西川和久の不定期コラム
デル「XPS 13 Ultrabook」
~ほぼ11型のサイズに13.3型フルHDを詰込んだ上にタッチ対応!
(2014/1/16 06:00)
2-in-1やタブレットに押されつつも、従来のクラムシェルノートPCも少しずつ進化している。今回ご紹介するのは、フットプリントが316×205mmと、11型に近いサイズながら13.3型のフルHD液晶を搭載したデルのノートPC「XPS 13 Ultrabook」だ。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けする。
狭いフチが印象的な13.3型
同社のノートPCは、InspironsシリーズとXPSシリーズの2種類があり、XPSシリーズはプレミアム的な位置付けだ。パネルサイズによって11/12/13/14の4タイプがあるが、届いたのは13.3型のXPS 13だ。
製品ページを見ると、プロセッサはCore i5またはi7、メモリは4または8GB、SSDは128/256GB、OSにWindows 7 Home Premium/Windows 8.1、加えてOfficeの有無と、構成に応じて10タイプ用意されているのが分かる。価格は117,980円から160,980円(割引額適用後)。
Officeなどソフトウェアの変更は可能だが、いわゆるBTO的なハードウェアの変更には対応していない。今回届いたモデルの主な仕様は以下の通り。
【表】「XPS 13 Ultrabook」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-4200U (2コア/4スレッド、 クロック 1.6GHz/TB 2.6GHz、 キャッシュ3MB、TDP 15W) |
メモリ | 8GB/DDR3L-RS(1600MHz)、オンボード |
ストレージ | SSD 128GB(mSATA) |
OS | Windows 8.1 (64bit) |
ディスプレイ | 13.3型TrueLife フルHD タッチパネル ディスプレイ(光沢)、10点タッチ対応、 1,920×1,080ドット |
グラフィックス | Intel HD Graphics 4400、Mini DisplayPort×1 |
ネットワーク | IEEE 802.11a/b/g/n/ac(WiDi 3.0対応)、 Bluetooth 4.0+HS |
そのほか | USB 3.0×2(どちらもPowered)、HD Webカメラ、 音声入出力、キーボードバックライト |
バッテリ | 55Wh(6セルバッテリ) |
サイズ/重量 | 316×205×6~18mm(幅×奥行き×高さ)/約1.37kg |
価格 | 119,980円 |
プロセッサはCore i5-4200U。2コア4スレッド、クロック1.6GHzでTurbo Boost時に2.6GHzまで上昇する。型番からも分かるようにHaswellとなる。メモリは8GBデュアルチャネル、DDR3L-RS(1,600MHz)がオンボードで搭載済みだ。ストレージはmSATAタイプのSSDで容量は128GB。OSは、64bit版Windows 8.1。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4400。外部出力用としてMini DisplayPortを装備している。液晶ディスプレイは、13.3型でフルHD(1,920×1,080ドット)。10点タッチ対応だ。
ネットワークは、有線LANが無く、無線LANがIEEE 802.11a/b/g/n/ac。Bluetooth 4.0+HSにも対応している。Gigabit Ethernetなど有線LANが無いのは痛いものの、代わりにIEEE 802.11acがあるので、環境さえあれば特に問題にならないだろう。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、HD Webカメラ、音声入出力。USBは2ポートともにPoweredとなっている。またキーボードバックライトを装備しているので薄暗い場所でも快適にキー入力可能だ。ただしデジタルカメラなどの画像が取り込めるカードリーダが無いのは残念なところか。
サイズは316×205×6~18mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.37kg。ちなみに11.6型を搭載したXPS 11が300×201mm/幅×奥行き、2ランク小さい10.6型を搭載したSurface 2は275×173mm/幅×奥行きとなるため、10.6型と比較すると一回り大きいが、11.6型とは大差無いことが分かる。
トップカバーは削り出しアルミ素材でヘアライン仕上げのシルバー、カーボンファイバ複合材ベース、エッジツーエッジのCorning Gorilla Glass NBT、マグネシウム製パームレスト(ソフトタッチペイント仕上げ)でマットな質感と、全体的なクオリティは高い。重量は実測で1,395g。持ち歩くことを考えるともう一声という気がするが、このクラスとしては軽量級だろう。
左サイドは電源入力、USB 3.0×1、音声入出力。右サイドはMini DisplayPort、USB 3.0×1を配置。バッテリを内蔵しているので、後ろや裏はスッキリしている。付属のACアダプタは、87×55×20mm/160gとかなり小型だ。
13.3型の液晶パネルはフチが狭く、その分、フットプリントが抑えられている。ただWindows 8.1でチャームを出す時など、フチから内側へスワイプするには少し面積が足らない感じがしないでもない。表示自体は、高輝度(輝度350cd/平方m)でコントラストも高く、発色も素直。視野角も広いので快適だ。もちろん10点タッチ対応の反応も文句なし。
