動となる。HDD内蔵モデルを用意しているのも珍しい。

 OSはAndroid 3.2。GPSや加速度センサー、デジタルコンパスなどのセンサーも内蔵。通信機能はWi-Fi、Bluetoothを内蔵しており、これに加えて同社が提供するUSBスティックを追加することで3Gにも対応させられるという。価格はフラッシュ8GBモデルが250ユーロ、フラッシュ16GBモデルが280ユーロ、HDD 250GBモデルが330ユーロ。発売は9月末を予定している。

 また、ほぼ同一スペックの10.1型タブレット「ARCHOS 101 G9」も展示。同じく9月末に発売予定で、価格はフラッシュ8GBモデルが300ユーロ、フラッシュ16GBモデルが350ユーロ、HDD 250GBモデルが400ユーロとなっている。

8型XGA液晶搭載の「ARCHOS 80 G9」縦位置で使用した場合の表示microUSB、ヘッドセット端子、miniHDMIを装備
裏面のカバー内にUSBポートを装備。USBスティックタイプの3Gモジュールも提供される。またUSBホストとしての利用も想定されているスタンドも装備している
インストールされているアプリケーション展示機のOSはAndroid 3.2.8となっていたこちらは10.1型の「ARCHOS 101 G9」。液晶以外のハードウェア仕様は同じ

●Huawei:7型MediaPadのAndroid 3.2稼働モデルを展示

 Huaweiが7月に公開し、Android 3.2を採用して発売することを予告している「Huawei S7 MediaPad」。IFAの会場では、実際にAndroid 3.2を動作させているものが展示されている。S7 MediaPadはCPUにQualcomm APQ860を搭載。液晶は7型で、サイズのわりに高解像な1,280×800ドットのパネルを用いている。

 現在は最終調整中とのことで、9月末にも発売予定。欧州での価格は3G内蔵で400ユーロ程度としている。

Huaweiの7型タブレット「Huawei S7 MediaPad」。ハードウェアは過去に公開されたものから変更されていないAndroid 3.2が動作中で9月末にも販売が開始される見込み

●Dell:Venue ProのWindows Phone 7.5動作機

 Dellブースではスマートフォン、タブレットの新製品こそ展示がなかったものの、Streak 7のAndroid 3.2稼働機や、Venue ProのWindows Phone 7.5稼働機の展示が行なわれていた。

 Venue Proは4.1型液晶搭載のWindows Phone搭載デバイスで、縦にスライドするハードウェアキーボードを備えるのが大きな特徴。Windows Phone 7.5上でこのキーボードを使用してローマ字入力ができることも確認できた。

 ブースの説明員は、Windows Phone 7.5のアップデートイメージについて、2週間後を予定しているとコメントしている。

IFAのDellブースで展示されたVenue Pro。Build 7720のWindows Phone 7.5がインストールされているハードウェアキーボードを用いて日本語をローマ字入力できる

(2011年 9月 6日)

[Reported by 多和田 新也]