PS/2→USB変換器を6製品試す



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「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです。

●イントロダクション

 唐突だが、筆者はこれまで10製品以上のKVMスイッチ(1組のキーボードとマウス、ディスプレイで複数のPCを使うツール)を使ってきている。要するにマシンの台数が増えて、だからといって全てのマシンにキーボードとマウスをつけたりモニター割り当てたりしてたら、どれだけ広い机が必要かわからんから、という話である。最初に購入したのは確かATENのCS-124である。AKIBA PC Hotline!を見ると'98年4月の新製品とされているが、多分購入したのもこの頃(遅くても'99年)。ちなみに当時は結構高価で、本体を買うと純正ケーブル代まで出ず、自分でVGAの延長ケーブルやらPS/2の延長ケーブルを購入してきて、途中でぶった切って繋ぐ(確かコネクタ形状が普通の延長ケーブルと異なり、両方オスとかいう不思議なものだったと記憶している)といった細工を余儀なくされたりした。

 その後も調子が悪くなったり、使い勝手がいまいち(切り替え時間が遅いとか、USBの切り替えもほしいとか)だと感じたりすると即新しい製品を物色してくるという具合。今も部屋の中には合計4台のKVMスイッチが稼働中である。

 ここで問題になるのが、どんな構成のKVMスイッチがほしいかであるが、まず大前提として譲れない項目に

(1) PS/2キーボードが使えること
がある。筆者は長年IBMのメカニカルキーボード(英語配列)を愛用しており(写真1、2)、これに代わるUSBキーボードが未だに見つからないこと。ちなみに「10キーとFunctionキーは必須」の人なので、PFU(現富士通)のHHKとかは論外。人気の高い東プレのRealforceについては、Realforce 103U/103UBは一応スペック的にOKだが、以前店頭で試用した限りではいまいちキータッチが好きになれなかった。ダイヤテックのマジェスタッチシリーズも、省スペースを追求しすぎでむしろ使いにくい。というわけで、USB接続で手ごろなキーボードが無い以上、PS/2を使い続けるしかないことになる。この大前提がまずあって、ついで最近は

(2) Display出力にDVI-Dが使えること。出来ればDual Link対応
(3) USBも連動すること
(4) HDMIに対応すること

が要件として増えてきた。(2)はCRTディスプレイを全部液晶に置き換えた瞬間に顕著になった。ディスプレイそのものはアナログRGB入力に対応しているが、1,920×1,200ピクセル@60HzをアナログRGBで出力すると、どんなに良いケーブルを使ってもゴーストは避けられないし、間にKVMを挟むとさらにひどいことになる。

 (3)は、先にマウスがUSB化したことだ。筆者はもう15年以上ロジクールのマウスを愛用しているのだが、当然マウスもPS/2で接続していた。ところが、使いたいマウスが相次いでUSBオンリーになってしまい、何らかの対策をしなければいけなくなった(それでも暫くはアメリカ出張の折にMX518を大量に購入して持って帰ってくる、という技で凌いだが、皮肉な事に環境をUSB対応にした直後に日本のロジクールで発売が開始された)。

 最後が(4)である。Blu-ray Discは正直どうでも良かったのだが、洒落でXbox 360用のHD-DVDドライブを購入、ついでにアメリカでHD-DVDのタイトルを購入したので、一応再生してみようと思ったらこの問題に直面した。HDMIが通らないと、HD-DVDとかBlu-ray Discのタイトル再生は出来ないのは致し方ない。

 で、これを全部満たすKVMを色々探したのだが、(2)〜(4)を満たす製品は結構あるものの、(1)が非常にネックとなる。まぁHDMIを使うような時代にPS/2はいらんだろ、という天の声かもしれないが。

 で、悪あがきを色々しているときに見つけたのがATENの「CS1784」である。ちなみにほぼ同等スペックのものとして今ならコレガの「CG-PC4KDLMCA」がラインナップされているが、購入当時はまだこれが出ておらず、同じコレガの「CG-PC4UDA」ぐらいしか選択肢がなく、しかもこちらはPS/2の対応が明記されていなかった。

 CS1784は標準でPS/2→USBの変換ケーブルが付属しており、これを使うことでPS/2キーボードをUSBで接続できる筈だった(というか、実際に接続は出来ている)。そんなわけで2008年10月に、AmazonよりATEN CS1784を購入。当時の支払価格は37,169円であった(ちなみに現状では29,377円まで価格が落ちている)。

