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燃えにくい4.6Vリチウムイオン電池を東大などが開発

~スパコン「京」によるシミュレーション活用の成果

5V級リチウムイオン電池の作動イメージ図

 東京大学と物質・材料研究機構(NIMS)を中心とする研究グループは29日、リチウムイオン電池の高電圧度作動を可能にする新たな電解液を開発したと発表した。

 現在、最も優れた二次電池はリチウムイオン電池だが、さらなる高密度エネルギー貯蔵(小型/軽量化)のため、現在の3.7Vから5V級への高電圧化の要請が高まっている。しかし、既存の有機電解液を用いると、高電圧のため副反応が継続的に発生してしまう。また、この有機電解液は可燃性があるため、高電圧では延焼する可能性もある。

 今回研究グループは、新しい難燃性電解液を開発。これは2014年に発表された“濃い電解液”の概念に基づき新設計されたもの。リチウムイオンの濃度を極限まで高めることで、リチウムイオン、アニオン(マイナスイオン)、有機溶媒分子が相互に結びついたネットワーク構造を形成していることが、理研のスパコン「京」を用いたシミュレーションで明らかになっており、この特殊な構造により、有機溶媒に起因する燃焼性が格段に低下。また、高電圧作動時に発生する副反応を抑制でき、既存電解液では不可能だった平均電圧4.6Vでの安定作動に成功した。

 今回の成果により、長距離走行が可能な電気自動車の開発などに大きく貢献することが期待されるとしている。