Windows 10カウントダウン

Windows 10で拡張されるストア、ミュージック、ビデオアプリ

 Build 10049以降でのTechnical Previewには、「1つ屋根の下」路線のための機能拡張が公開された。それがユニバーサルWindowsアプリとして提供される新ストア(ベータ)とMusic Preview、Video Previewだ。逆に言うと変化はそれだけで、ビルドそのものの更新はなく、全ては4月29日からの「Build 2015」をお楽しみにということなのだろう。

ストアがすべてのプラットフォームとコンテンツをカバー

 英語でも「1つ屋根の下」という表現があるんだなと、@Windowsのツィート「All your apps, music, movies, and more will be under one roof with #Windows10.」を見てちょっと意外に感じた。公式ブログの紹介ツイートなのだが、このブログで、Windows 10用に単一のストア体験が提供されるようになったことが表明されている(日本語版も)。

 Windows 10 Technical Previewには、2種類のストアが提供されている。1つはWindows 8.1 と同じストアで、これまで通りのグリーンのタイルだ。もう1つのストアは「ストア(ベータ)」でグレーのタイルになっている。グリーンのストアとグレーのストアは排他ではないので両方を同時に使える。グレーのストアは、言わばWindows 10専用で、Microsoft Officeの各アプリのPreviewなども配布されている。

 今回は、まず、このグレーのストアがアップデートされた。Windows 8.xまでのストアは、基本的にいわゆるアプリのみを配布する場であり、コンテンツを配布する場ではなかった。さらに、Windows Phone、Windows、Xboxで、それぞれ異なるストアが存在していた。

 グレーのストアはユニバーサルWindowsアプリで、基本的にすべてのプラットフォームで同じアプリが使われているはずだ。つまり「Single unified Store」というポリシーで、今後、1つのストアでプラットフォームに依存しない単一のアプリを配布するようになるはずだ。

 そのグレーのストアがアップデートされ、アプリ、ゲームに加え、これまではなかった「映画とテレビ」というコンテンツカテゴリが追加されている。

 さらに直近で「Music Preview」、「Video Preview」という新しいアプリがダウンロード可能になっている。

グレーのストアがアップデートされ、さらにアプリとしてMusic PreviewとVideo Previewが追加された。これは追加されたアプリをスタートメニューにピン留めしたところ
グレーのストアでは映画を購入できるようになった
「映画とテレビ」カテゴリが追加されたストア(ベータ)
新しい映画。すべて日本語タイトルになっている
テレビ番組のシリーズ
ジャンル別でも探し出せる

「One」ではないコンテンツの扱い

 まず「Video Preview」では、デバイスに保存した動画を再生できる。また、そこからストアの「映画とテレビ」カテゴリに遷移して、お気に入りの映画やテレビ番組を購入、レンタルすることができる。日本語コンテンツもあるし、外国語コンテンツは日本語化もされていて、実際に購入、レンタルすることができるようだ。というか、これらのコンテンツは、Windows 8.xの「ビデオアプリ」でのコンテンツと同じもののようだ。

 ここで入手したビデオは、どのデバイスでも再生でき、視聴位置も同期されるという。また、現時点ではストリーム再生のみだが、今後はオフライン再生のためのダウンロード機能や、デバイス管理機能などが拡張され、サーチ機能の拡充によって、好みのビデオを選びやすいようになる予定だ。

ローカルにビデオファイルを置いたところ
再生するとこうなる。最大化なのでタスクバーが表示されたまま
再生コントロールは左から、音量、ポーズ、フルスクリーン、デバイスへのキャスト、ズームイン
マウスオーバーでボタンコントロールの機能名が表示される

 一方「Music Preview」だが、現時点での楽曲コンテンツの扱いについて日本のユーザーはちょっと不安になってしまう状態だ。まず、ストア(ベータ)に購入できる音楽カテゴリがない。また、Music Previewアプリでは、自分の音楽コレクションをXbox Music パスやOneDriveに置いたファイルなども含めて統合的に管理でき、串刺しで検索したり一覧を並び替えたりできるほか、ファイルの場所がクラウド、ローカルのあちこちに散在するプレイリストを作ったりもできるはずなのだが、どうも、現時点では日本のユーザーにはこの部分が使えなくなっているようだ。

 そもそもXbox Musicパスは、日本ではまだ利用できないサービスだからあきらめるにしても、OneDriveのみにあってローカルには同期されていない音楽ファイルの再生くらいはサポートしてほしいものだが、現時点ではそれができない。今後は、ビデオやテレビ番組と同様に、単一のストアで音楽も購入できるようになるそうだが、少なくとも日本では現時点ではどうなるか分からない。

