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国立情報学研究所、高性能/大規模な“水没コンピュータ”実験を実施

 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)は27日、高性能CPUを載せたマザーボードをクラスタとして相互接続した大規模な「水没コンピュータ」の実験を行なうと発表した。

 NIIはこれまで、汎用マザーボードをパリレン樹脂で真空蒸着し、膜圧120μmのパリレン樹脂コーティング施すことで、マザーボードを水道水(淡水)の中に水没させたまま動作させる実験や、海中にマザーボードを沈め、40日間の連続動作を成功させた実験などを行なってきた。

 しかしいずれの実験も、演算能力が高くないCPUを搭載したマザーボードでの個別実験/検証であり、現代において冷却が課題となっているスパコンやデータセンターを想定した実験モデルではなかった。

 今回の新しい実験では、高性能CPUを搭載したマザーボードを、複数相互接続したPCクラストを初めて構築し、屋内に設置した水槽の淡水の中で運用する。パリレン樹脂コーティング膜厚の最適化、およびマザーボードの改造などにより耐久性を向上させ、2年間を目標とした本格的な長期実験を実施し、効果を定量的に評価/提示するという。

 また、マザーボードで故障が起こりやすい箇所を特定するために、故障検知機能を持った模擬マザーボードも導入する。

 本実験により、熱を逃がすが電気を通さず、かつ高い耐久性を保つコーティングの方法や、マザーボードの適切な構成および改造など、水没コンピュータの実用化に向けて必要な所見を示すとしている。