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凸版と東北大、デジカメ画像から3Dスキャナ並みの高精度モデルを生成する技術

6月18日 発表

 凸版印刷株式会社と東北大学大学院情報科学研究科の青木孝文研究室は、通常のデジタルカメラで撮影した画像から、全自動で3次元形状モデルを生成する画像処理技術を開発したことを発表した。

 同技術は、東北大学が開発した1画素以下の精度で対応点推定が可能な位相限定相関法と、凸版印刷と東北大学が共同開発した複数の画像から立体形状モデルを生成する多視点ステレオ技術を組み合わせたもの。いわゆる“ステレオ画像”のように2枚の画像を用いる技術に比べ、多くの画像間で、物体の形状に合わせて対応点を推定する技術により精度を高めた。

 これを用い、宮城県の瑞巌寺本堂内の欄間木彫の形状モデル生成と精度を検証したところ、ハンディタイプの3Dスキャナと同程度の高い精度での立体形状モデル生成を実現したという。

 この検証で使用したのは1,200万画素のデジタルカメラで、欄間木彫の鳳凰部分(1,400×815×80mm)を撮影。35mm判換算で75mm相当となる画角を、1.5~2mの距離から撮影。80枚の画像を約30分かけて撮影し、6時間かけて処理を行なった。

 文化財などをデジタル化するのに用いられてきたレーザーレンジスキャナなどの専用機器は大型で重量があるため、狭い空間で安全に計測することが困難なことが、民生用のデジタルカメラで撮影した画像のみを用いる同技術開発の背景にあるという。

瑞巌寺本堂内の欄間木彫の形状モデル生成結果。右のように色情報を取得することもできる

(多和田 新也)