【WWDC 2012】2つのプラットフォームで新OSを公開した基調講演
~Mountain Lionは7月出荷。iOS6は今秋にリリース予定

会期:6月11日~6月15日
会場:Moscone Center West



WWDC 2012の基調講演を行なうティム・クックCEO

 米AppleによるWWDC(Worldwide Developers Conference:世界開発者会議)が、6月11日(現地時間)に開幕した。既報の通り、基調講演の中でMacBookシリーズの製品更新を告げた。MacBook AirおよびProをIvy Bridge世代へと更新したほか、2,880×1,800ドットのRetinaディスプレイを採用し、ゼロスピンドル化して薄くなった「次世代MacBook Pro」を発表した。全体としては事前の予告通りにOS X Mountain LionとiOS 6に搭載される新機能を、世界中から訪れた開発者の前で披露するという講演内容となっている。

 オープニングではまずSiriをフィーチャーしたビデオで座を暖めるべく前説が流れ、WWDCへの歓迎のメッセージの中にAndroidやSamsungを揶揄するSiriのトークとGaragebandのドラムが混じって会場の笑いを誘う。続いてティム・クックCEOが登壇した。冒頭、さまざまな近況を数値で示す講演のスタイルは故スティーブ・ジョブズ氏のそれとほぼ同じ。今回がAppleが開催する23回目のWWDCであること、来場者は世界の60カ国から訪れ、参加チケットは1時間43分で完売したことなどを矢継ぎ早に紹介した。期間中には通算112のセッションと125のラボが会場内にあり、Appleのエンジニアも1,000人以上が会場入りしている。

 最初はまずApp Storeの状況報告から。訪れたデベロッパにとっての店舗でもあるApp Storeには、顧客としてすでに4億アカウントが登録されている。現在、iOS向けのAppは65万個におよび、うち225,000個がiPad向けにデザインされている。ダウンロード総数は述べ300億回を数えるという。App Storeの提供地域は現在も拡大しており、新たに32の地域を加えて155地域にまで増えていく。すでにApp Storeの売り上げからデベロッパに支払われた金額は50億ドルを超えたと、クックCEOはiOS向けのApp開発がデベロッパにとっての利益につながることを強調した。こうしたビジネス面に加えて、iOS対応のAppが盲目のユーザーのトレッキングをサポートする事例や、インド・パキスタンにおける教育の助成、あるいは医療現場などさまざまな局面で社会的にも貢献を行なっているというビデオを上映し、Appleとデベロッパがともにこれらのことを成し遂げてきたという意義も説明した。

WWDC 2012の概要。23回目の開催にあたる。学生も多く招待していることから、年齢よりも長い歴史である場合もあるとコメント2012年内には灰色で表示されている地域までApp Storeが展開される見込みApp Storeからのダウンロードは、300億回を数えるようになった

●MacBookシリーズをIvy Bridge世代へ移行。Retina対応の新MacBook Proも
新世代MacBook Proを発表するワールドワイドマーケティング担当のフィル・シラー上級副社長

 続いてステージに登場したのは、ワールドワイドマーケティング担当のフィル・シラー上級副社長。MacBookシリーズの更新を次々に発表した。

 まず現行のMacBook AirとMacBook ProのIvy Bridge世代への移行を明らかにした。更新内容はは、基本的に本体デザインやメモリやストレージの構成、価格帯などを従来モデルから蹈襲しており、主にプロセッサがSandy Bridge世代からIvy Bridge世代へと移行したことで得られるパフォーマンス向上と省電力性が主体。例えば、CPU統合のグラフィックスであるIntel HD Graphicsが3000から4000へと変わっていることで、最大1.6倍の性能向上が見込めるといった例をあげて説明した。また、Airにおいて512GBのフラッシュストレージ(SSD)に対応した点、チップセットに統合されたことでUSBインターフェイスが新たにUSB 3.0対応になる点などがフォーカスされている。

 15型のMacBook Proに搭載されるディスクリートGPUは、従来モデルのAMD Radeonシリーズにかわって、NVIDIAのGeForceがふたたび搭載された。GeForce GT 650MはKeplerアーキテクチャを採用する。筐体デザインの大きな変更などはないことから、このMacBook Proは従来通り光学式ドライブも継続して搭載されている。

