米HP、webOS 2.0を搭載した9.7型スレート端末「TouchPad」をデモ

TouchPad

2月23日(中国時間) 開催



 Hewlett-Packard(HP)は23日(中国時間)、中国・上海で行なわれている報道関係者向けのイベント「A NEW HP WORLD」で、携帯端末向けのOS「webOS 2.0」を搭載したスマートフォンおよびスレート端末のデモを行なった。

 webOSは、HPが2010年4月28日に買収した米Palmのチームが開発した、携帯端末向けOS。同じく携帯端末向けOSであるAppleの「iOS」や、Googleの「Android」と同様、タッチ操作を前提としたGUIを採用しており、直感的に操作できるのが特徴となっている。

 HPは2月10日(米国時間)に、そのwebOSを搭載した端末として、9.7型液晶ディスプレイを搭載したスレート端末「TouchPad」、3.58型液晶を搭載したスマートフォン「Pre3」、2.6型液晶を搭載したスマートフォン「Veer」の3機種を発売。今回のイベントでは、TouchPadとVeerをデモした。

 TouchPadは、1,024×768ドット(XGA)表示対応の9.7型液晶ディスプレイを搭載したスレート端末で、AppleのiPadを意識しているようだ。CPUはQualcommのデュアルコアSnapdragon(1.2GHz)で、リリースによれば大きさは240×190×13.7mm、重さは約740gとされている。

 一方Pre3は480×800ドットの3.58型液晶ディスプレイを搭載したスマートフォンで、縦方向でスライドして現れるQWERTYキーボードを備える。CPUはQualcomm製の「MSM8x55」で、1.4GHz駆動となっている。本体サイズは64×111×16mm(同)、重量は約156gだ。

充電台に載せたTouchPadTouchPadの概要スマートフォン「Pre3」

 デモでは、マルチタスクの動作や、タスクのグルーピング、Officeドキュメントや写真の閲覧、メールの送受信、Pre3をTouchPadに載せると、TouchPadで閲覧していたホームページをPre3に転送する「Touchstone」技術のデモを行なった。

 TouchPadでは、iPadと同様に真ん中にホームボタンがあるが、これを押すとアプリケーションがカード状になり、タスクの切り替えや終了をスワイプ操作で行なうことができる。また、インストールされたアプリケーションの起動も、この画面の下のアイコンをタップして行なう。ランチャー機能がメインのiOSやAndroidとは対照的だ。

 アプリケーションを終了させるためには、カードを上にスワイプすれば良いし、複数の関連するプログラムを1つのグループとしてまとめ管理することもできる。例えば、カレンダーの予定を参照しながら友達にメールをしたい場合、2枚の“カード”をまとめることで、それらが1つのグループとしてまとめられ、後で「メールで何を書こうとしたのか」を容易に連想できるようになるわけだ。

ホームボタンを押すとアプリケーションがカード状になり、切り替えや終了操作が行なえるホーム画面からさまざまなアプリケーションの起動もできる
複数のアプリケーションをグループ化して整理することが可能ゲームプレイ中でもタスクの切り替えが可能

 Officeドキュメントの閲覧はQuickOfficeを使って行ない、WordやExcelなどさまざまなフォーマットをサポートする。一方、写真の閲覧も内蔵のビューワを使って、マルチタッチ操作による拡大縮小が行なえるほか、特徴としてTwitterやFacebookなどのWebサービスへ直接投稿を行なったり、すでにアップロードしている写真をビューワで閲覧し、その写真に対するコメントなども閲覧できることが紹介された。また、写真ビューワからプリンタへ出力できることもデモされた。

Word文書の閲覧が可能電子書籍のビューワ
写真のビューワ画面Facebookへ投稿した写真へのコメントも閲覧可能で、さらに返信もできる

 メールクライアントも軽快な操作で行なえる。標準的なビューでは2ペインで、左側の件名、右側にメール本文が現れるが、左ペインの左端を右にスワイプするとマルチアカウントが現れ、アカウントの切り替えも簡単に行なえることがデモされた。また、WebブラウザもHTML5やFlashをサポートしており、ハードウェアアクセラレーションにより、快適にホームページを閲覧できるとした。

 OS備え付けの検索ボックス「JustType」もユニークであり、端末内やWebの検索だけでなく、入力した文字をあらかじめ設定されたTwitterやFacebookのアカウントに投稿できるアクションが用意されている。

メールは標準で2ペイン表示だが、左端をスワイプすると3ペインに変化し、アカウントの切り替えが行なえるHTML5とFlashをサポートする検索ボックスのJustTypeからTwitterへの投稿も可能
Pre3をTouchPadの上に載せると、現在TouchPadで閲覧しているホームページのURLを自動的にPre3に転送し、Pre3側で続きを閲覧できる

 そして特徴的なTouchstone技術であるが、利用シーンとしてはTouchPadを家のリビングなどに置いて、Webなどをブラウジングし、出かける際にPre3をTouchPadの上に載せ、現在閲覧しているホームページをPre3側でも開き、外出先で参照することを想定している。なお、この技術はタッチが前提のため、Pre3をTouchPadの上に乗せる動作そのものは必要だが、通信方法としてBluetoothや無線LANなどを利用しているため汎用性が比較的高い。ただし、TouchPadがホスト固定となり、Pre3で閲覧していたホームページの続きをTouchPadで見るといったことは不可だという。

 このほかハードウェア面での特徴として、無接点充電を採用していることを挙げた。

 今回のイベントの基調講演で登壇したSteven McARTHUR氏(Senior Vice President, Application & Service, HP Personal Systems Group)は、webOSの特徴について触れ、「現在、デジタル機器の普及に伴い、利用形態に応じたデバイスへのニーズが高まり、我々の身の回りでも1台しかデバイスを持たないことはなくなっている。webOSのTouchstone技術はデバイス間のシームレスな連携もたらすことができ、ユーザーの体験をより良いものにできる」と語った。

 また、2.0になってからVPNのサポートやボイスダイヤリングなどが加わり、企業向け機能の強化とユーザーインターフェイスの向上をアピール。さらに、webOSのアプリケーションについても、すでに7,000以上のアプリケーションがマーケットに登録されているほか、C++ベースで開発できるPDKと、HTML+CSS+JAVAで開発できるSDKが用意され、容易に開発者が参加できるとした。具体例としてiPhoneで大ヒットとなった「AngryBird」を挙げ、「わずか数日でiOSから移植できた」とアピールした。

Steven McARTHUR氏一から開発した3Dシューティングゲームの一例。わずか3週間で完成したという

(2011年 2月 24日)

[Reported by 劉 尭]