西川和久の不定期コラム

日本ヒューレット・パッカード「HP Slate7」

〜7型でBeats Audioを搭載した安価なAndroid 4.1搭載タブレット

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は7月29日、個人向けの7、10.1、21.5型Androidタブレットを発表した。中でも1番小さく、発売日も早い7型の「HP Slate7」が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けする。

スタイリッシュな7型タブレット

 今回発表されたのは、7型の「HP Slate7」、10.1型の「HP Slatebook10 x2」、21.5型の「HP Slate21」と3機種。後半2機種はIPS液晶パネル、そしてTegra 4を搭載しているのが特徴だ。

 手元に届いた「HP Slate7」は、クロック1.6GHzのデュアルコア ARM Cortex-A9、メモリ1GB、ストレージは16GBと、エントリーモデルに相当する。OSはAndroid 4.1(Jelly Bean)。少し前に4.3がリリースされたものの、4.2以降はマルチユーザー対応など、通常用途において目新しい部分は少なく、とりあえず4.1であれば問題ないだろう。そのほか主な仕様は以下の通り。

日本ヒューレット・パッカード「HP Slate7」の仕様
CPU デュアルコア ARM Cortex-A9(1.6GHz)
メモリ 1GB
ストレージ 16GB
OS Android 4.1(Jelly Bean)
ディスプレイ 7型HFFSディスプレイ、1,024×600ドット(169ppi)
ネットワーク IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1+EDR
その他 Micro USB、microSDカードスロット、内蔵マイク、ヘッドフォン出力、ステレオスピーカー、VGA前面カメラ/約300万画素背面カメラ、加速度センサー
バッテリ駆動時間 最大約5時間
サイズ/重量 約197×116×10.7mm(幅×奥行き×高さ)/370g
価格 2万円前後(8GBの直販モデルは13,860円)

 ディスプレイは7型のHFFSパネルを搭載。IPS式とまではいかないが、広い視野角なのが特徴だ。解像度は1,024×600ドット(169ppi)。エントリーモデルのAndroid機としては一般的だろう。HDMI出力など外部出力が無いのは残念なところか。

 インターフェイスは、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1+EDR、Micro USB、microSDカードスロット、内蔵マイク、ヘッドフォン出力、ステレオスピーカー、VGA前面カメラ/約300万画素背面カメラ、加速度センサー。microSDカードスロットがあるので、写真や動画などはこちらへ逃がすことができる。

 サイズは約197×116×10.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量370g。Nexus 7(2012)は、198.5×120×10.45mm、340gなので、ほぼ同等。扉の写真からも分かるように、片手で持つには問題ないサイズ・重量となっている。カラーバリエーションは、シルバーとレッド。バッテリ駆動時間は最大約5時間だ。

 16GBモデルは量販店用で発売は8月下旬、実売価格は20,000円前後だが、直販用の8GBモデルは8月6日より受注を開始している。ストレージ以外、仕様は同じで価格は13,860円と、大手メーカー製のAndroidタブレットとしてはかなり安い。

前面。角度が付くと若干コントラストは落ちるが、視野角は広い(上側面が見えるよう、上下逆に撮影している)。上部中央にVGAカメラ
背面。周囲は金属フレームが使われ、リアはマットな手触りの素材。いかにも同社らしいデザインだ。上部左側に約300万画素カメラ。右側面に音量±ボタン。左側面は何もない
上側面。電源ボタン、microSDカードスロット、内蔵マイク、3.5mmヘッドフォン出力
下側面。ステレオスピーカーと中央にMicro USB
付属品など。USB電源アダプタとUSBケーブル。サイズは約70×40×40mm(プラグ含まず)、重量96g
Nexus 7(2012/左)との比較。同じ7型でも1,280×800ドットと1,024×600ドットで縦横比が違うため、Slate7の方が若干縦長になっている

 筐体は、周囲が金属フレーム、リアは手触りがマットな感じの素材が使われ、なかなかスタイリッシュ。チープな雰囲気は一切無い。今回はシルバーだが、カラーバリエーションのレッドもなかなかしゃれている。