MacBook Air、MacBook ProはいずれもIvy Bridge世代へと更新されるMacBook Airに搭載されるフラッシュストレージ(SSD)は従来モデル比で2倍高速な読み出しIvy Bridge世代からはUSB 3.0へも対応し、より高速なデータ転送を実現

 こうして一旦、MacBookシリーズの紹介を行なったあとでシラー氏は改めてベールに覆われたMacBookのスライドを見せ、“New Generation”(新世代)MacBook Proの存在を明らかにした。さまざまな予測が流れていたとおり、新世代MacBook ProはiPhoneやiPadに続いて、Retinaディスプレイを搭載することがポイント。15型MacBook Proの標準解像度である1,440×900ドットの縦横2倍にあたる2,880×1,800ドットの高精細パネルを搭載する。

 本体厚は0.71インチ(18mm)でこれはAirとほぼ同じ。ただしAirのようのくさび形のデザインではなく、前後とも均一の厚さになっている。薄さを実現している要因の1つはゼロスピンドル化によるもので、内蔵ストレージはAirと同様にドライブの形状をとっていないフラッシュストレージ(SSD)。また本体メモリもAirと同様に基板に直付けされており購入後の増設はできない。パネル部分も従来モデルに比べて大幅に薄型化された。シラー上級副社長によれば、従来モデルから約3/4の厚さになっているとされる。

 次世代MacBook Proの製品スペックは速報および、製品情報記事が詳しい。従来モデルから省かれることになるFireWire 800およびGigabit Ethernetは、Thunderboltからのコンバータとなる周辺機器が同時に販売されることで対応する。

 電源コネクタ部分には新たに「MagSafe 2」が採用された。これは従来のMagSafeを再設計して薄型化したもの。次世代MacBook Proと前述のMacBook Airに採用される。従来モデルがIvy Bridge化されたMacBook ProについてはMagSafeコネクタのまま。なお形状以外の電気的な部分では変更がない模様で、同時にMagSafe/MagSafe 2のコネクタを変換する周辺機器も発表されている。

 ポイントとなるRetina化だが、大きなメリットが得られるのは、まずFinal Cut Pro Xなどの動画編集。これは1,920×1,080ドットのフルHD映像をドットバイドットで表示したままで編集作業を行なうことができる。またApertureやPhotoshopといった写真加工関連でも大きな効果が期待できる。一般的に表示されるフォントも画面上の実サイズが同一ならドット数にして4倍の密度が実現しているので、より滑らかに表示できるという点は間違いない。ただしRetinaディスプレイではないMacBook Proにおいては従来モデルもこの日発表された製品も、15.4型は高解像度モデルとして1,680×1,050ドットのパネルをBTOで用意している。単純にフォントの密度やアイコンの画素数を縦横2倍にしただけでは、確かに滑らかな表示は実現できるが、一画面に表示する情報量(例えば文字数など)は1,680×1,050ドットに比べると減ることになるので、その点をOSレベルでどのように吸収しているのかは、実際に利用してみないとわからない点とも言える。

Air、Proそれぞれを発表したあとに控える右端のベールをかけた新製品次世代MacBook Proがステージに登場。側面からの写真がその薄さを表現している従来の15.4型MacBook Proの1,440×900の縦横2倍にあたる2,880×1,800の解像度
1,920×1,080のフルHD映像がドットバイドットで編集できるFinal Cut Pro Xはキラーアプリの1つ。同日付けでアップデートされたゲームも高解像度でプレイ可能と説明するシラー上級副社長。写真は「Diablo 3」新世代MacBook Proの本体構造。メモリは基板直付けなので最大容量の16GBにするにはBTOが必須
1,600MHzのDDR3Lメモリを標準で8GB搭載。BTOで16GBまで増設可能フラッシュストレージ(SSD)のカスタマイズは最大768GBまで同日付けで出荷を開始。SNSではすでに店頭での購入報告もあがっている

●OS X Mountainは、7月に出荷開始。ダウンロード販売価格は1700円
OS X Mountainを紹介したMacソフトウェアエンジニアリング担当のクレイグ・フェデリギ上級副社長

