西川和久の不定期コラム
日本エイサー「Predator 15」
~Core i7/GTX 980M/4K対応のハイエンドゲーミングノート
(2016/4/25 06:00)
日本エイサーは、Core i7を搭載し、GPUにGeForce GTX 980Mを採用した4K対応のハイエンドゲーミングノートPC「Predator 15」発売した。プロセッサなど主要パーツだけでなく、いろいろこだわりのある構成で魅力的に仕上がっているマシンだ。
さまざまな特徴を持つ高性能のゲーミングノートPC
「Predator 15」は、プロセッサにCore i7-6700HQを採用。4コア8スレッドでクロックは2.6GHzから3.5GHz。キャッシュメモリは6MBでTDPは45W。グラフィックス機能はGeForce GTX 980Mを搭載し、外部出力用として、HDMIとDisplayPortを備えている。どちらもノートPCとしてはハイエンド構成だ。
本製品の特徴は性能だけではない。光学ドライブの代わりにCooler Master特注の冷却システムを組み込める「FrostCoreファン」という冷却性能向上機能を搭載。また、有線LANと無線LANを同時に使用し、どのアプリケーションで帯域を使用するかを選択できるソフトウェア機能の「Killer DoubleShot Pro」や、サブウーファー、Dolby Audio、そして600Ωのヘッドフォンにも対応した「Predator SoundPound 2.1」などを装備する。
このほかにも、キーボードのマクロプロファイルや明るさの設定、CPUやファンなどのリアルタイムモニタリングが可能な「PredatorSense」、ファンのブレードを逆回転させることで内部のホコリを取り除く「Predator DustDefender」といった、ゲームを快適にプレイするための機能を満載している。
現在同社のサイトによると、別構成のモデルはなく、1モデルのみでの展開となっている。「Predator 15」の主な仕様は以下の通り。
【表】日本エイサー「Predator 15」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i7-6700HQ(4コア/8スレッド、クロック2.6GHz~3.5GHz、キャッシュ6MB、TDP 45W) |
メモリ | DDR4 SDRAM 32GB(最大64GB) |
ストレージ | SSD 256GB(RAID 0、128GB×2)+HDD 1TB |
光学ドライブ | BDドライブ |
OS | Windows 10 Home |
ディスプレイ | 15.6型非光沢IPS液晶、(3,840×2,160ドット)、タッチ非対応 |
グラフィックス | GeForce GTX 980M(8GB) |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac無線LAN、Bluetooth 4.0 |
インターフェイス | USB 3.1 Type-C、USB 3.0×4、DisplayPort、HDMI出力、HD対応Webカメラ、SDカードスロット、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 約7時間(8セル/6,000mAhリチウムイオン) |
サイズ/重量 | 391×299.5×38.5mm(幅×奥行き×高さ)/約3.6kg |
店頭予想価格 | 350,000円前後 |
メモリはDDR4 SDRAMで32GB。4スロットあり最大64GBまで搭載可能だ。ストレージはSSD 128GBを2つ使ったRAID 0構成で、1TBのHDDも装備。そしてBDドライブと、かなりの重装備と言える。OSは64bit版のWindows 10 Homeが採用されている。
ディスプレイは4K(3,840x2,160ドット)の非光沢IPS式15.6型液晶となる。ただしタッチは非対応。ネットワークは、有線LANはGigabit Ethernet。無線LANはIEEE 802.11a/b/g/n/ac。Bluetooth 4.0にも対応している。そのほかのインターフェイスは、USB 3.1 Type-C、USB 3.0×4、HD対応Webカメラ、SDカードスロット、音声入出力。USBのポート数も多く扱いやすい。
サイズは391×299.5×38.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約3.6kg。8セル/6,000mAhリチウムイオンを内蔵し、最大バッテリ駆動時間は約7時間。これだけパーツを満載して最大約7時間というのはなかなか興味深い。これについては後半のベンチマークテストで検証したい。
店頭予想価格は350,000円前後だが、搭載しているプロセッサ、メモリ、GPU、ストレージ、パネルなどを考慮すると妥当な価格だろう。
筐体はマット仕上げの黒で覆われ、要所要所に赤を採用。いかにもゲーミングノートPCという雰囲気で非常に重厚感がある。重量も3.6kgあり、15.6型としてはヘビー級だ。
天板にはLEDが仕込まれ、キーボードバックライトがオンのタイミングでロゴなどが赤く光る。前面は、パネル中央上にHD対応Webカメラ、正面側面左右にスピーカー。左側面はUSB 3.0×4、600Ω対応音声入出力(コネクタが入力と出力で分かれている)、SDカードスロット、BDドライブ。右側面にロックポート、Gigabit Ethernet、DisplayPort、HDMI、USB 3.0×2、USB 3.1 Type-Cを配置。バッテリは内蔵で着脱できない。付属のACアダプタはサイズ約15×7×3cm、重量600g。これもヘビー級。
裏は小さいパネルがあり、ネジ2本で簡単に外すことが可能。メモリやストレージへアクセスすることができる。とは言え、標準でSSD 256GB(RAID0、128GB×2)+HDD 1TB、メモリ16GBと既にかなりのハイエンド構成なので、あえて外す必要もないだろう。赤い部分がサブウーファーだ。
ディスプレイは、非光沢のIPS式15.6型。解像度は4Kでクラス最高。明るさ発色、視野角、コントラストも申し分ない。特に赤が映える感じで、よりよい雰囲気を醸し出している。
キーボードはASCII配列の10キー付きのアイソレーションタイプ。後述する「PredatorSence」で4つのセクションとファンクションキーの配色を変更できる。15.6型とフットプリントが十分あるためいびつなキーもない。主要キーのキーピッチは実測で約19mm。ソフトな感じだがストロークは若干深めだろうか。
タッチパッドは周囲にLEDが仕込まれ広さもある。物理的なボタンが手前に2つあるタイプだ。また右上にタッチパッド無効用のキーを配置する。
