イベントレポート

Xperia Zは5で最後。Xからシリーズ第3章が始まる

〜ソニーモバイル グループインタビューレポート

ソニーモバイル プロダクトビジネスグループ UXクリエイティブデザイン&プランニング・プロダクトプランニング 伊藤博史氏

 ソニーモバイルは、MWC 2016に合わせ、最新スマートフォン「Xperia X」シリーズや、Xperiaブランドのコミュニケーションツール「Xperia スマートプロダクツ」を発表した。スマートフォンは、従来までの「Xperia Z」シリーズからブランドを一新するとともに、新たなXperiaブランド製品群を投入することになった背景や意気込みについて、ソニーモバイル プロダクトビジネスグループ UXクリエイティブデザイン&プランニング・プロダクトプランニングの伊藤博史氏に話を伺ってきた。

Xperiaシリーズ第3章が幕開け。新キーワードは“インテリジェンス”

 ソニーモバイルは、これまで2段階のステップでXperiaシリーズを発展させてきた。まず第1章として、2010年に初代「Xperia X10」を投入し、新たなWebコミュニケーションの世界を切り開いていった。続く第2章では、“One Sony”というキーワードのもとに、ソニーの持つ技術を駆使した先進的なスマートフォンとして「Xperia Z1」から「Xperia Z5」シリーズを投入。そして、今回発表されたXperia Xシリーズより、第3章となる新たなフェーズへ移行することになるという。

 Xperiaシリーズの第3章は、どういったコンセプトの製品が開発されていくのか。伊藤氏によると、今回発表されたXperia XシリーズやXperia スマートプロダクツのキーワードは、“インテリジェンス”だという。

 「コミュニケーションにフォーカスし、どのようにお客様の豊かな生活に寄り添えるのか、そしてサポートできるのか、しっかり考えてきました。その上で、ソニーが培っているさまざまな技術を駆使しながら、Xperiaをどう進化していけるか。そして、“インテリジェンス”というビジョンのもと、新しいXperiaのストーリーをスタートしていきたいと考えています」(伊藤氏)。

 そして、Xperia第3章として投入されるXperia Xシリーズは、スマートフォンだけでなく、スマートフォンの枠を超えたコミュニケーションツールを提案していきたいという。その提案を具現化したものが、「Xperiaスマートプロダクツ」と呼ばれるXperiaブランドの新製品群となる。

“インテリジェンス”をキーワードにXperia Xシリーズを投入
Xperia Xシリーズより、Xperiaの新チャプター“第3章”が始まる

Xperiaスマートプロダクツ

 Xperiaスマートプロダクツを投入する背景について伊藤氏は、「現在のスマートフォンを取り巻くコミュニケーションの形を考えると、日々のコミュニケーションにとってスマートフォンは欠かせないツールになっていると感じています。そういった中、通勤中や自宅でもスマートフォンに寄り添って、スマートフォンの画面を見ていなければならない時間が非常に増えたと感じています。そこでXperiaスマートプロダクツでは、“ルックアップ”や“フェイスフォアード”というキーワードを掲げて、コミュニケーションを大切にしながら、世の中の出来事を顔を上げて世界を見ていただきたい、と考えました。」と述べた。つまり、常にスマートフォンの画面を見ることなく、コミュニケーションが取れるように手助けするグッズということだ。

 今回発表されたXperiaスマートプロダクツは全部で4製品だが、製品として発売されると発表されたのは「Xperia Ear」のみで、残りの3製品、「Xperia Eye」、「Xperia Projector」、「Xperia Agent」はコンセプト展示となっていた。ただ、全て共通するのは、ソニーが培ってきたセンシング技術などを駆使して、新しいコミュニケーションのあり方を提案する製品になっているという点だ。

 例えばXperia Earは、ソニーのセンシングの技術や音声アシスタント技術を搭載し、音声コントロールでメッセージングや電話をかけたり、ナビゲーションを実現できる。

Xperia Earは、ソニーのセンシング技術や音声アシスタント技術を集約

 ウェアラブルカメラのXperia Eyeは、ソニーのCMOS技術や画像補正技術、センサー技術を駆使し、ラフに衣服などに装着した状態でも常に天地を判断し、目で見えているのと同等の写真を撮影できるようになっている。しかも、顔認識や笑顔の認識、食べ物の認識、音の認識技術を駆使して、シャッターチャンスを判断して写真を自動で撮影可能。日常生活で気楽に使うことで、日常から非日常が切り取れるグッズと伊藤氏は説明する。