 次世代MacBook Proを紹介したシラー上級副社長から直接バトンタッチする形で、ステージにはMacソフトウェアエンジニアリング担当のクレイグ・フェデリギ上級副社長が登壇した。同氏によるとMac OSのインストールベースは現在6,600万台。現行のOS X Lionは2,600万本を出荷(ダウンロード販売とプリインストール)し、OS Xの約40%を占める。その後継OSとなるのが、今回紹介される「OS X Mountain Lion」だ。

 Mountain Lionについては、もしかしたらバージョンナンバーである10.8にかけたのかも知れないが、8つの機能にフォーカスされているので項目ごとに見ていこう。

OS Xのインストールベースは、この五年間で3倍に増えたと説明これはちょっとずるいグラフだが、最新のOSがインストールベースの40%に達する期間を比較している7月にリリースされるOS X Mountain Lion

・iCloud
 昨年のWWDCで発表され、LionとiOS 5、そしてWindowsプラットフォームでも利用できるiCloudについては、OSとの統合がさらに進む。iOSからOS Xにフィードバックする形で加わる「Notes」「Reminder」「iMessage」そして、各種ドキュメントがプッシュで同期される。

・Nortification Center
 iOS5で通知センターとして実装されている機能。アラーム、ソフトウェアアップデートの案内、Mail、メッセージの到着などを一元管理する。通知があれば一旦通知が画面にあらわれて、その後リストに加わる。リストは画面のスライドで一覧表示が可能。

・Dictation
 文字どおり、音声認識による入力機能。OSに統合されてMailやTwitter、検索ウィンドウなどでのキーボードによる文字入力にかわって、発声にしたがった文字を入力する。Siriとは異なり、発声した音声を文字変換する。

・Share
 シェア機能。OSに統合されることで、Safari、iPhotoなどいたるところから、写真を投稿したり、メッセージを送ったり、Twitter、Facebookなどと連携が可能。

・Safari
 バージョン6になると思われるSafari。Chromeと同様にアドレスバーと検索ウインドウを統合。競合するどのWebブラウザよりもJavascriptが高速というグラフが示された。iCloudを使って同期しているデバイス間で、タブの同期も可能になる。

基調講演でピックアップされたMountain Lionの8つの新機能OSへの統合が進み、同期されるサービスが拡充するiCloudNortification Centerの通知はGrowlによく似た左上への通知と、スライドしてでてくるリストに一元化される
音声入力するDictation。システムに統合されるので、あらゆるアプリで音声入力を実現さまざまなアプリで必要に応じた手段で簡単にシェア新しいSafariに搭載されるマルチタッチジェスチャによるタブ間の移動

・Power Nap
 Napはうたた寝を意味する。機能としてはスリープ状態でも自動的にiCloud同期やシステムアップデート、メール受信、TimeMachineによるバックアップが行なえるというもの。おそらく定期的に低消費電力でCPUを稼働させ再度スリープモードに入るものと思われる。イメージとしては任天堂のWiiに搭載されるWii Connect24、いつの間に通信とも似ている。

・AirPlayミラーリング
 Macで試聴している音楽や映像をAirPlay対応デバイスにストリーミングする。

・GameCenter
 iOSに搭載されているGameCenterと同様に、フレンド間で対戦形式のゲームを楽しんだり、同じゲームのスコアを競うことができる。OS XとiOSというプラットフォーム間をまたいでも、ゲーム自体が対応していれば対戦プレイが可能。

これらのアプリケーションでスリープモードでも必要に応じた更新、同期が行なわれる「Power Nap」Macの画面をフルHDテレビにミラーリングするAirPlayミラーリングiOSとOS Xの間でも対戦ゲームが可能になるGame Center

 そのほか、中国市場に向けた機能として、IMやフォントの搭載、百度あるいは中国国内の電子メールサービスがOS Xに統合される。これは、FacebookやTwitterなど、ソーシャルサービスが使えず、中国国内向けサービスを利用するための施策にあたる。

 OS X Mountain Lionは、7月に出荷を予定。OS X Lionと同様に、Mac App Storeからダウンロード販売が行なわれる。アップグレード対象となるインストールベースは、Snow LeopardとLionが該当。米国では19.99ドル、日本では1,700円の価格設定がされている。Lionのアップグレード価格と比べると、米国で10ドル、日本で900円の値下げとなっている。これはMac App Storeのレート設定に準じるもの。なお、同日以降に新しくMac製品を購入したユーザーは、Mountain Lionへの無償アップグレードの対象となる。

