【CES 2012レポート】じわりと普及の兆しをみせるThunderbolt

会期:1月10日〜13日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center/The Venetian



 昨年(2011年)2月、AppleによるMacBook Proの新モデル発表とともに投入されたThunderbolt Technology。CES会場のIntelブースをはじめ、いくつかのブースや併催イベントで関連製品をみることができた。今回のCESでは、Acerの「Aspire S5」(第2四半期出荷予定)やLenovoの「ThinkPad Edge S430」(6月出荷予定)など、Thunderboltインターフェイスを搭載予定のPC製品が発表されており、普及の兆しをみせつつある。

 現時点でもっとも使いでのあるThunderbolt対応製品と言えば、AppleのApple Thunderbolt Displayだろう。Thunderboltインターフェイスを持つMacBookシリーズやiMacなどの外部ディスプレイとしてだけでなく、最大2台の同ディスプレイでデイジーチェーンが可能、3画面表示に対応する。またMacBook Airなどインターフェイスの限られる機器においては、USB 2.0、FireWire 800、Gigabit Ethernetなどが拡張できるのも大きな魅力である。

 一方で、現時点で出荷が確認されているサードパーティ製のストレージ製品やビデオキャプチャ機器などはいずれもプロやハイアマチュアなど映像スペシャリストをターゲットとしたもので、エンドユーザーが手にできる製品ではなかった。Thunderbolt普及のカギは、コンシューマ向けの対応製品がこれからどのように増えていくかである。

IntelブースでThunderbolt Technologyのデモ機として利用されていたのは、今回のCESで発表されたLenovoの「ThinkPad Edge S430」

 Intelブースの展示はLenovoのThinkPad Edge S430に、ディスプレイ、ストレージをデイジーチェーンして、複数の高解像度映像をストリーミングするというお馴染みの内容だった。MacBook ProがThinkpadに置き換わっている以外は、COMPUTEX TaipeiなどでこれまでIntelやAppleが行なってきたテクノロジーデモと大筋では変わりがない。

 しかしディスプレイとして使われていたのは、未発表のAOCの製品で、DisplayPortではなくThunderboltインターフェイスが2基搭載されていたのは注目すべき点だ。Thunderbolt対応ディスプレイとしては、筆者の知る限りApple Thunderbolt Displayに次ぐ2つ目の製品ということになる。

 スペックの詳細は明らかにされなかったが、映像入力としてHDMI、ミニD-Sub15ピン、Thunderbolt×2基を搭載。ほかにEthernetの端子もあり、こちらはThunderboltからブリッジされているものと想像される。Apple Thunderbolt Displayは27型という大型かつ高機能な製品だ。もし、低価格帯に24型クラスが投入されるならば魅力的な選択肢となりそうである。

 2つ目の製品と言う点ではIntelブースの展示で使われているThunderbolt対応ケーブルも該当する。これまでThunderbolt対応ケーブルはApple純正品のみが流通していたが、昨年10月から住友電気工業がThunderbolt対応ケーブルのサンプル出荷を開始をしている。ただしこれは一般向けではなく、IntelおよびPC周辺機器メーカーに向けた製品だ。

 これまでは数少ないながらもThunderbolt対応の周辺機器を利用する際はApple純正のケーブルを別途購入する必要があったわけだが、今後周辺機器の普及に伴い機器への同梱が増える可能性がある。ちなみにThunderboltのケーブルは、ケーブル自体にコントロールチップが入っている関係から意外に高価な製品で、Apple純正品の場合、Apple Storeのオンライン価格は4,800円に設定されている。


デモの様子。複数の高解像度映像をストリーミングするというお馴染みの内容だが、ディスプレイには未発表のAOC製品が使われている デモ機に接続されていたAOC製ディスプレイの背面部分。HDMI、ミニD-Sub15ピン、Thunderbolt×2基を搭載。ほかにEthernetの端子も見える デモ機は、ThinkPad Edge S430、AOC製ディスプレイ、GoFlex Desk、GoFlexの順に、住友電気工業製のThunderbolt対応ケーブルを使ってデイジーチェーンされていた

 徐々にではあるが、個人向けと言えるストレージ製品も増えつつある。Intelのブースには、Western Digital、Seagate、LaCie、そしてOCZのストレージが展示されていた。Thunderboltの持つ帯域を活かすには、単にHDDを使って内部SATAのみの接続では限界がある。これまで出荷されている製品はPromiseのHDDを4基あるいは6基搭載するRAIDアレイ、そしてLaCieのLittle Big Diskなどがあり、後者はポータブルな製品だが2.5インチのHDDあるいはSSDをRAID 0で動かして転送速度を稼ぐような仕組みだ。

 今回Intelのブースに展示されていたWestern Digitalの「MyBook Thunderbolt Duo」も、コンシューマ向けとはいえ3.5インチのHDDを2基搭載、RAID 0/1を選択して利用するようになっている。転送スピード重視であればRAID 0、安全性を求めるならRAID 1のミラーリングというわけだ。