キーボードは防滴設計でアイソレーションタイプ。キーピッチは実測で約19mm。特に破綻したアサインも見られず、非常にしっかりしたキーボードで個人的には文句なし。加えてオフ/中/最大の3段階に調整できるバックライトを搭載し、薄暗い場所でも入力可能だ。この点はポイントが高いと言えよう。タッチパッドはクリック感のあるガラス製1枚プレートタイプだ。十分に面積もあり追従性も良い。
サウンドはノートPCとしては低音から高音まで抜けも良くハイクオリティだ。最大出力も十分ある。音楽も動画も十分以上に楽しめる。
XPS 13 Ultrabookは上位のXPSブランドだけあって、どれ1つをとってもクオリティが高く実に完成度の高いノートPCに仕上がっている。タブレットや2-in-1には無い、ノートPCならではの魅力をうまく引き出しているように感じた。
BBenchで軽く12時間越えのロングバッテリライフ
OSは64bit版Windows 8.1。メモリを8GB搭載しているので内蔵グラフィックスと併用してもストレスは無い。スタート画面は1画面で、マカフィーセントラル以降4つのタイルが加わっただけ、デスクトップは何もショートカットが無く、非常にシンプルな構成となっている。
SSDはSamsung「SSD SM841 mSATA 128GB」が使われ、C:ドライブのみの1パーティション。約104.5GBが割り当てられ空き76GB。ただ補助としてSDカードなどを内蔵できないので、用途によっては容量不足になる可能性がある。机の上ではUSB 3.0へ大容量のストレージなどを取り付け運用でカバーしなければならないケースもあるだろう。
Wi-Fiは、IEEE 802.11acに対応した「Intel Dual Band Wireless-AC 7260」、BluetoothもIntel製だ。
プリインストール済のソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「Intel Experience Center」1本。Windowsストアアプリに関しては、用途や好みでインストールするものも大幅に異なるので、いろいろ入っているより、個人的にはこちらの方が好みだ。
デスクトップアプリは、「Dell Backup and Recovery」、「Dell Digital Delivery」、「Dell Update」、「My Dell」、「PC Checkup」、「Dell Audio」といった、同社のツール系と、「Intel Rapid Start Technology」、「Intel Smart Connect Technology」などIntelのツール系、そして「マカフィーリブセーフインターネットセキュリティ」となる。
Windowsストアアプリも含め、アプリケーションらしいアプリケーションは皆無で、玄人好みの構成と言えよう。
ベンチマークテストはWindows 8.1からWindows エクスペリエンス インデックスが無くなったため同等の結果が得られる、「winsat formal」コマンドを実行後、C:\Windows\Performance\WinSAT\DataStoreの下に収納されているxxxx-xx-xx xx.xx.xx.xxx Formal.Assessment (Recent).WinSATの情報を掲載する。
PCMark7は既にWindows 8.1にも対応したPCMark8があるものの、スコアの互換性が無いため、当面は7のまま様子をみたい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は2コア4スレッドと条件的には問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 5.3。プロセッサ 7.2、メモリ 7.5、グラフィックス 5.9、ゲーム用グラフィックス 5.3、プライマリハードディスク 8.2。PCMark 7は4994 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 33986、FPU 36783、MEM 43876、HDD 42021、GDI 15020、D2D 7455、OGL 11645。
Core i5とSSDの構成としては平均的だが、(グラフィックス系は低いものの)バランスは良く、いろいろなアプリを快適に使用可能だ。スタンバイからの復帰も速い。
BBenchは、省電力、キーボードも含めバックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で48,765秒/13.5時間。
何と12時間を軽く越えてしまった。またバックライト最小でも、環境によってはそれなりに見えるので、実際に使ってもこれに近い時間になると思われる。バッテリが内蔵なので、ある意味不安な面もあるだろうが、これなら1日使っても特に問題にならないだろう。
以上のようにXPS 13 Ultrabookは、フルHD 13.3型タッチ対応の液晶パネルを搭載しながら、11型に近いフットプリントのコンパクトなノートPCだ。筐体の質感、キーボードやサウンドのクオリティなども高く、プレミアムな1台に仕上がっている。しかもBBenchで12時間オーバーとバッテリ駆動時間もかなり長い。
有線LANやメディアカードリーダが無いのは、用途によってマイナスポイントになる場合もあるだろうが、13.3型のUltrabookを探しているユーザーにお勧めの逸品と言えよう。