マウスコンピューター、飯山工場でパソコン組み立て教室を開催
飯山市の小学校6年生10組20人の親子を無償招待

「親子パソコン組み立て教室」

7月30日 開催



●初の試みで、小学生を無償招待
マウスコンピューターの小松永門社長

 マウスコンピューターは、7月30日、長野県飯山市の同社飯山工場において、「親子パソコン組み立て教室」を開催した。

 飯山市内にある小学校8校を対象に募集を行ない、55組の親子が応募。抽選で選ばれた10組20人の親子がパソコンの組み立てに挑戦した。

 マウスコンピューターの小松永門社長は、「今回は第1回目ということもあり、対象を飯山市内の小学校6年生に限定し、無償で招待する形とした。飯山電機として長年地域に密着して企業として展開してきた経緯もあり、飯山市への地域貢献という側面とともに、マウスコンピューターとして地域に対する認知度を高める狙いもある。また、これからインターネットやメールを使うであろう小学生に、携帯電話よりもPCのファンになってもらいたいという思いもある」とした。

 募集に関しては飯山市の協力を得て告知を行なったが、飯山市内の小学校に通う6年生は約200人であり、実に4人に1人がこのイベントに応募したことになった。地域貢献という観点でも効果があったといえよう。

 小松社長は、「昨年秋頃から企画を考えていたが、正式に決定したのは今年4月。私自身はあまり口を出さずに、現場に任せた。組み立てる製品の選定、運営、告知方法、パンフレットなどはすべて社員が考えた」という。

マウスコンピューター飯山工場 スペシャリストの橋立峰彦氏

 この日、組み立て教室の校長を務めたマウスコンピューター飯山工場スペシャリストの橋立峰彦氏は、「1カ月ほど前から組立教室用の資料を作り始めた。子供たちにわかってもらえる言葉で話をできるように心がけた」という。

 組み立てのために用意したマニュアルには小学校6年生が学習していない漢字にはルビを振るなどの工夫を凝らしたという。

 PCは一度組み立てたのちに動作検証を行なっており、「組み立ての際にも、サポートするスタッフが、チェックすべきポイントをしっかりと確認することで、全員のPCがちゃんと動くことを目指した」という。

 実際に飯山工場で組み立てを行なっている社員が、1組に1人ずつ付いて組み立てを支援した。

 組み立てたPCは、15.4型液晶ディスプレイを搭載したノートPC。

 CPUには、Core 2 Duo P8400(2.26GHz)を搭載。4GBメモリ、500GB HDD、DVDスーパーマルチドライブを搭載。

 一般に購入すると10万円前後の構成。小松社長自身が「ストレスなくゲームが遊べるなど、私が思っていたよりもいいスペックの製品。私が欲しいぐらい」というものになった。

 飯山工場の主力になっているデスクトップPCではなく、ノートPCを選択したのは、「組み立てが比較的容易なため。最初ということもあり、教える側も簡単なものにした」という。

 飯山工場の生産ラインでは10分以内で組み上げる製品だが、これを約40分で組み立てた。

●無事に全員起動。その場で持ち帰り

 午後1時から開かれたパソコン組み立て教室では、最初にマウスコンピューターの小松社長が挨拶。「PCをちゃんと組み立てられるか心配な人もいるだろうが、絶対に大丈夫。安心して組み立ててほしい」という言葉に、参加した小学生たちは安堵した様子。マウスコンピューターが、飯山市に地盤をおいていた飯山電機を傘下におさめた経緯などに触れながらマウスコンピューターの生い立ちについて紹介。「マウスコンピューターが設立したのは1998年。ちょうどみなさんと同じ年齢」という言葉を聞いて、参加した小学生たちは親近感を覚えたようだ。

 小松社長は「PCの面白さを作りながら実感してほしい。そして、自分でモノを作るという楽しさを感じてほしい」と語った。

飯山市経済部商工観光課長の佐藤幸博氏

 また、来賓として訪れた飯山市経済部商工観光課長の佐藤幸博氏は、「今日は最先端の技術を搭載したすばらしいPCを提供していただいた。ぜひ組み立てを楽しんで、そして学んでいってもらいたい」と挨拶した。

 パソコン組立教室は、他のPCメーカーでも開催しているが、その多くが親子で参加できるように土曜日の開催。マウスコンピューターでは、今回の組立教室を金曜日に開催したが、これは「工場のラインが動いているところを見てもらうため」としており、ここにも地域密着を狙ったという今回の主旨が表れている。

