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NVIDIA、199ドルのAndroid TV/Tegra X1搭載ゲーム機「SHIELD」

~独自のクラウドゲームストリーミングサービス「GRID」も開始

SHIELDを掲げるジェンスン・ファン氏

 NVIDIAは3日(米国時間)、GDC 2015で基調講演を開き、CEOであるジェンスン・フアン氏が、同社で初めてOSにAndroid TVを採用したゲーミングコンソール「SHIELD」を発表した。5月に発売し、価格は199ドル。

NVIDIA SHILED
199ドルでコントローラ付き

 SoCとして最新のTegra X1プロセッサを採用。MaxwellアーキテクチャのGPU(CUDAコア256基)を内包しており、Xbox 360の2倍の演算性能を謳う。H.264/H.265/VP9のハードウェアエンコーダ/デコーダを内蔵しており、4K動画を60fpsでデコード可能。Playストアの映画コンテンツを大画面のTVで楽しめるほか、撮った写真を家族で共有することもできる。

SHIELDのイメージカット
SHIELDの実機
シャープなデザインが印象的
筐体は非常に薄型で、コンソールゲーム機としてはかなり小さい

 ボイスコントロールできるのも特徴で、音楽や動画の検索を音声で行なえる。別売りのリモコンも用意され、本体とBluetoothでペアリングすることで、手元のリモコンでボイスコントロールできる。またこのリモコンにはステレオミニジャックも用意されており、SHIELDで再生中の音楽などをヘッドフォンで楽しめる。

 この辺りは、高機能なAndroid TVデバイスと言ったところなのだが、NVIDIAがもっとも注力するのはやはりゲームである。

世界初の「4K対応Android TV」を謳う
映画もストアで購入できる
映画視聴中に出てくる俳優の名前も検索できる
そしてその俳優が出ているほかの映画も検索可能
音声で音楽を検索
写真も大画面で再生できる
4Kの動画も60Hzでデコード可能だ
別売りのリモコン。ボイスコントロールボタンを備えている

 OSにAndroid TVを採用したことで、Google Playストアで配信されている数千以上のAndroidゲームがプレイできるほか、SHIELDの発売とともに50以上のタイトルが最適化される。中には「DOOM 3:BFG Edition」や「Crysis 3」、「バイオハザード5」と言った、主にPCやハイエンドゲーム機でしかプレイができなかったタイトルもローンチされる。

過去、ゲームはニッチな市場であったのだが、今や社長ですらゲーマーである
Tegra X1の性能
Xbox 360と比較しても高性能であるとアピール
SHIELDの内部イメージ
Playストアで配信される多くのゲームがプレイできる
もうすぐ登場するタイトルも
ファーストパーソンシューティング「Borderlands:ThePre-Sequel!」。PC版からの移植で、30fpsを維持できるという
ファーストパーソン・パズルゲーム「THE TALOS PRINCIPLE」。美しいグラフィックスを実現できる
言わずと知れたid Softwareの「DOOM 3:BFG Edition」も移植され、60fpsの速度を実現
ヘビー級タイトル「Crysis 3」も動作できる。デモでは対戦が行なわれた
このほか50以上のタイトルが最適化される

 加えて、これまで開発してきた「NVIDIA GRID」技術を応用した独自のゲームストリーミングサービスを展開する。これはゲームをクラウドのサーバーで実行し、ユーザーのコントロールおよび画像/音声をストリーミングで転送する。これによってGeForce GTX以上のGPUが要求されるAAAタイトルも、1080p/60fpsという速度でSHIELD上で実行できるとしている。

 GRIDサービスはサブスクリプションモデルを採用し、いくつかのタイトルを無料でプレイできるほか、ゲームの購入と同様に、好きなタイトルを選んで有料でプレイできる。Playストアからダウンロードする場合、当然ダウンロードに時間が掛かるのだが、GRIDサービスを利用すれば即時にゲームがプレイできるのも特徴となっている。

GRIDによるゲームストリーミングサービスの開始。1080p/60fpsを実現する
レイテンシは極めて短く抑えられており、「瞬きする半分の時間以下」だという
これらは同社の複数の技術とハードウェアによって実現した
SHIELDを購入しサブスクリプションすれば、いくつかのゲームがフリーでプレイできる
AAAタイトルも購入してプレイ可能
レーシングゲーム「GRID 2」をGRID経由でストリーミングプレイ
「バイオハザードRevelations 2」をGRID経由でプレイ
「メタルギアソリッド5」をGRID経由でプレイ
「The Witcher Wild Hunt」をGRID経由でプレイ

 主な仕様は、SoCにTegra X1、メモリ3GB、ストレージ16GBなどを搭載。インターフェイスは、USB 3.0×2、Micro USB 2.0、microSDカードスロット、IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1+LE、Gigabit Ethernet、HDMI 2.0などを備える。

 デザインにこだわったシャープなデザインの筐体も特徴。本体サイズは25×130×210mm(幅×奥行き×高さ)、重量は654g。Wi-Fi Direct接続のゲームコントローラが付属する。

ゲームコンソールの遷移。1980年代、ファミコンはファブを持たない任天堂が作り、1990年代、光ディスクの技術の導入でゲームが大容量化。2000年代のグラフィックスは大幅に向上した
そして今日、クラウドコンピューティングを利用することで、ゲーム機は膨大な演算性能を得ることに成功した
SHILEDによって実現されるNVIDIAの3つのビジョン
先日、ゲームエンジン「Unreal Engine 4」が無償化を発表したのだが、SHIELDとGRIDを駆使すれば、今日のゲームコンソール(Xbox OneやPlayStation 4)で実現できないようなグラフィックスを実現できる

(劉 尭)