独立行政法人情報通信研究機構(NICT) けいはんな研究所ユニバーサルメディア研究センターは7月1日、テーブル上に立体映像を表示させる裸眼立体ディスプレイ「fVisiOn」を開発したと発表した。
平らなテーブルの上に、高さのある立体映像を浮かび上がらせ、複数の人が同時に観察できる。新しく開発した特殊な光学素子と、多数の小型プロジェクタをテーブルの下にに設置することで実現した。
従来のディスプレイでは、映像を表示するための縦置きケース上の装置がテーブル上に必要で、一般的なテーブルを使った作業を阻害していたが、今回のシステムではテーブルの下に設置することでその問題を回避した。
さまざまな方向から覗いたところ |
今回の原理検証システムは、立体映像を再生するためのスクリーンに当たる円錐型の光学素子を試作し、96台の小型プロジェクタを用いることで、理想の3分の1にあたる120度からの観察が可能。これらにより、テーブル上に置かれた物体が放つ光を再現する。試作機では、高さ5cm程の立体映像が、テーブル面から飛び出して見えるという。
今後は、360度からの観察に向けたシステムの拡張や、立体映像の画質向上(像の鮮明さとモアレ除去)、より大きな立体映像の再生などに取り組む予定。
詳細については、7月8日~9日に東京大学で行なわれる「3次元画像コンファレンス2010」、および7月25日~29日に米国ロサンゼルスで行なわれる「SIGGRAPH 2010」の学会にで発表される。一般公開は2010年秋に行なわれるけいはんな研究フェア(京都/けいはんな研究所)で予定している。
(2010年 7月 1日)
[Reported by 劉 尭]