イベントレポート

DisplayLink、4K/60Hzの2出力対応のUSBディスプレイコントローラ

DisplayLinkのブースでのDL-6950を利用した4K/60Hzを2出力のデモ

 DisplayLinkは、CES 2016のサウスホールに出展し、4K/60Hzの2系統出力および5K/6Kの1系統出力に対応したUSBディスプレイコントローラを発表しデモを行なった。

 今回発表したのは、「DL-6950」と呼ばれるUSBディスプレイコントローラで、従来製品のDL-5000シリーズが4K(3,840×2,160ドット)表示時に30Hzでしか表示できなかったのに対して、DL-6950は4K時には60Hzの2系統出力が可能になっているほか、5Kまたは6Kの表示も可能になる。

 また、従来はHDMI 1.4aまでの対応であったHDMIポートに関しても、新たにHDMI 2.0対応となり、4K TVなどへ4K/60Hz出力が可能になる。

HDMI出力しか用意されていないノートPCで大きな課題になっていた4K/60Hz表示

 今回DisplayLinkがCESで発表したのは、DL-6950と呼ばれる、「DL-6000」シリーズの新世代のUSBディスプレイコントローラの最上位製品となる。現在同社が出荷しているのは、DL-5000シリーズで、日本ではアイ・オー・データ機器の「USB-4K/DP」などに採用されているほか、「DL-4000」、「DL-3000」シリーズも過去にリリースされた製品がさまざまなUSBディスプレイアダプタに採用されている。

 DL-6950はその最新かつ最上位製品で、従来できなかった4K/60Hzの出力ができるようになっていることが大きな特徴になっている。一般的なPCでは、ディスプレイのリフレッシュレートは60Hzだが、PC側の出力性能の問題で、4K出力時には30Hzでしか出力できない場合がある。

 具体的には、HDMI 1.4a出力しか付いていないノートPCなどがこれに該当する。HDMI 1.4aでは4K出力時には30Hzまで制限され、4Kディスプレイに接続しても30Hzでしか出力できない。30HzでもOfficeアプリケーションなどさほど動きが高速ではないアプリケーションを使っている限りは大きな問題はないが、ゲームなど動きが速いアプリケーションでは、表示がカクカクになってしまう。

 こうした問題を避けるには、HDMI 2.0という4K/60Hz表示に対応した出力を実装するか、DisplayPort 1.2出力を装着する必要がある。ただ、日本のノートPCメーカーは、TVに出力することを重視しているため、HDMIを選びがちで、ハイエンドモデルであってもHDMI出力しかないという製品が少なくない。

 かつ、現在のIntelの内蔵GPUは最新の第6世代Coreプロセッサ(Skylake)であっても、内蔵されているトランスミッタがHDMI 1.4aまでの対応になっており、HDMI 2.0の実装には追加コストや追加スペースが必要になることもあり、結局HDMI 1.4aまでの対応となる製品がほとんどだ。

 そうした状況に該当するユーザーにとっては、今回DisplayLinkが発表したDL-6950はある程度の解決策になる可能性が高い。DL-6950はUSB 3.0のインターフェイスを利用して、USB Type-CないしはUSB Type-AのコネクタでPCと接続が可能となり、HDMI 1.4aノートのユーザーもHDMI 2.0が利用できるようになる。

 ただ、グラフィックスの処理はUSBで接続されるGPUで行われることになるので、内蔵のGPUに比べると性能は高くない。このため、ヘビーな3Dゲームなどの用途には向いておらず、どちらかと言えば、生産性向上用途に使っており、4K/60Hz表示が必要なユーザー向けという製品になる。

HDMI 2.0を備えた高性能USBドックを製造可能に

 DL-6950は、HDMI 2.0端子とDisplayPort 1.2端子を搭載することが可能(HDCP2.2にも対応)。同社ブースでは、HDMI 2.0端子とDisplayPort 1.2端子からそれぞれ4Kディスプレイに接続している様子がデモされていた。

 DL-6950はUSBドック向けの仕様になっており、このほかにもGigabit Ethernet、オーディオコントローラ、USB 3.0 Hub機能が用意されており、周辺機器メーカーはDL-6950を利用して、高機能を持ったドッキングステーションを製造することが可能になる。DisplayLinkによれば、現在DL-6950はサンプリングの段階で、今年(2016年)の半ば頃には実際の製品に搭載されて市場に出回る見通しということだった。

 このほか、DisplayLinkは、同社製品向けのAndroidアプリケーション(Windowsでのディスプレイドライバに相当するアプリケーション、既にGoogle Playマーケットで公開済み)、Ubuntu Linuxのドライバ(同社Webサイトなどで配布済み)、さらには現在開発中のChrome OS向けのドライバーなどをデモしていた。いずれも既に販売済みの同社のUSBディスプレイコントローラを搭載したUSBディスプレイアダプタで利用可能。なお、iOSに関しては、OS側の制限もあり、現在のところは対応するのは難しいと言うことだったが、将来にはリリースしていきたい意向で、Appleなどに働きかけをしていきたいという。

DL-6950の開発ボード。デモではDisplayPort 1.2の2系統で4K/60Hz表示を行なっていた
既にリリースされているAndroid用のアプリケーションを利用して、DisplayLinkのチップが搭載されたUSBディスプレイアダプタでAndroidタブレットからディスプレイ出力を行なっている様子
現在開発中のChrome OSでのDisplayLinkのUSBディスプレイアダプタで外部ディスプレイ出力を行なっている様子
Ubuntu Linuxでのデモ
ODMメーカーが開発したUSB Type-CのUSBドックを利用したデモ。DisplayPort Alt Modeを利用したDPのディスプレイ出力とUSBディスプレイへの出力が同時に可能になっているほか、新しいMacBookへの給電もできている

(笠原 一輝)