大塚商会、本社ビルに構築された節電システムを公開
~電力の「見せる化」でムダを把握

デモブースに設置されたエネルギーモニター

9月14日 公開



 大塚商会は14日、自社の本社ビルに構築された節電システムの説明会を開催した。

 これは「見せる化」をキーワードに、自社内の消費電力を細かい単位で把握して、イントラネットなどに公開するシステムだ。このシステムを活用することで、7月~9月の期間に、ピーク時で30~40%以上、月単位の電力消費量で14.8~15.1%の節電を成功させた。

 大塚商会本社ビルは2003年に竣工したビルで、BEMS(ビル管理システム)は当初から導入されていた。しかし、そのデータは、1時間単位で集計され、紙にプリントアウトされてファイリングされるだけで活用されていなかった。

 今回、東大グリーンICTプロジェクトの協力を得て、社内の消費電力を分かりやすい形で「見せる」システムを構築した。このシステムは、従来のBEMSを生かしながら、そこから漏れていた機器類についてはパナソニック電工製のエネルギーモニターなどでデータ収集を行ない、統合した形でイントラネットに掲載されている。さらに、一部のデータについては、14日から大塚商会のホームページでも公開された。投資費用は約3,000万円。

 システムの特徴として、東大グリーンICTプロジェクトが開発した、設備情報アクセスプロトコル「FIAP」(Facility Information Access Protocol)を採用しており、デバイスやデータについて共通の手順で通信可能となっている。

 会場では、デモンストレーション用のブースに設置された機器別に消費電力をリアルタイム表示した。さらに、iPadからクラウド経由でコントローラにアクセスすることで、リモートで機器の電源をON/OFFするデモも行なわれた。人が不在の会議室の消し忘れや、使用されていないが電源が入りっぱなしの機器類などについても集中的に対応できるだろう。

 大塚商会では、直管形LEDランプをはじめとするLED照明器具を多数販売しているが、今後は、ビル全体を含め、クライアントの環境に応じた節電コンサルティング業務を行なう。そのためのノウハウ取得も含めてのシステム構築であり、本社の次は大塚商会横浜ビルへの導入を予定している。

発表を行なった 大塚商会 執行役員 プロダクトプロモーション部長 後藤和彦氏東大グリーンICTプロジェクトを率いる東京大学大学院情報理工学系研究科教授 江崎浩氏はネットワーク経由で参加「見せる化」のための管理部門からの要望。手がかかっては困るし、何かを行なったらリアルタイムで結果が知りたい、社員に興味を持ってもらえる形にしたい
システム構成図。BEMSは紙ではなくCSVファイルを出力する。データを出す頻度も上がった。漏れていた機器はエネルギーモニターでデータを収集。FIAPストレージにまとめてデータを集め、社内と社外に情報を出す社員にわかりやすく見てもらうため、表示がグラフが中心表示項目の例1
表示項目の例2。かなり細かい単位から、ビル全体の空調までカバーされているビル全体の消費電力グラフ。お盆休みの時期は少し下がっている。気温の影響も大きいデータの確認はスマートフォンやタブレットでできる
iPad 2でデモブースの消費電力を表示しているiPad 2上で電源ボタンにタッチすると、実際の機器の電源がオフになる。オフは数秒で反応し、ふたたびオンにするときは15秒ほどかかっていた大塚商会のWebサイトトップページ。右側に現在の消費電力と削減率が表示されている
デモブース全景直管形LEDランプが設置されている。消費電力は28W比較用に従来の蛍光灯も使われている。消費電力は40W
ハロゲンタイプのLED。消費電力は22W大型ディスプレイは370Wも消費する。表示されているのはリアルタイムの消費電力コンセントの上にある黒い箱が電力メーター
本社ビルで行なわれた節電策。消灯と、暖房便座/ジェットタオルの電源オフが中心電力削減の実績。ピーク時で30~40%以上削減できている

(2011年 9月 15日)

[Reported by 伊達 浩二]