大小あわせて約200の新機能をMountain Lionに搭載する中国向けに、中国国内のメールサービスもOSへ統合される7月からMac App Storeで販売を開始。価格は19.99ドル(日本では1,700円)

●iOS 6にFacebookを統合。新地図アプリも登場する

 続いて、iOSソフトウェア担当のスコット・フォーストール上級副社長が登壇。次期iOSとなるiOS 6の新機能を紹介した。iOS対応デバイスの販売台数は、今年の3月30日までで3億6,500万台を出荷。現行の最新OSであるiOS5の利用率は80%近く、バージョンがデバイスによって分断されているAndroidに対しての優位性(App開発での有利さ)を強調した。

iOSは80%が最新のiOS 5になっており、バージョンごとに分断されているAndroidよりも開発に有利と説明iOS(iPhone OS)の歴史。バージョン毎にテーマが異なっているのがわかるそうして初公開されるiOS 6

iOS 6を紹介し、自らデモンストレーションするiOSソフトウェア担当のスコット・フォーストール上級副社長

 新機能の説明は、Siri関連から。スポーツ、レストランガイドなど、Siriが回答できるジャンルが大幅に増えていくことを紹介。MLB、NBA、NFLといった北米の人気スポーツの試合結果や、個人記録なども対話形式で検索、表示できるようになる。またレストランガイドは、Yelpのデータを元に回答。予約はOpenTableを使って行なう。レストランガイドしてYelpが主流ではない日本をはじめとした各国での対応については、特に言及されていない。他にも上映中の映画検索、チケットの予約なども行なえる。

 続いて、いわゆる車社会であるアメリカならではだが「Eyes Free」というやはりSiri関連の新機能を紹介した。すでにハンズフリー化はかなり進行していて、例えばカーステレオにiPhoneをつないでおけばハンドルに統合されたコントローラーで曲の再生やスキップ、着信時の受話などが利用できる。「Eyes Free」はさらに一歩進めて、ハンドルからSiriをコントロールして、音声でさまざまな情報検索を要求し、その情報を読み上げてもらうと言うもの。GM、BMW、Audiやトヨタ、ホンダなどと協業していくとしている。

 Siriは新しいiPad(第3世代)での利用も拡張される。先日のiOSアップデートでSiriが日本語対応したばかりだが、さらに多言語に対応。カナダ、スペイン、ポルトガル、イタリア、スイス、韓国、台湾、香港そして中国。既存エリアも含めて15地域での対応を実現する。

Siriの回答をさらに拡張。地元の野球チーム、サンフランシスコジャイアンツの昨日の試合結果初秋からシーズンの始まるNFLの試合日程も回答される近隣施設、METREONで上映されている映画情報をSiriで検索。スケジュールも表示
Siriの起動ボタンをハンドル内に組み込む「Eyes Free」の計画BMW、GM、トヨタ、ホンダなどスライドの9メーカーをはじめ、1年以内に全メーカーとの協業を目指すSiriの対応地域(言語)は、15地域へと拡大する

 iOS 5ではTwitterがOSに統合されたが、iOS 6ではFacebookが同様に統合される。メールアドレスとパスワードをシステム設定にに登録しておくことで、さまざまなアプリからFacebookへとシェア、投稿が可能になる。

 電話機能もアップデートされる。着信時の画面が新しくなり受話のショートカットボタンのほか、着信に対する対応が選択できるようになる。着信に対して受話でなくメッセージで返信したり、後で連絡を取り直すということができる。例えば映画館の中や電車など、あらかじめ通話ができないことがわかっているのであれば「Don't Disturb」という機能を設定して、その時の着信にどう対応するかが選択できる模様。

