やじうまミニレビュー

肉抜きで50gという軽量性を実現したゲーミングマウス「RAT1」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
RAT1

 マッドキャッツ株式会社が19日に発売した「RAT1 マウス ブラック」(以下RAT1)は、肉抜きをしたフレーム構造の採用により、重量50gという軽量性を実現したゲーミングマウスだ。

 一般的なゲーミングマウスは、多機能を実現するために重くなる傾向がある。マクロ機能およびオンボードメモリをハードウェアで実現するためには、それに応じたハードウェアを実装しなければならないからだ。逆に高機能モデルでは、オモリを追加してさらに重くできるようにする機構を備えたものも少なくない。マウスパッドとの摩擦を増やし、適度な滑りを実現させるためだ。また、少ない力では動きにくくなるので、不用意な動きを回避できる。

 一方で、ゲーミングマウスはむしろ軽い方が良いという意見もある。特にマウスを大きく速く振った場合、本体が軽ければ軽いほど慣性が少ないので、狙った位置で止まりやすい、というものだ。また、低いDPIで操作している時は、本体を持ち上げて置き直す操作が発生するため、この場合も軽い方が有利だ。

 結局のところ、重い方が良いのかそれとも軽い方が良いのかは、ユーザーの好みによると言ったところ。これはセンサーの直線補正機能にも似ていると言って良い。本来ユーザーが意図した移動したい方向へのカーソル移動をアシストするのが直線補正機能であるが、アシストするがゆえに手の繊細な動きが無視され、1ドットずれただけでも命取りになりかねないと言うゲーマーもいる。つまり好みとはそういうことだ。

 RAT1は、軽いマウスが好みというユーザーにピッタリの製品だ。50gという軽量さを実現するために、筐体を大胆に肉抜きし、フレーム構造を採用することで実現した。これまで軽量性を謳ったゲーミングマウスはさほど多くなく、軽くても70〜80g台だろう(ZOWIE GEARの「ZA13」やRazerの「Abyssus]などがある)。RAT1は実にそれらより20〜30gも軽いのである。

 ボタンは5つ。当初、製品写真を見て「サイドボタンがないようだが?」と思ったのだが、実はサイドボタンの代わりににホイール下部にレバーを備えており、デフォルトでは手前に引っ張ると「戻る」、奥に倒すと「進む」が割り当てられている。れっきとした5ボタンマウスだった。

 別途同社サイトからダウンロードできるユーティリティでは、左クリックを除き、ホイール上下回転を含めた合計6カ所に自由に機能を割り当てることができる。ただ本製品はハードウェアマクロを実装していないので、マクロ機能は完全にソフトウェアによって実現されているものである。

 さて実際の使用感だ。まず最初に意外にも持ちやすいという印象を受けた。“意外にも”というのはもちろんその奇抜なスタイルからくる予想に反して、という意味だ。マッドキャッツの製品全般的に言えることなのだが、外観が奇抜であるゆえに“握りにくそう”なのだが、実際握ってみると、「エルゴノミクスに関してよく研究されているなぁ」と感心させられる。エッジが角ばっていて手に収まりそうにないのだが、実際手に触れる部分に関してはフィットするよう作られているからだ。

 ちなみにボタン左右にはウィングのようなデザインがあしらわれているのだが、マウスを持ち上げる時に指の取っ掛かりとなり、この辺りもデザインとエルゴノミクスが両立されている。黒に黄緑のアクセントもなかなかスポーティな印象でクールだ。個人的には支持したい色の組み合わせである。

 続いて、本題となる「軽さがどの程度操作性向上に貢献するのか」だ。筆者は普段ロジクールの「G502」を使用しているのだが、RAT1に乗り換えてみたところ、“マウスを操作している”という印象が軽減された。G502だと「う、今マウスが重くてヤツの動きに照準が追いつかなかった!」とたま〜に感じられたシーンが、RAT1だと「待て、俺の手の動きがヤツに追いついていない! まだまだ修行が足りんな」と思うようになった。特に大きなマウスの動きを必要とする接近戦では顕著だった。

 ゲームプレイ中はプレイに熱中しているので、マウスの操作性云々について考えている暇はなく(考えていたら負けるに決まっている)、この感想はあくまでも後付けなのだが、RAT1ならゲームで負けたことをほぼ自分のスキルのせいにしても良いかなと思った。さすがにマウスを持っていることを意識させないレベルの感覚までには至らないのだが、素手に近い操作感は得られる印象だ。

 ただ軽さゆえに、木の机の上などでそのまま使うと、マウスがよく滑るのに、机に触れる手が滑りにくく、そのギャップで引っ掛かりを覚えることがある。ある程度マウスとの摩擦を増やし、手との摩擦を軽減できる布製のマウスパッドの併用をおすすめする。

 センサーはPixArtの「PMW3200」で、解像度は250〜3,500dpiの間で250dpi間隔で調節可能。最大速度は80IPS、最大化速度は20G。ポーリングレートは最大1,000Hzで、一般的なゲーミング利用では十分な性能だ。

 やや残念なのは、ボタンがやや重く跳ね返りが弱い点。少なくともオムロンのマイクロスイッチを採用していないと思われる。ただ実際に連射を測定したところほかのマウスと大差なかった(最大12連射/sec)ので、あくまでも感覚的な問題かも知れない。ボタンのついでにセンサーや構造もひと目見ようと本機を分解しようと試みたのだが、どうやら底面がバスタブ構造で、ネジがあると見られる上部は、爪で嵌めこまれた左右クリックボタンで覆われ、このクリックボタンの爪を折らずして取れそうになかったので、今回は断念した。

 ちなみに本製品のパームレスト部は、3Dプリンタで自由にフォルムを制作できることもウリの1つとされている。本製品のサイトにも3種類のデータが用意されており、ユーザーが自ら好みのタイプを3Dプリントして装着可能だ。「ゲーマーが果たして3Dプリンタに興味があるのか?」、「3Dプリントするとせっかくの安価な価格設定が台なしになりそう……」という疑問を持たなくもないが、「自分が欲しいマウスのパームレスト、なかったんだよなぁ」というユーザーは、ぜひこのモデルをベースに自作に挑戦して頂きたい。

本体パッケージ。透明なブリスターパッケージとなっている
パッケージ背面の説明や保証書、クイックスタートガイドなど
RAT1本体
黒をベースに黄緑をアクセントとしたスポーティなデザイン
ケーブルも黄緑で皮膜はそのままだ
左側面。5ボタンマウスだが、こちらにボタンはない
本体前面。羽のような左右クリックボタンのデザインも特徴的
本体後部。パームレストが装着されている
本体底面。センサーは光学式
本体を上部から見たところ。大胆に肉抜きされていることが分かる
パームレストを外したところ。パームレストは前後の2段階で調節可能だ
パームレストの底面。取り付けるための支柱が見える
モジュール部。ホイールの下にレバーが見えるが、こちらが標準で進む/戻るとして動作する
3つの部品を全て分離させたところ。もちろん、センサーモジュール単体でも33gの軽量マウスとして使える
フレーム部分の単体
フレームにもソールが装着されていることが分かる
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(劉 尭)