イベントレポート

元Google技術者が開発。オフィスソフト向けの11.6型Androidタブレット

 中国のスタートアップ企業Jideは7日(米国時間)、2015 International CESで記者発表会を開催し、Microsoft Officeなど生産性アプリの利用を前提に開発したAndroidタブレット「Remix Ultra-Tablet」を披露した。

 Jideはまだ設立10カ月の若い企業だが、3人の共同創業者は、いずれも10年近くGoogleでGmail、Google Maps、AdWordsなどの開発に技術者として携わってきており、ソフトウェア開発に大きな自信を見せるが、今回披露されたRemixのように、ハードウェア開発も手がける。

 Remixの開発目的は、エンターテイメントなどコンテンツ消費に優れるタブレットと、オフィス文書作成など生産性作業に好適なノートPCの使い勝手と性能を融合したモバイル端末を提供することにあり、Remixはビジネスマン向けのタブレットと言える。

 Remixは基本的には通常のAndroidタブレットであり、この点において、低消費電力、薄くて軽い筐体、タッチ操作、多くのストアアプリといった優位性がある。そして生産性向上のため、40度と80度の2段階に角度調節できるキックスタンドと、磁石で取り外し可能なカバー型ハードウェアキーボードを標準装備とした。これにより、さまざまな場所で、キー入力ができるが、Alt+Tabによるアプリ切り替えや、Ctrl+C/Vによるコピー&ペーストといった、Windowsで標準的なキーボードショートカットもOSレベルでサポートしており、作業の効率向上に一役買っている。本製品の液晶は11.6型だが、これは快適な打鍵ができるハードウェアキーボードのサイズを念頭に置いて決定された。

背面は鮮明な赤
キックスタンドを装備。ここにmicroSDカードスロットもある
キックスタンドは40度と80度の2段階に調節可能
標準付属のキーボード。磁石でタブレットとくっつく
裏面はスエード仕上げ
右側面に充電端子、Micro USB、音声入出力
下面にキーボード端子
左側面に音量ボタン
上面に電源ボタン

 UIもWindowsに似せてカスタマイズしており、画面下部にはタスクバーが表示。アプリを起動するとそのアイコンが表示されるので、楽にアプリ間を行き来できる。また、全てではないが、一部のアプリはメニューから「Phoneモード」へ移行可能で、このモードではアプリはスマートフォン用の画面でウインドウ表示されるようになる。

 これらによって、複数のアプリを同時に開いて情報を参照しながら、入力したり、前述のキーボードショートカットを使って、アプリ間でテキストをコピー&ペーストといったことが容易にできる。このほか、一部のGoogle標準およびサードパーティアプリもそうだが、独自に開発したファイルマネージャーやメールアプリは、フルスクリーン時にタブレットの画面サイズを活用して、3ペイン表示するようになっている。

 ハードウェアの主な仕様は、Tegra 4(1.81GHz)、メモリ2GB、ストレージ64GB、1,920×1,080ドット表示対応11.6型液晶、Android 4.4.4ベースのRemix OSを搭載。インターフェイスとセンサー類は、前面/背面500万画素カメラ、IEEE 802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0、microSDカードスロット、Micro USB(OTG対応)、加速度センサー、ジャイロスコープ、コンパス、環境光センサーなどを装備。

 バッテリ容量は8,100mAhで約8~10時間の駆動が可能。充電はMicro USB以外に、専用の磁石式電源ケーブル経由でも行なえる。本体サイズは295×189×9.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は860g。キーボードは厚み5mmで、重量は約300g。

 中国では1月中旬より、米国では第2四半期からの発売を予定。価格は449ドル前後。また、中国ではストレージ16GBで250ドル前後の下位モデルも予定している。4月頃にはAndroid 5.0へのアップグレードを予定する。

 なお、余談となるが、ちょうど1月6日付けで、Microsoft OfficeのAndroidタブレット向けプレビュー版が一般公開の運びとなっている。

Android 4.4.2のシェルをカスタマイズしたRemix OS。下にタスクバーがある。一番左は戻るボタン、その右の○はホームボタン
メディアプレーヤーアプリを起動したところ。通常はこのようにフルスクリーン表示
右下のメニューボタンを押すと、このようなメニューが表示
Phoneボタンを押すと、アプリが再起動
このようにスマートフォンのUIでウインドウ表示される。複数のアプリを同時立ち上げも可能
メニューから、過去に起動したアプリを強制終了させメモリの空き領域を増やすことも可能
独自のファイルマネージャー
独自の電力制御アプリ

(若杉 紀彦)