 Xperia Projectorは、超単焦点プロジェクタ技術にジェスチャーコントロールや音声コントロール機能を組み込むことで、家庭内の新しいコミュニケーションを提案する製品。カメラで人を識別してその人に合った情報を表示したり、指で家族向けのメッセージを書いて残すと言ったことも可能。これによって、家族が集うような空間を提供したいと考えているという。

 Xperia Agentは、Ear、Eye、Projectorそれぞれの技術を取り込んだ、ロボットのようなものを想定しているという。

 こういったXperiaスマートプロダクツによって、新たなコミュニケーションが生まれれば良いと伊藤氏は考えているという。

Xperia Eyeでは、ソニーのCMOS技術、画像補正技術、センサー技術、顔認証などの技術を取り入れている
Xperia Projectorは、超単焦点プロジェクタ技術、ジェスチャーコントロール技術、音声コントロール技術など取り入れている

Xperia Xシリーズ

 続いて、スマートフォンの「Xperia X」シリーズについて伊藤氏は、「リサーチなどで議論をした結果、スマートフォンにどんどん機能を追加していくのではなく、お客様が求めている“本質”にフォーカスしようということになりました。本質部分を使いやすく快適にする、という部分に主眼を置いて、そこにソニーのインテリジェントな機能を追加していくことで進化していけるのではないかと考えています。」と述べた。

 その“本質”とはどういったものなのか。伊藤氏は、Xperia Xにおいては「カメラ」と「バッテリ」を挙げた。

 カメラは、Xperia Z5では0.3秒の高速オートフォーカスや画質を追求したが、今回はαのエンジニア技術を取り入れ、動体の動きを予測してフォーカスを合わせる「プリディクティブハイブリッドオートフォーカス」機能を採用。これに、0.3秒の高速オートフォーカスが組み合わさり、”絶対に撮り逃しをしない”という究極のカメラにまた一歩近付いたという。

 バッテリについては、スタミナモードで2日間使えるという部分はそのまま受け継ぎつつ、リチウムイオンバッテリの宿命でもある、長期間の利用による使用可能容量の低下という問題を改善したいと考えたという。そこで、米Qnovoの「Adaptive Charging」という機能を採用し、従来より2倍寿命を長持ちさせることを可能にしているとのこと。

 そのほか、デザインは、全世界でのリサーチの結果から最適なサイズを割り出し、そのサイズに落とし込んだという。さらに、前面に曲面ガラス、背面に金属を採用して、快適な握り心地を実現。液晶面のベゼル部分も本体色に合わせることで、一体感を高めたという。伊藤氏によると、Xperia Xシリーズでは、ハード、ソフト全体で一体感を出せるようにこだわったという。

 こういった説明を経て伊藤氏は、「いよいよXperiaの第3章が始まります。第3章ではスマートフォンだけでなく、Xperiaスマートプロダクツのような新しいデバイスと一緒に展開していって、お客様の毎日に寄り添い、新しいコミュニケーションを提案できるような世界を作っていきたいと考えています。今回は第3章のファーストステップですが、これから、みなさんの期待に沿えるような、わくわくする製品が出てきますので、期待していただきたいと思います」と、今後の製品展開にも自信を覗かせた。

Xperiaシリーズ第3章のXperia Xシリーズは、本質部分を使いやすく快適にする、という部分に主眼を置いて開発
カメラに「プリディクティブハイブリッドオートフォーカス」機能を採用し、本質を追究
バッテリには、米Qnovoの「Adaptive Charging」機能を採用し、容量が2倍長持ちするという

質疑応答

 ここからは、質疑応答でのやりとりを紹介する。

――Xperia Projectorは、単体で使えるものなのでしょうか。

伊藤氏:コンセプト段階なので、まだ議論しているところですが、単体でも使えるようにするということも考えています。詳しい内容はまだお伝えできませんが、スマートフォンのような体験ができるものが中に入っていると考えてください。触っていただくとわかりますが、発展性のある製品だと考えています。現時点では、搭載する通信方式は未定です。

