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東北大、物理的な“真性乱数発生器”を実現する単一光子の発生に成功

ダイヤモンド中の不純物欠陥を用いた無偏光単一光子発生の概念図

 東北大学は4月27日、「真にランダムな偏光をもつ単一光子」の発生および検証に世界で初めて成功したと発表した。

 量子コンピュータや量子暗号など、次世代情報通信技術として期待されている量子情報通信技術において、情報は「量子ビット」を基本単位とする。

 量子ビットは単一光子の偏光を用いて実現されており、従来は「純粋状態」と呼ばれる特定の偏光を持つ状態のみが主に利用されてきた。一方、個々の光子の偏光が完全にランダムで、特定の偏光を持たない、静的にも動的にも「無偏光」な状態にある単一光子は、物理的な真性乱数の発生や量子暗号通信への応用などに有用であると期待されている。

 これまでは静的かつ動的な無偏光性を示す単一光子の発生は確認されていなかったが、東北大学電気通信研究所 枝松圭一教授、阿部尚文研究員らの研究グループが、静的にも動的にも真にランダムな偏光状態にある単一光子の発生の実現に成功した。

 同研究では、結晶面を工夫したダイヤモンド結晶中の不純物欠陥(NV中心)から発生する単一光子が、静的にも動的にもほぼ完全なランダム性をもつ「無偏光状態」にあることを、世界で初めて検証に成功したとしている。

 東北大学では、今回の成果は、光子を用いた真性乱数発生器の実現や量子暗号の技術開発、量子力学の基礎問題の検証などに重要な役割を果たすことが期待されるとしている。