イベントレポート

MUV、プロジェクタと組み合わせて利用するポインティングデバイス

~日本法人も設立され国内展開へ

MUV InteractiveのBIRD

 イスラエルのベンチャー企業であるMUV Interactiveは、CES 2016ブースにおいてプロジェクタと組み合わせて利用できるユニークな操作デバイス「BIRD」を展示した。

 BIRDはユーザーが指に装着して利用するデバイスで、付属のモーションセンサーをプロジェクタと組み合わせて利用して、壁やスクリーンに映したPCやスマートデバイスの画面をタッチ操作したり、ページ送りをしたり、2つ利用したりすることでマルチタッチ(2つの場合は2点タッチだが)デバイスとして、ズームインやズームアウトできるユニークなデバイスだ。

 MUV InteractiveはBIRDを欧米向けに予約販売を開始しているが、日本でも販売する予定で、既に日本法人も設立され、今年(2016年)前半にも教育、法人市場向けに販売を開始する意向だ。

イスラエルのベンチャー企業が開発した新しい形の操作デバイス

 MUV Interactiveは、イスラエルのテルアビブ近郊に本社を構えるベンチャー企業で、Intel、IBM、Microsoftなどのイスラエル法人などで経験を積んだメンバーによって2011年に設立されている。実はIT業界にとって、イスラエルは小国ながら重要な拠点が置かれる国になっており、有名なところではIntelがハイファに置いている研究開発施設では、Pentium M、Coreプロセッサなどの基礎設計が行なわれたことで知られている。また、イスラエル発のベンチャー企業も最近注目を集めており、ノートPC向けのデジタイザペンのメーカーとして知られ、昨年(2015年)Microsoftに買収されたN-Trigはイスラエルで設立された企業だった。

 そのイスラエル発のMUV Interactiveは、BIRDと呼ばれるデバイスを開発し、まもなく販売を開始する予定だ。BIRDとは一言で表現するのがなかなか難しいデバイスなのだが、それを無理に一言で表現するならプロジェクタに接続されているPCやタブレットなどを操作するためのデバイスということになる。

 PCやタブレットを操作するための機器と言えば、一般的にはマウスやタッチスクリーン、ペンといったデバイスから、最近ではRealSenseやKinectのような深度センサーを利用したモーションセンサーなどもその分類に入れてもいいだろう。MUV Interactive COOのユバール・ベンゼーブ氏によれば「BIRDはそれら全ての機能を包含したものになる」となる。つまり、タッチ、モーションセンサー、ジェスチャー、マウス、ペンなどをすべて包含したデバイスということだ。

 実際、同氏はプレゼンテーションで、プロジェクタでスクリーンに映したPowerPointのスライドを、ジェスチャ操作で送ったり、戻したり、タッチで操作したり、ペンの機能を利用して文字を書いたり、ホバーと呼ばれる、タッチではなくちょっと画面から離した状態で操作したりと、多彩な操作を実演した。

プレゼンテーションもBIRDを利用して行なわれた
複数の操作デバイスの機能を、1つのデバイスに集約している
ペンの代わりに文字を書いたりもできる

プロジェクタが映した画面上でさまざまな操作が可能に

 BIRD本体は、指に挟み込んで取り付ける形のデバイスとなっている。このデバイスに、モーションセンサー、タッチセンサーなどの各種センサーが内蔵しており、それにより指の動きなどを検知したり、タッチ操作などが可能になっている。

 さらに、そのモーションセンサーの動きを受信するベースステーションが別途用意されており、それをプロジェクタの近くに設置して、USBにより給電することで動作する仕組みになっている。ベーステーションとPCやタブレットの間は、Bluetoothで接続しており、OSにインストールされるコントロールソフトウェアで、BIRDの動きを受信し、それをPCやタブレット側のタッチ操作など各種操作に変換してOSに渡すという仕組みになっている。

 このため、コントロールソフトウェアを用意すればという条件は付くものの、基本的にはどんなPCやタブレットでも動作させることが可能で、汎用のプロジェクタがそのまま利用できる。同時には最大10ユーザーまで利用可能。また、左右の腕のそれぞれの指に取り付けると、マルチタッチ(実際には2点タッチだが)として利用することも可能で、ピンチイン/ピンチアウトによるズーム操作なども利用できる。

 パッケージには本体、充電器、ベースユニットがセットになっており、それらを手持ちのプロジェクタと組み合わせることで利用可能。将来的にはプロジェクタメーカーに対して組み込みを働きかけることも検討しているとベンゼーブ氏は説明した。

最大で10ユーザーまでカバーすることができる
BIRDの仕組み、ベースステーションがモーションセンサーの受け側になっており、その動きをBluetoothでPCに伝える仕組みになっている
このように、Google Earthを操作したりと、アプリケーションを選ばず操作できる。あくまでPCの汎用のポインティングデバイスとして動作する
電子書籍などのページめくりもジェスチャーで操作できる
指を動かして絵や文字を書いたりも可能
Windows上のコントロールソフトウェア、このソフトウェアによりPCを制御することが可能になっている
左右の腕のそれぞれの指にBIRDを装着してマルチタッチのようなピンチズームをしているところ

日本での販売も計画されている

 MUV Interactiveによれば、当初のターゲット市場としては、学校のITルームなどの教育用途や、企業内の会議室で用途などを考えているという。こうしたニーズは確実にあり、例えばMicrosoftは84型ないしは55型のタッチ液晶にPCの機能を組み込んだSurface Hubを、同じような用途でリリースしているが、このBIRDでは、一般的なPCとプロジェクタを利用して同じような用途に利用できるため、よりリーズナブルに導入することができる可能性が高い。

 現在欧米ではトライアルの予約販売を行なっており、今後その結果をもって、より本格的な販売を開始する予定だという。気になる日本への展開だが、既に日本支社も設立されており、国内での販売に向けて動き出しているという。その日本代表には、かつて日本ATI、そしてATIとAMDの合併後には日本AMDの社長を務めていた森下正敏氏が就任しており、現在販売チャネル、コールセンターなどを含めてシステムを構築している段階で、それが完了次第日本でも正式な販売を開始する予定だということで、今年の前半中には販売を開始したい意向であると森下氏は語ってくれた。

MUV Interactive COO ユバール・ベンゼーブ氏(左)とMUV Interactive 日本代表 森下正敏氏
付属のベースステーション
多数のモーションセンサーとタッチセンサーなどが搭載されているBIRD本体。人差し指に装着して利用することを意識して作られている

(笠原 一輝)