 LaCieは、前出の「Little Big Disk」シリーズを出荷済み。加えて今回のCESにあわせて「2big」シリーズを発表した。これもやはり3.5インチのHDDを2台内蔵する製品で、言わばLittle Big Diskの大型版にあたる。同社の発表資料によると最大311MB/secの転送速度を実現。4TB/6TB/8TBのラインナップが用意される。

 同じくLaCieは「Little Big Disk」とほぼ同じ外見の「LaCie eSATA Hub」をCES Unveiledで展示している。こちらはLittle Big Diskと同様に2台のHDD/SDDを内蔵するほか、背面にThunderbolt×2のほか、eSATA×2のインターフェイスを持っており、eSATA対応のHDDをさらに外付けとして増設できるハブ機能をあわせもつ製品になるとのこと。eSATAはThunderboltからのブリッジ接続になる。

 Seagateの製品は、3.5インチ、2.5インチともに1ドライブの製品が展示された。いずれも同社のGoFlexブランドで、これは必要に応じてインターフェイスを変えられるのが特徴。つまり展示されていた製品の本質はHDDそのものではなく、同社のGo Flexシリーズに対応する2つのThunderboltアダプタということになる。

 デスクトップ向けの「GoFlex Desk Thunderbolt Dock Adapter」はThunderboltのインターフェイスを2基搭載、デイジーチェーンにも対応する。ポータブル向けの「GoFlex Thunderbolt Adapter」は1基のThunderboltインターフェイスのみを搭載。必然的にこの機器はデイジーチェーンの終端に取り付けることになる。Seagateによると予想される市場価格は前者が199ドルで、後者が99ドル。既存のGoFlexシリーズHDDとの互換性など優位点もあるが、アダプタの値段としては、なかなか高価と言わざるを得ない。

Digital Experienceに出展されていたWestern Digitalの「MyBook Thunderbolt Duo」。3.5インチのHDDを2台内蔵し、RAID 0/1で利用する。 CES Unveiledに出展したLaCie。3.5インチHDDを2台搭載する「2big」シリーズと、Little Big DiskにeSATA×2のインターフェイスが加わった「LaCie eSATA Hub」も発表
やはりDigital Experienceに出展されていたSeagateの「GoFlex Desk Thunderbolt Dock Adapter」。既存のGoFlex DeskシリーズHDDをThunderbolt対応にする。価格は199ドルを予定
2.5インチのGoFlex Thunderbolt Adapter」。こちらはThunderboltが1基しかないので、利用する場合は終端への接続ということになる。GoFlexシリーズの同様のアダプタにはUSB 3.0やFireWire 800タイプもあるが、アダプタに背まで付いているのはThunderboltアダプタのみ。価格は99ドルを予定

 そのほかIntelブースでは、非稼働モデルながらOCZの外付けSSDが展示された。大きさから判断すると1.8インチか、あるいは独自形状のSSDを内蔵していると思われる。この製品もThunderboltインターフェイスは1つのみ。

 また、Black Magic Designの「Intensity Shuttle Thunderbolt」も展示された。こちらはビデオキャプチャデバイスでHDMI、コンポーネント、Sビデオ、コンポジットの映像を入力してThunderbolt経由でキャプチャするもの。

 そのほかCESの併催イベントにあたるDigital Experienceでは、HGSTによるG-TechnologyブランドのRAIDドライブ「G RAID with Thunderbolt」なども出展された。ここまでにあげた製品群は、早いものだと2月頃から出荷がはじまり、いずれも2012年中に出荷されるとしている。とはいえ事実上の市場が立ち上がりはじめるのは、2012年の後半以降だろう。

 対応の周辺機器自体は徐々に数を揃えつつあるが、ネックになるのはやはり価格だ。例えばSeagateのGoFlexを例にあげるとThunderboltアダプタは99ドル。シングルドライブで運用する限り実質的な転送速度はさほど変わらないと思われるUSB 3.0のアダプタが69ドルなので、利便性とのトレードオフとは言え、まだまだ高価なことは間違いない。昨年までのようにApple製品のみをターゲットにするのではなく、PC製品をもターゲットにすることで価格もこなれ、普及が進むことを期待したい。

Digital Experienceに出展されたG-Technologyの「G RAID with Thunderbolt」。やはり2台の3.5インチHDDを搭載するシリーズで最大転送速度は280MB/secと発表されている OCZの外付けSSD。インターフェイスはThunderboltが1基(撮影:笠原一輝) Intelブースで配布されていたThunderbolt対応周辺機器の一覧
Black Magic Designの「Intensity Shuttle Thunderbolt」。HDMI、コンポーネント、Sビデオ、コンポジットの映像を入力しThunderbolt経由でキャプチャするデバイス(撮影:笠原一輝)
MSIが展示したThunderbolt対応の外付けGPUユニット「GUS II」。詳細は別記事にも掲載されている。デモ機としてはMacBookが使われているが、実働デモはBootCampによるWindows環境で行なわれていた。dGPUのない製品(例えばMacBook Air)のグラフィック表示能力を強化できるが、Mac OS環境に対応するかどうかは明らかにされていない。(撮影:笠原一輝)

(2012年 1月 16日)

[Reported by 矢作 晃]