Music Previewでは、ローカル、クラウドを問わず、音楽ファイルをまとめて参照できるはずなのだが、日本ではローカルのみの様子
音楽ファイルの在処を追加するダイアログ。ここでもローカルしか指定できない
楽曲ファイルを置いてみたところ
メニュー項目はアイコンのみと文字コマンドの2種類が用意される。こちらは文字コマンド
再生中の様子。アップルロスレスコーデックでも問題なく再生できた。将来的にはミニプレーヤーモードも用意されるようだ

 ちなみにOneDriveは、Windows 8.1までのようにローカルに同期されていないファイルにプレースフォルダを置く方式ではなく、デバイスに存在しないフォルダやファイルはエクスプローラで表示されなくなってしまっている。ユーティリティを使ってデバイスに同期させるフォルダを個別に指定する方式に変わり、ローカルに存在するファイルだけが見える仕様に変わっているからだ。

 以前のようにプレースフォルダがあれば、そのフォルダを指定して、OneDrive上のファイルを再生できそうなものだが、10以降のOneDriveではそうもいかない。

 英語版のキャプチャを見ると、Music Previw には、Exploreというメニュー項目があるので、おそらくはそれを使ってあちこちに散財する音楽ファイルを探せるようになりそうなのだが、日本語環境ではそのメニュー項目が出てこない。試しにリージョンを米国にしたり、システムロケールを変えてもみたが状況は変わらなかった。

 とりあえずは、対応はリージョンごとに異なるということになりそうだ。最終的にはiTunesのライブラリにある音楽にも対応するということなので、この機能が日本からも使えればうれしいのだが、ちょっと心配だ。

 Windows 10では、音楽ファイルの形式として、アップルロスレスやFLACにも対応し、InstantGo対応機なら、スリープ中にも音楽再生を続けられる。iTunesで楽曲を購入して、Musicアプリで再生というような形になってもいいから、ここは1つ、何らかの方法で機能を使えるようにしてほしいものだ。

 クラウドにのみ存在するファイルとローカルのファイルを混在させた状態で管理していけるというのは、ちょっと画期的でもある。例えば、Windowsにはライブラリという機能があって、複数のフォルダを場所として登録しておくと、それらを串刺しで検索などができる。ただ、一覧についてはフォルダの場所ごととなるため、あらかじめワイルドカードを使って検索してから並び替えなどの作業をしなければ同様の結果が得られない。

 今回のMusicのような方式であれば、ライブラリに登録された場所のことを気にしないで、自分が所有しているファイルへのアクセスが可能になるはずだ。これはこれで画期的な使い勝手を実現するはずだ。OneDriveの仕様変更に伴い不便が多くなったと感じるユーザーも少なくないはずで、こうした機能がファイルエクスプローラのライブラリ機能にも拡張されていくことを願いたいものだ。

Windows 10、Build 2015で本番突入か

 このほか、そのうち修正されるだろうと思っているのだが、ずっと放置されているのが、4桁のPINによるサインインだ。新しいビルド公開のアナウンスでも、知られた不具合として列挙されるわけでもなく、ずっとパスワードでしかサインインできない状態が続いている。また、新ブラウザのSpartanも不安定な状態が改善されず、いくつかのセキュリティアップデートを経たあとも状況はよくなっていない。

 そんなわけで、Spartanがリリースされたら常用環境として使い始めようと思っていたのだが、今の時点では、まだ評価専用機環境で様子見を続けているところだ。

 来週、日本はゴールデンウィークが始まるが、4月29日から3日間、Microsoftの開発者向けカンファレンス Build 2015が米・サンフランシスコで始まる。Microsoftとしては、Windows 10の今後について、このカンファレンスで大々的な発表を行ない、新たなビルドを公開するつもりなのだろう。例年の通りであれば、カンファレンスで新ビルドが発表され、その日のうちに全世界同時にダウンロード可能になるはずだ。製品版は「この夏に出荷」という約束なので、それを信じるとすれば、この時点でのビルドは相当完成度が高いものであることが期待できるし、そうでなければタイミング的にOEMや開発者が困ることになるだろう。日本はともかく、米国のOEMは9月の新学期、つまり、バック・トゥ・スクールのシーズンに間に合わせて新機種を出荷したいだろうからだ。

 Windows 10、いよいよ本番に突入といったところだろうか。とにかく、Buildでよいニュースがあることを願いたい。

(山田 祥平)