 上部側面には、電源ボタン、microSDカードスロット、内蔵マイク、3.5mmヘッドフォン出力。下部側面にはステレオスピーカーと中央にMicro USB。左側面には何も無く、右側面に音量±ボタンがある。前面は上部中央にVGAカメラ、背面は左上に約300万画素カメラを搭載している。

 付属のUSB電源アダプタは、サイズサイズは約70×40×40mm(プラグ含まず)、重量96g。出力2Aタイプだが、PCなどのUSBポートからも時間はかかるが充電できる。なお、USBホストケーブルを使ってUSB DACに接続したが、認識しなかった。

 7型HFFSディスプレイは、最大輝度は十分明るく、IPS式とまでは行かないものの、視野角は広く、発色も自然だ。ただ自動輝度調整機能が無いのと、コントラストが浅めなのは価格相応と言ったところだろうか。解像度は1,024×600ドットで169ppi。Retina相当に慣れているため、若干ドットの荒さは気になる。

 サウンドはステレオスピーカーを搭載し、最大出力も十分。音質もパンチの効いた感じで悪くない。ただ後述するBeats Audioは、ヘッドフォン出力しか対応しないのが残念だ。

【動画】スムーズに動き、速度的にも特に不満はない

 実際に操作した動画を掲載したので参考にして欲しい。描画はスムーズで、Webサイトのレンダリングもそれなりに速い。試しにフルHDの動画も再生してみたが、コマ落ちすることなく観ることができた。感覚的にはNexus 7(2012)とあまり変わらない雰囲気だ。発熱なども試用した範囲ではほんのり上半分が暖かくなる程度だった。

 カメラに関しては少し撮影してみたものの、現状だと最近のスマートフォンに内蔵しているカメラの方が画質は上だろう。設定できる項目も、イン/背面カメラの切替え/デジタルズーム/カメラ/動画/パノラマ、ホワイトバランス(オート/白熱灯/昼光/蛍光灯/曇り)、シーン(オート/夜景)しかなく、フォーカスのコントロールや露出補正が行なえず、機能面で不足している。画質も正直良くない。まだまだ改善の余地はありそうだ。

コストパフォーマンスも高くBeats Audio対応が魅力的

 今回届いたSlate7は、店頭デモ用の設定らしく、ホーム画面やプリインストール済みのアプリは、製品版と異なる可能性があり、参考程度にご覧頂きたい。とは言え、ほとんど素のAndroid 4.1に近いので、大幅にイメージが違うことはないだろう。

 ホーム画面は5画面中、1と5画面目は未設定、2画面目は電源管理。3画面目はstart/設定/ScreenAppSaver。4画面目はギャラリーと設定のアイコンがある。UIはスマートフォン用が使われ、設定などが2ペインにはなっていない。この辺りはNexus 7と同様だ。

ホーム画面2/5
ホーム画面3/5
ホーム画面4/5

 プリインストール済のアプリは、「カメラ」、「カレンダー」、「ギャラリー」、「ダウンロード」、「トーク」、「ニュースと天気」、「ブラウザ」、「マップ」、「メール」、「メッセンジャー」、「ローカル」、「音声検索」、「時計」、「設定」、「電卓」、「連絡帳」、「Chrome」、「Demo」、「ESファイルエクスプローラ」、「Gmail」、「Google」、「Google+」、「Google設定」、「HP ePrint」、「Movie Studio」、「Playストア」、「Playブックス」、「Playミュージック」、「Playムービー」、「ScreenAppSaver」、「start」、「YouTube」。

 恐らくDemo、ScreenAppSaver、startは店頭デモ用だと思われる。HP ePrintは標準搭載。またPlayストアに対応しているので、好みに応じてアプリをダウンロードして使用することが可能だ。安価なタブレットはPlayストアに非対応なものが多く、ポイントが高い。