――Xperia Earは、自然言語で受け答えるようになるのでしょうか。

伊藤氏:我々は、エージェントアシスタントをできるだけ人に近づけたいと考えていますので、自然言語で利用できるようにする部分にはこだわりを持っています。

――Xperia Eyeは、ラフに衣服に装着してもきちんと正面が撮影できるのでしょうか。

伊藤氏:色々なコンセプトを考えていますが、まずは目に見えている範囲の画像を切り取る感じで考えています。そして切り取った中で、ここは静止画が良いのか、動画が良いのかを、センシング技術で判断して残す、というように全体のセンシングを考えています。また、スマートフォンとWi-Fiでも繋がりますので、単体でセンシングまで完結させたり、スマートフォンと繋げて画面を活用したり、という部分の切り分けをしている段階です。今までのウェアラブルカメラは、撮り溜めた後の編集が大変という意見が多かったので、楽に編集できるようにするというのが元々の発想です。

――Xperia Xシリーズのこのサイズ感にこだわった理由を教えてください。

伊藤氏:サイズにはかなりこだわっていて、今回は全機種で5型液晶を採用しています。全世界でリサーチをかけ、丁度良いサイズ感を割り出した上で決めています。よりスマートフォンが毎日寄り添って、より幅広い人にお使いいただきたいというときに、このサイズ感がベストと考えています。また海外の方には、握りやすさにこだわった部分など、デザイン性について好評いただいていて、サイズ感に付いての質問はほとんどありませんでした。ただ、これはまだ(Xperiaの)第3章ファーストステップで、最初は握りやすさを重視しましたが、ここからのニーズを見極めながら、今後を決めていきたいと思います。

――Xperia Zシリーズは、この先登場することはないのですか?

伊藤氏:我々は第3章として新しいストーリーを始めたいと思っています。ですので、前のモデルとの違いなどは余り考えていません。ただ、新しいXシリーズはここから始まりますので、ZシリーズはZ5が最後で、Z6というようなものは考えていません。

――シリーズのブランド名がZからXに変わりましたが、このXに込められた意味を教えてください。

伊藤氏:まず1つは、Xperiaの再定義として、我々はXperiaに向かい合って、Xperiaの新しいストーリーをこのブランドで育てていきたいという強い想いがあります。その考えの下に、海外でもより広く認知していただくため、わかりやすく頭文字の“X”を切り取ったという面もあります。あと、IoTの世界では、人と人のコミュニケーションだけでなく、人と物、物と物のコミュニケーションが生まれてくると思います。そのように、コミュニケーションをどんどん広げていきたい、ということで“マルチプル”のXという意味も込めています。

――以前、Xperia Z5は“Xperiaシリーズ究極の集大成”というコメントをされていましたが、今回のXシリーズはそこからどう変わったと考えていますか。

伊藤氏:第2章は、“One Sony”というテーマのもと、ソニーの培った技術を詰め込むとどうなるのか、というのがZシリーズだったと思っています。そういった中で、ソニーの技術をほぼ全て盛り込めたという意味で、“究極の集大成”と説明をさせていただきました。今度は、ソニーの培った技術も入れていくのですが、それだけではなく、世界中の技術を取り入れたり、Xperiaから発信するような新しい展開も含めて、新しいストーリーを作っていきたいと思っています。“One Sonyの集大成”、これからはインテリジェンスを伴って、Xperiaが独り立ちして歩いて行くイメージ、インテリジェンスな新しいコミュニケーションを作っていく、という第一歩になります。Xperiaの強みである、ソニーの技術は引き続き取り入れますが、機能を追加していくだけではなく、本質をしっかり見極めて、インテリジェンスにかけてみたいというのが、新しいXシリーズです。

――Xperia Xシリーズは、実際に手にして触ってみると印象が違うのはよくわかるのですが、Zシリーズから離れて、第3章として新しい世界を開こうとしたのはなぜでしょうか。

伊藤氏:1つは、お客様を取り巻く環境の変化があると思います。当初スマートフォンが登場した時には無かったサービスが出てきていますし、スマートフォンを取り巻く環境にしても、お客様がクリアしたい点が見えてきましたので、進化するタイミングとして良い時期なのではないかと考えました。また、環境の中で、スマートフォンだけでなく、さまざまなコミュニケーションツールを一緒に提案していきたいと思っています。これまでは、Xperiaに付随する周辺機器という考え方もあったのですが、単体として使ってもらってもXperiaだね、新しいコミュニケーションだね、と言っていただける製品を出していきたいので、スマートフォンだけでなく、さまざまな商品と一緒に作る世界、と考えるとニューチャプターだと言えると思います。

(平澤 寿康)