株式会社ジャストシステムは、iPhone、iPod touch用日本語入力アプリ「ATOK Pad for iPhone」を9月22日に発売する。価格は1,200円だが、発売記念として9月22日から、26日までの5日間は900円で販売する。
ATOK Padは、これまでのATOKのような日本語入力システムではなく、メモアプリに組み込んで提供される。
株式会社ジャストシステム コンシューマ事業部企画部長 佐藤洋之 氏 |
「2009年12月の開発意向表明時点では、インプットメソッドとしての提供を計画していた。しかしAppleの情報開示などの問題で、インプッドメソッド提供は難しいということで、アプリケーションとしての提供とすることにした。アプリ版ATOKならではの可能性を追求し、インプッドメソッドとして提供した際には実現できないUIを盛り込み、ATOKの名を冠するに相応しい機能、操作性を持ったタッチパネルデバイス向け製品となった。今後、iPadに対応した上位版、ATOK PadのWindows版、Android版などの開発も現在進めている」(株式会社ジャストシステム コンシューマ事業部企画部長・佐藤洋之氏)。
なお、iPhone向けインプッドメソッドとしての提供については、「現状ではApple社の情報開示方針から実現が難しいが、我々は諦めているわけではない。ユーザーからのニーズが高いものに対しては優先的に受け入れる方針であるということで、今後も引き続き、アプローチしていく」(佐藤企画部長)という方針だ。
新製品「ATOK Pad」の目指す方向性 | ATOK Padの特徴 |
利用フロー | 機能概要 | 価格は1,200円だが、発売日から5日間のみ特別価格で提供 |
ATOK Pad for iPhoneはメモアプリで、文章作成、編集、メールなど外部アプリとの連携からなる。変換機能としては、携帯電話に搭載しているATOKの最新バージョン版を搭載し、推測変換、後変換、日付変換、英数カナ変換に対応。学習機能、辞書機能を持ち、ユーザーによる単語登録、推測変換候補削除、連絡先データ取り込みなどを実現している。
入力は、オンスクリーンのテンキーで行ない、表示された変換候補を上にフリックすると変換候補を全画面表示することもできる。フリックする方向によって、上下左右にカーソルを移動し、フリックする方向によってカーソルの前後、文頭まで文単位で削除することができる。
また、新しい入力方法として、ATOK独自の「リボルバータッチ」、「ダブルトリガー」も搭載。「リボルバータッチは、銃を連想させるような丸いUIを採用し、キーを下にずらすことで濁音、撥音に切り替えて入力できる。入力の際のボタン音も銃を撃つ音を採用している。ダブルトリガーは、両手での操作をスムーズに行なえるように作られた日本語専用キーボードで、左側のボタンで文字の分類を選択し、右側の文字キーで入力が行なえる」(株式会社ジャストシステム コンシューマ事業部 開発部・齋藤大輔氏)。
変換できない単語をユーザー辞書に登録することや、Windows版、Mac版のユーザー辞書を、iTunesを通じてインポートすることも可能だ。
画面デザインは4種類、効果音はピアノ、キータッチ、銃声から選択できる。
文章入力語は、メモとして保存するだけでなく、メール、Twitterなどへ転送することも可能。連動するアプリケーション、Webサービスは今後拡大する計画だ。
「外部アプリから、ATOK Padを呼び出すことができる技術情報の公開や、他のアプリケーションへ組み込んでいただけるようOEM提供も実施する」(齋藤氏)ことも予定している。
株式会社ジャストシステム コンシューマ事業部 開発部 齋藤大輔 氏 | テンキーでの入力と候補表示画面 | 絵文字、顔もじ、記号入力パネル |
新しい入力方式「リボルバータッチ」 | 新しい入力方式「ダブルトリガー」 | Windows版、Mac版で蓄積したユーザー辞書のインポートや、定型文入力にも対応 |
デザインは4種類で、3種類の効果音を搭載 | 外部アプリやWebサーボスへの文章転送も可能に | ITmediaアプリとの連携例 |
今後は、現在は未対応のiPadへの対応など機能のアップデートを継続的に行なう。また、別製品として高度な編集に対応したiPad対応の上位版提供も予定している。提供時期は2010年後半から2011年前半を予定している。
さらに、「ATOKの価値を向上する、マルチプラットフォームの実現」(佐藤企画部長)との観点から、「ATOK Pad for Windows」、「ATOK for Android」の提供も予定している。
ATOK Pad for Windowsは、一太郎よりも軽い環境でATOKを利用できる、ATOKエディター的製品。デモでは、PowerPointを利用中にATOK Pad for Windowsを立ち上げて操作する様子が紹介された。ATOK 2010ユーザー向けにベータ3を公開中で、正式版の提供は2011年を予定している。
ATOK for Androidは、Androidを搭載したスマートフォンへの対応を想定。「iPhoneよりも提供方法に融通が利くので、ユーザーにとって利便性の高い方法での提供を想定している」(佐藤企画部長)という。提供は2011年を予定している。
今後の計画 | 新たなATOKとして「ATOK Pad for Windows」も予定 |
ATOK Padという製品の目指す方向性 | PowerPointの画面からATOK Pad for Windowsを立ち上げた際の操作画面 | ATOK Padの開発ロードマップ |
ATOKとATOK Padそれぞれの世界観と連携による可能性 | 定額版のATOKの今後の計画 | ATOK for Androidの開発状況 |
ATOK for Androidへの搭載を計画しているUI「フラワータッチ」 | ATOK Padの発売を記念し、パッケージ版のATOKの特別パッケージの提供を予定 |
株式会社ジャストシステム 代表取締役社長 福良伴昭 氏 |
福良伴昭社長は、「昨年(2009年)12月、Windows版ATOKを発表した際、iPhone版ATOKの開発意向表明を行なった。その後、本日の発表まで期間が空いてしまったために、『どうなっているのか?』という問い合わせを多数頂戴した。それだけお待たせすることになったが、本日の発表で、快適に日本語が扱える、気持ちよく日本語を書ける環境を提供することが出来たのは、我々にとっても大変な喜び。実際に使って頂けば、必ず皆さんも喜んで頂けるものとなったのではないか。ATOKはさらに活用シーンを拡大させていきたい」と、新たな用途拡大に意欲的な方針を示した。
(2010年 9月 22日)
[Reported by 三浦 優子]