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つくば市の小学校で「クラスメイトPC」を利用した公開授業
~インテルの宗像副社長などが視察
2011年11月24日 18:00
茨城県つくば市の市立竹園東小学校において、2011年11月24日、「クラスメイトPC」などのIT機器を活用した授業の様子が公開された。
つくば市では、11月24、25日の2日間、市立の小中学校を会場とした「小中一貫教育研究つくば市大会」を開催しており、全国から教育関係者が、市内の小中学校に来校。市立竹園東小学校も同大会の会場となっており、これにあわせて公開したものだ。
また、インテルは、つくば市、筑波大学と共同で、今年7月に、「つくば2015:つくばが変わる、日本を変えるプロジェクト」を実施することを発表。ICTの活用によって、2015年に向けたつくば市における人材養成、起業家支援、コミュニティの活性化、市民の健康づくりなどの改革に着手している。
同プロジェクトでは、教育分野において、小中学生を対象に、教育日本一を目指した、つくば独自の次世代型教育カリキュラムの創設にも取り組んでおり、同カリキュラムは、2012年4月から順次導入することを明らかにしている。今回の公開授業は、この取り組みの具現化に向けての進捗状況を示すという意味もある。
なお、市立竹園東小学校は、つくば市・筑波大学・インテル地域連携事業モデル指定校となっている。
1年3組の「算数いろいろなかたち」では、スタディポケットと呼ばれる教育分野向けのPDAを使って、児童たちが撮影した校内の写真を利用して、身の回りのものからさまざまな形を見つけ出すというもの。グループごとに設置されたクラスメイトPCに、撮影した写真を表示し、これを見せ合いながら、児童たちが相手にわかりやすく説明するといったことも行なわれた。
また、4年2組の総合学習「われら竹園環境探偵団」は、つくば次世代環境教育プログラムに基づいた授業となっており、つくば竹園学園地区のゴミ、水、節電、エネルギーなどについて学習を行なうという内容。TV会議システムを利用し、同地区にある竹園西小学校とを結び、環境について意見を交換した。ここで学習した内容は、クラスメイトPCを利用して書き込み、市内の学校と、情報を通じて交流できるような形にするという。
6年2組の社会科「新しい日本、平和な日本へ」の公開授業では、戦後の改革について、多様な資料を利用して調べ、意見交換をしながら、理解を深めるという授業内容。資料を調べる上でクラスメイトPCを活用したほか、発表の際にも同端末を使って、大画面ディスプレイに表示。相手にわかりやすく説明する内容とした。このプレゼンテーション資料は市内の小中学校の児童、生徒が共有できるようになっているという。
視察をしたインテルの宗像義恵取締役副社長は、「資料を表示しながら、意見を述べ、お互いの理解を深めるという内容は、世界中のインテルの社内で行なっている手法と同じ。世界に通用する内容だ。私の予想を超えるような形で21世紀型スキル学習を実現する教育環境がここにあった」と評価した。
また、「コンピュータを活用するということが前面に出るのではなく、教育プログラムをしっかりとした形で構築し、それを効果的に行なうという点でコンピュータを活用している点。また、聴覚障害の児童も授業に参加できるようにICTを活用していること、多くの見学者がいる中でも、児童が自分の意見を堂々と語り、授業に臨む意識が高いことに関心した。つくば市での成果を日本全国に展開するとともに、世界に対してもひとつのリファレンスとして発信していきたい」とコメント。
さらに、「米IntelのCEOであるポール・オッテリーニは、将来の問題解決に向けた策は、今のクラスルームの中にあるとし、将来を担う子供たちを養うことの重要性に言及している。こうした観点からも、つくば市での取り組みには感動している。今後も協力関係を続けていきたい」と語った。
つくば市教育長の柿沼宜夫氏は、「教育効果を保証し、子供たちの可能性を高める教育の実現とともに、教師は常にチャレンジをし、その姿を児童、生徒がみて、自らもチャレンジするという環境づくりを目指してきた。これを未来の教室の姿として、今から30年前に、筑波大学の故・中山和彦先生が提唱し、この竹園東小学校において、日本初のCAIを行なった。まさにここが発祥の地である。そして今、我々の夢であった未来の教室が現実のものになっている。これが、つくばスタイル型教育であり、小中一貫教育に取り組む上での要になる。PCを活用することで、より有効な教育効果が見込めるが、その点では企業の力を借りることも大事である。インテルの協力を得て、教室での効果的な学習環境の構築だけでなく、教員を対象とした育成プログラムも積極的に活用していきたい」などとした。