 PCを組み立てたあとに、工場の生産ラインが稼働しているところを見学。そのラインのなかで、自分が組み立てたPCが検査ラインで最終検査が行なわれている様子も見ることができた。

 また、組立教室には参加しない社員も全面的に協力。入口に最も近い駐車場は当日はすべて解放し、教室会場となった食堂もこの日は利用できないなどの特別な措置がとられた。

 組み立てが完了し、全員のPCが起動。小松社長は、「とにかく参加者に喜んでもらったことがよかった。また、PCを組み立てるという体験をしてもらったことがよかった。来年も実施したい」と、完成したPCを笑顔で持ち帰る参加者を見送りながらそう語った。

 来年度の計画は具体的ではないが、基本的には有償での教室開催を計画している。「だが、地域貢献という観点から、飯山市の小学生を対象にした招待枠も設けたい」と、今回と同様に一部無償での参加も募集する考えを示した。

 なお、同社飯山工場では、土日の2日間、「訳ありセール」と題してアウトレット製品の販売も行なった。商品にできた傷やへこみ、あるいは外箱が汚れたものなどを特価で販売するもので、最大81%引きといった製品も用意するという。これも地域貢献の1つだとしている。

会場の一角に設けられた3Dパソコンの展示コーナーで、小松社長は自ら説明員の役目を買って出ていた組み立て教室に続き、土日に開催された「訳ありセール」のために用意されたアウトレット製品訳ありセールの告知。飯山市内には折り込みチラシとして配布された

●写真で見る組み立て教室

 マウスコンピューターが初めて開いた組立教室の様子を写真で追ってみよう。

親子パソコン組み立て教室が開かれたマウスコンピューター飯山工場この日に合わせて、玄関に「mouse computer」の社名が記された通用口には歓迎の看板が用意された
駐車場の看板はパレットを組み合わせて作った手作り感満載のもの抽選で選ばれた10組にだけ送付された当選ハガキ組立教室のために社員が手作りしたマニュアル。小学生にわかりやすいように工夫してある
まずは橋立氏が部品を説明しながら組み立てを実演組み立てたPCのスペック組み立て用に用意された部品。ベアボーンキットを利用し、10点の部品と、3種類10本のネジを使って組み立てた
HDDのマウンタメモリは2枚CPU
HDDDVDドライブCPUクーラー
シリコングリス作業に利用した各種部品。静電気対策もばっちりいよいよ組み立てを開始と思ったら、まずは部品をチェックリストで確認。BTOメーカーのマウスコンピューターらしい作業
ベアボーンを取り出していよいよ組み立て作業の準備が整う
そして午後2時10分からいよいよ組み立て作業を開始。ベアボーンの裏面のカバーを取り外すベアボーンの裏面カバーを取り外した状態いきなりCPUを取り付けるというメインイベントを迎える。CPUソケットのマークにあわせてはめ込む
CPUソケットのロックネジを締めるグリスが入った注射器を取り出し、CPUにグリスを塗る
容量は米粒と同じぐらいの量CPUファンを差し込むネジは数字が書いてある順番通りに締める。このネジをしっかり締めないと冷却ができずにトラブルの原因になる
ネジを置く箱に使ったのはマドレーヌの型CPUファンをコネクターに接続するメモリスロットにメモリを差し込む
2MBのメモリを2枚装着するマウンタをHDDに取り付ける
4つのネジで固定するHDDをベアボーンに装着する
HDDまで装着された状態DVDドライブにマウンタを取り付け、ネジで締める
ベアボーンにDVDドライブを取り付けて、ネジで固定カバーを閉じて、いよいよ完成へ
最後にバッテリを取り付ける。2時50分に全員のPCが完成。仕様書を貼り付けるのはやはりマウスコンピューターらしいところ完成したPCは、担当したスタッフが1台ずつ持って検査ラインに投入した
その後、全員で工場の生産ラインの見学自分たちが作ったPCが検査ラインで検査されているのを発見。約30分間の検査を行なう
検査が完了したPCが組み立て教室に戻ってきたいよいよ電源を入れる時が。全員で一斉に電源ボタンを押す全員のPCが無事起動した。検査工程でも不良は1つも見つからなかったという
最後に梱包を行なう
これで梱包まで完了した完成したノートPCはそのまま持ち帰ることができた

(2010年 8月 2日)

[Reported by 大河原 克行]