工場出荷時のアプリ1/2
工場出荷時のアプリ2/2

 ウィジェットは全部で5画面。「アナログ時計」、「おすすめのコンテンツを楽しむ」、「カレンダー」、「ニュースと天気」、「フォトギャラリー」、「ブックマーク×4」、「ミュージックプレイリスト」、「メール」、「経路とナビ」、「交通状況」、「再生-マイライブラリ」、「書籍」、「設定をショートカットする」、「電源管理」、「連絡先×2」、「ESファイルエクスプローラ」、「Gmail」、「Gmailのラベル」、「Google Playミュージック」、「Google+投稿」、「Google検索」、「Playストア」、「YouTube」。Android 4.1の標準設定とほとんど同じ構成になっている。

ウィジェット1/5
ウィジェット2/5
ウィジェット3/5
ウィジェット4/5
ウィジェット5/5

 16GBのストレージは、実質約13GBの容量で空きは約12GB。microSDカードスロットもあるので、余程ヘビーな使い方をしない限り、8GBモデルでも問題ないだろう。Androidのバージョンは4.1.1となっていた。

 Beats Audioは、設定の項目に追加され、パネルを開くと、Beat Audioのオン/オフ、そして、ヘッドフォンのタイプをOn-Ear/In-Ear/Passiveの3通り選ぶことができる。

 In-EarのヘッドフォンでBeats Audioのオン/オフを切り替えながら試したところ、全く違う音質だ。全体的に音圧が上がり、文字通りビートの効いたサウンドに変わる。音楽に限らず、動画でも迫力が増し、言葉などもはっきり聞こえるようになる。一度聴いてしまうともうオフには戻れない。これは他の7型タブレットには無い機能であり、Slate7ならではと言えよう。

設定/ストレージ。実質約13GBの容量があり空きは約12GB
設定/タブレット情報。Androidのバージョンは4.1.1
設定。Beats Audioの項目がある
Beats Audio。オン/オフ、On-Ear/In-Ear/Passiveの3通り

 参考までにAnTuTu 安兎兎ベンチマークv3.4の結果を掲載した。総合 12136(11933)(以降カッコ内はNexus 7(2012))。Nexus 7(2012)に勝っている結果となった。各項目では、RAM 1852(1840), CPU Int 2455(3114), CPU Flot 1824(2704), 2D 1249(709), 3D 4036(2692), DB I/O 550(868), SD Card Write 121(138), SD Card Read 49(191)と、凸凹があり、特に解像度の違いからグラフィックス系に差が付いているのが分かる。

 ただし公開されているチャートでは若干Nexus 7の方がランクは上だ。手元にある実機はAndroid 4.3なので、OSのバージョンによる違いがあるのかも知れない。使った感じがNexus 7(2012)とあまり変わらないと書いたが証明された格好だ。

AnTuTu 安兎兎ベンチマーク1/3。総合 12136(11933) ※カッコ内はNexus 7(2012)。ただしAndroid 4.3上で測定
AnTuTu 安兎兎ベンチマーク2/3。RAM 1852(1840), CPU Int 2455(3114), CPU Flot 1824(2704), 2D 1249(709), 3D 4036(2692), DB I/O 550(868), SD Card Write 121(138), SD Card Read 49(191)
AnTuTu 安兎兎ベンチマーク3/3。チャートではNexus 7が若干速い結果となっている

 バッテリ駆動時間は、輝度50%音量50%に設定し、Wi-Fi経由でHD動画を繰り返し再生したところ約6時間作動した。スペック上は最大約5時間なので、それを越える結果となった。


 以上のように「HP Slate7」は、スタイリッシュな7型のAndroidタブレットだ。デュアルコア ARM Cortex-A9を搭載し、速度的にはNexus 7(2012)とほぼ互角。解像度は1,024×600ドット(169ppi)と抑え目で、HFFSパネルはIPSパネルと比較すると若干コントラストが劣るものの、実用上は特に問題ないレベルで発色も良い。Playストアはもちろん、Beats Audioに対応しているのも魅力的だ。

 16GBモデルは2万円前後、直販の8GBモデルは13,860円と、特に後者のお買い得感は高い。安価なAndroidタブレットを探しているユーザーにお勧めできる1台と言えよう。

(西川 和久 http://www.iwh12.jp/blog/