イベントレポート

24Gbpsの次世代シリアルSCSI「SAS-4」の概要

 ストレージ技術に関する講演会「ストレージ開発者会議(SDC: Storage Developer Conference)」が米国カリフォルニア洲シリコンバレーで開催されている。会期は2015年9月21日~24日の4日間、会場はシリコンバレーのサンタクララにあるホテル「Hyatt Regency Santa Clara」である。

ストレージ開発者会議(SDC)の会場である「Hyatt Regency Santa Clara」。2015年9月20日(現地時間)に撮影

 講演会の初日である21日の午後には、ストレージインターフェイスの標準規格「シリアルアタッチドSCSI(SAS)」のアップデート情報に関する講演がSCSI規格の策定団体SCSI Trade Association(STA)によって実施された。講演者は2名で、STAのプレジデントを務めるRick Kutcipal氏と、STAのバイスプレジデントを務めるGreg McSorley氏である。講演タイトルは「SCSI Standards and Technology Update」。

SCSI Trade Association(STA)による講演の項目

「24Gbps SAS」のプラグフェスタは2017年を予定

 講演では始めに、SAS規格のロードマップが示された。SAS規格の最新世代はデータ転送速度が最大12GbpsのSAS(物理層の規格名はSAS-3)である。「12Gbps SAS」と呼称する。12Gbps SASのプラグフェスタは2012年半ばに初めて開催された。12Gbps SASに準拠したストレージ製品は、最初のプラグフェスタから1年半後の2013年後半~2014年初めに登場し始めた。経験的には、プラグフェスタから最初の製品までにはおおよそ、1年半の期間があるという。

 過去、SAS規格はデータ転送速度を世代ごとに2倍に増やしてきた。第1世代の「3Gbps SAS(SAS-1)」に始まり、第2世代の「6Gbps SAS(SAS-2)」、そして第3世代の「12Gbps SAS(SAS-3)」に進化した。次世代(第4世代)のSASはデータ転送速度が最大24Gbpsの「24Gbps SAS(SAS-4)」となる。「24Gbps SAS(SAS-4)」の初めてのプラグフェスタは、2017年になる予定だ。

SAS規格の開発ロードマップ

 講演ではまず、最新世代の「12Gbps SAS」規格を簡単に説明した。「12Gbps SAS」はプロトコル層を規定した「SPL-2」と「SPL-3」、そして物理層を規定した「SAS-3」で構成される。「SPL-3」規格の発行は2014年11月、「SAS-3」規格の発行は同年10月である。

「12Gbps SAS」のプロトコル層
「12Gbps SAS」物理層

誤り訂正やサービス機能などを強化

 次世代(第4世代)のSASである「24Gbps SAS(SAS-4)」では、2019年までに規格に準拠したストレージ製品が登場することを目標とする。最大データ転送速度は先に述べたように現行世代(第3世代)の2倍である24Gbps(3GB/sec)となる。

 「24Gbps SAS」は従来のSASと同様に、後方互換性を有する。具体的には第2世代の「6Gbps SAS(SAS-2)」、そして第3世代の「12Gbps SAS(SAS-3)」と互換性を維持する。

 「24Gbps SAS」の機能は、将来のストレージを想定して策定される。誤り訂正の強化、1,000台を超えるストレージの接続、SATAストレージとSASストレージの両方を接続可能、ストレージとケーブルの追加と取り外しにおけるサービス機能の向上、などが盛り込まれる。

 具体的に明示された内容はおおよそ以下の通りだ。実効的な伝送速度は22.5Gbpsである。128bit/130bitの符号化処理が入るので、見かけの伝送速度は24Gbpsだが、実際のデータの伝送速度はわずかに低くなる。

 誤り訂正機能では、20bitのフォワード誤り訂正を導入する。誤り訂正後に実現する伝送信号対雑音比の目標は30dBである。

「24Gbps SAS」の目的
「24Gbps SAS」の概要

 「24Gbps SAS」のコネクタ形状は、外部ケーブル用、内部ケーブル用、ミッドプレーン用ともSFF(Small Form Factor)規格で定められている。

 外部ケーブル用のコネクタ規格にはSFF-8674(Mini SAS HD)とSFF-8665(QSFP+28)がある。SFF-8674は24Gbpsの信号伝送に、SFF-8665は28Gbpsの信号伝送に対応したコネクタである。

SAS規格の世代とコネクタ(外部ケーブル)のロードマップ。ケーブル長はパッシブ銅ケーブルが6m、アクティブ銅ケーブルが20m、光ファイバケーブルが100m超である。これらのケーブル長は、次世代の「24Gbps SAS」でも維持する考え

 内部ケーブル用のコネクタ規格にはSFF-8621(MiniLink)やSFF-8673(Mini SAS HD)などがある。SFF-8621とSFF-8673はともに、24Gbpsの信号伝送に対応したコネクタである。

SAS規格の世代とコネクタ(内部ケーブル)のロードマップ。ケーブル長は1m

 ミッドプレーン用のコネクタ規格は、マルチファンクションコネクタがSFF-8638、MultiLink SASコネクタがSFF-8640、標準デュアルポートコネクタがSFF-8681である。

SAS規格の世代とコネクタ(ミッドプレーン)のロードマップ

(福田 昭)