 これまでWi-Fi接続時に限定されていたTV電話機能「FaceTime」が携帯ネットワークでも利用できるようになる。電話番号とApple IDを統合することで、着信を同じApple IDを利用するiPadやMacで受け取ってFaceTimeを行なうことも可能。ただしこれは「通話」という基本的な課金サービスが、データトラフィックに変換されることからキャリアがその使用を許可するかどうかという問題にも直面する可能性がある。

 iOS版のSafariについては前述のMountain Lionとも関連して、表示されているタブの同期が行なわれるようになる。Offline Reading Listが新機能として追加されて、このリストに入れたサイトは通信可能時にデータをキャッシュ。非接続時にそのサイトに目を通すことができるようになる。そのほか写真の投稿を容易にする機能や、専用のAppが用意されているサイトでは、サイト側からそのAppがあることを知らせることや、インストール済みのAppを起動するようにうながされるようになる。

iOS 6ではFacebookをシステムに統合する。ログインを一元化App Store、iTunes、GameCenterのアクティビティをFacebookに投稿するApp StoreでLike!(いいね)ボタンが押せるようになる
電話機能では着信時の対応を選択可能。通話せず、メッセージで返信したりできるDo not Disturbの機能。夜間の着信に対する対応などを設定できる携帯ネットワークを使ったFaceTimeチャットに対応する。キャリア側の対応も問われる
電話番号とApple IDを紐づけることで、電話着信に対しiPadやMacで通話することも可能にSafariに搭載されるOffline Reading List専用appのあるサイトでの誘導や表示がよりスマートになる

 MailにはVIP機能が加わる。これは特定のアドレスから送られたメールに自動的に優先フラグをたてる機能で、メール着信時にアラート表示を連携できるようになる。

 さまざなな会員カードや、映画の予約チケット、航空チケットなどを一元管理する「Passbook」。すでにこれらはスターバックスのプリペイドカード、映画の予約コードなど、それぞれの独自appのなかで実現しているサービスだが、これを一元管理する。こうした機能をもつAppを1つにまとめて、わかりやすくする仕組みだ。ロック画面やリマインダの機能とあわせて、予約日時が近づいたり、会員カードを持つ店舗などに近づいたらアラートを送ってくれるようになるとのこと。この機能には非常に深い考察とヒントが含まれていることに気がついた人が多いかもしれないが、詳報で追って紹介したい。

Photo Streamの共有。共有したい友人をコンタクトリストから選ぶだけで共有Mail機能ではテキストの作成途中でも添付の選択が可能になる。プルダウンでの更新にも対応数々の専用Appで利用されている会員カードや入場券、搭乗券など
「Passbook」でこれらを一元化する映画予約サイトFandangoからのアラート。上映時間や映画館に近づいたときに表示されるホームボタンの無効化や可能な操作の特定をするSingle App Mode。博物館のガイドなど、特定目的のapp利用が容易になる

 新しい地図アプリ「Maps」。Google Mapに依存していた地図機能を独自に開発。Yelpによるレストランガイドや、そのエリアで撮影された写真などの表示も行える。また道路の渋滞情報やナビゲーション機能も追加。完全にGoogle Map対抗のサービスの実現を目指している。Siri連携や「Fly over」と呼ばれる3D地図の表示もデモンストレーションされた。サンフランシスコ市内や、シドニーのオペラハウスなどを自由な視点で見ることができる。

 ここでデモされなかった機能を含め、iOS 6には大小あわせて200以上の機能を追加。同日付けで契約開発者にはiOS 6のβ版とSDKの提供が開始される。iOS 6の提供開始は今秋が予定されており、対象機種はiPhoneは3GS以降、iPadはiPad 2以降、iPod touchは第4世代モデルとなっている。

 最後に再登壇したティム・クックCEOは、2時間近い基調講演で発表されたMacBookシリーズ、Mountain Lion、iOS 6を簡単にまとめ、これから1週間にわたるカンファレンスをより充実したものにして欲しいと、来場者にメッセージを送って締めくくった。

独自に開発された新しい地図アプリの「Maps」1億件もの企業や店舗情報などが地図上で検索できる渋滞や事故情報なども地図上に表示される
ナビゲーション機能にも対応する「Flyover」。視点を自由に変えて3D表示の地図を見ることができる基調講演では紹介されなかったものもふくめ、大小さまざまな200の新機能を搭載
iOSにも中国市場に向けた特別の仕様が盛り込まれるiOS 6の開発者向けβ版は、同日からSDKと一緒に提供が開始されたエンドユーザー向けには今秋にiOS 6が提供される

(2012年 6月 13日)

[Reported by 矢作 晃]