ノイズや振動は試用した(通常用途)範囲ではまったく気にならないレベルだ。発熱に関しては、キーボードやパームレスト部分には伝わってこない。ただ、ベンチマークテスト中、PCMark 8のバージョン2では大丈夫だったが、3DMark実行中は背面にある排気口からそれなりに温かい風が出た。これはGeForce GTX 980Mが高負荷で作動しているので仕方ない部分だ。高温ではないが、壁などにつけない方が良さそうだ。
サウンドは、ソースにもよるだろうが、ボリューム50の位置で既にかなりの音量。左右のスピーカーも離れているのでステレオ感もある。音質は中域中心になるものの、低域から高域まで出ており、ゲームだけでなく音楽も動画も大迫力で楽しめる。サブウーファーの位置が中央より左へずれているが、ローパスフィルタの周波数が低めなのか、低音が偏って聴こえることはない。
600Ωのヘッドフォン対応と言うこともあり、SONY MDR-CD900STを接続し、視聴しても十分ドライブできていた。スピーカー出力も含め、ここ1年試用したPCの中では1番良い製品かもしれない。
高性能なのはもちろんゲーミングノートPCらしい機能満載
初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は、Windows 10標準に加え、SteamとCyberLink PowerDVD。デスクトップは、壁紙の変更とAcer Care Center、Dolby Audio、GeForce Experience、Killer Network Manager、PredatorSense、Steam、XSplit Gamecasterへのショートカットが並んでいる。
ストレージは、Intel Rapid Storage TechnologyでRAID 0を構成し、物理ドライブはM.2接続のLITEON「CV1-8B128」が2基だ。HDDは1TB/7,200rpmのHGST「HTS721010A9E630」、BDドライブはMatshita「BD-MLT UJ272Q」を搭載。
Cドライブは1パーティションで、約237.88GBが割り当てられ、空き容量は197GB。Dドライブは約931.51GBが割り当てられ、インストールされているものはなかった。
ネットワークはGigabit EthernetがKiller「e2400 Gigabit Ethernet Controller」。無線LANがKiller「Wireless-n/a/ac 1535 Wireless Network Adapter」。BluetoothはQualcomm「Atheros QCA61x4 Bluetooth 4.1」と、ゲーマー向けらしいデバイスを使っている。
グラフィックスは、GeForce GTX 980Mとプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 530も見えている。
プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは特になく、デスクトップアプリは、Acerフォルダに「Acer Care Center」、「Acer DustDefender」、「Acer Quick Access」、「Acer Recovery Management」、「Acer User Experience Improvement Program」、「PredatorSence」、「ユーザーガイドへのWebリンク」。
加えて「CyberLink PowerDVD 12」、「Dolby Audio、Killer Networking」、「Kingsoft Office」、「Thunderboltソフトウェア」、「Steam」、「XSplit Gamecaster」などとなる。Steamはゲーム配信サービス、XSplit Gamecasterはライブ配信ツールだ。
この中で「DustDefender」は、冒頭で触れた高速でブレードを逆回転させることで内部のホコリを取り除く機能が利用でき。
「PredatorSence」は、「Predator 15」のゲーミングノートPCとしての中核をなす部分で、システムの温度やファン速度のモニタリング、ファンクションキーやマクロ、キーボードバックライトの設定が行なえるツールとなる。それぞれ画面キャプチャを掲載したので参考にして欲しい。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2。GeForce GTX 980MでRAID 0のSSDなので、3DMark、CrystalDiskMarkの結果も見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は4コア8スレッドと条件的に問題があるので参考まで)。
winsat formalの結果は、総合 6.6。プロセッサ 8.2、メモリ 8.2、グラフィックス 6.6、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.4。メモリのバンド幅は28562.61250MB/sec。PCMark 8 バージョン2は3117。3DMarkは、Ice Storm 54068、Cloud Gate 19073、Sky Diver 20599、Fire Strike 8279。CrystalMarkは、ALU 71234、FPU 67289、MEM 82323、HDD 44143、GDI 15866、D2D n/a、OGL 37272。どれもかなりの高スコアだ。
CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 965.1/Write 360.2、4K Q32T1 Read 334.6/Write 284.7、Seq Read 959.2/Write 350.4、4K Read 27.84/Write 65.96(MB/sec)。M.2接続のSSDとしてはRAID 0が効いて高速だが、NVMeと比較すると若干劣る感じとなる。
BBenchは、キーボードバックライトオフ、バックライト最小、キーストローク出力オン、Web巡回オン、Wi-Fiオン、Bluetoothオンでの結果だ。バッテリの残5%で31,214秒/8.7時間。仕様上約7時間なので、それを上回った。
以上のように日本エイサー「Predator 15」は、Core i7/GTX 980M/4K対応と主要部が優れているのはもちろん、PredatorSenseによるモニタリングと設定、Killer Network、逆回転させることで内部のホコリを取り除けられるファン、サブウーファーや600Ωのヘッドフォンが駆動できるオーディオ……など、ゲームをより楽しく、そして快適にできる機能満載のゲーミングノートPCに仕上がっている。
高価なのは内容から仕方ないとして、仕様上、気になる部分もなく、ゲーミングノートPCを探しているユーザーにお勧めできる逸品と言えよう。