写真1:Windowsキーすらない英語101キー。ちなみに右上にあるのが今回問題のATEN CS1784 写真2:モノはLexmarkの52G9658。実は秋葉原にあった某キーボード専門店(現在は通販のみ)にUNICOMPの42H1292を買いにいったところ、「42H1292よりも絶対にこっちがいいから」と強く勧められて信用して買ったのだが、UNICOMPにすればよかったと後悔(笑)。2本買ったうちの1本は1年弱で接触不良が出て廃棄。今使っているものも、テンキーとか一部接触不良気味。キータッチそのものはそう悪くないのだが 写真3:ATENのCS1784

●PS2/USB変換器
写真4:一見ケーブルのみに見えるが、USBコネクタ側がちょっとしたUSBメモリ並に長く、ここに変換チップが埋め込まれているようだ。実際このアダプタ+PS/2キーボードを別のマシンに繋いでみたところ、問題なくUSBキーボードと認識してBIOS Setupが実行できた

 ということで本題である。当初はCS1784に付属してきたPS2/USB変換アダプタ(写真4)を使っていたのだが、

【良い点】
・通常の利用には問題ない
・暴走しない
【悪い点】
・CtrlキーとかShiftキーを押しながらのリピートが通らない事が多い
・キーリピートの速度が遅い

というわけで、手放しで喜べるものではない。特にCtrl/Shiftを押しながらのキー操作は割とストレスが多い(例えばキーマクロを設定していざ動かそうとすると、これに引っかかって使えないとか)ため、割と困った事になっていた。これがもう少し高度なハードウェアになると、例えばファームウェアの入れ替えとかドライバのアップデートで対応できる可能性があるが、ものがPS/2→USB変換器ともなるとこうした可能性はなく、もう「ちゃんと動く変換器」に交換するしかない。ということで、ちまちま時間を掛けて色々な変換器を入手、試してみた。


●コレガ「CG-USBKMS」(写真5)

価格:3,480円(ヨドバシカメラ新宿店)

 店頭には、これと一緒に同じコレガのCG-USBKMSV2も並んでいた。標準価格で比較してもCG-USBKMSは3,885円、CG-USBKMSV2は1,785円だから値段は倍違うわけで、にも関わらずパッケージを見ると両者の違いが全くわからず、暫く店頭で2つのパッケージとにらめっこする羽目に陥った。一応Webページをみると、CG-USBKMSV2にはLinuxとかMac OSの動作保証が付いているという「だけ」のようだ。

 さて、使い勝手であるが

【良い点】
・CtrlキーとかShiftキーを押しながらのリピートも問題ない
・キーリピートの速度は速い
・暴走しない
【悪い点】
・チャタリング風の現象が出る
・押しても無いキーが勝手に入力される

という具合で、なんというかATENの変換アダプタと逆である。このチャタリングというのは、キーを軽く押したつもりでも連続してキー入力が行なわれてしまい、「あいうえお」が「ああああああああいいうえええええおお」のようになってしまう。また、直前に押されたキーコードを内部で保持しているようで、何かの折に突然勝手に入力が発生するという現象も頻発して、正直長期間の利用には耐えなかった。

 ちなみにこの製品についてはメーカーページで「本製品は、PCのUSBコネクタに直接つなぐことをお勧めいたします。」とあるので、まぁKVMスイッチに繋ぐのは本来想定外ではあろうが、中身がこんな具合(写真6)だと、「ATENのKVMスイッチにATENの変換器で何の問題がある?」といいたくなる。

写真5:購入した変換器の中では一番ごつい形状 写真6:中の基板にははっきり「ATEN」の文字が。形状からすると、このあたりのOEMだろうか

●サンワサプライ「USB-CVPS1」(写真7)
写真7:接着剤留めになっているようで、後からの分解は破壊になってしまうので中身の確認は断念。普通の用途ではこれがイチオシだろうか。

価格:1,180円(ヨドバシカメラ新宿店)

 シンプルイズベストといったもの。価格も安めで、手軽に購入できる。で、使い勝手は? というと

【良い点】
・キーリピートの速度は普通
・暴走しない
【悪い点】
・たまにリピートが止まらなくなる
・時々CtrlキーとかShiftキーを押しながらのキー操作でCtrl/Shiftを取り漏らす

といったところ。価格を考えれば、一般的な利用にはまず問題は無いと思う。が、あいにくブラウザやエディタ操作(特にベンチマーク結果をExcelに放り込む前段階処理を行なうMule)でCtrl/Shiftを多用する関係で、筆者にはちょっとだけ使い勝手が辛いものだった。


●センチュリー 「活すコネクター」(PS2W-USB)(写真8)

価格:失念(ヨドバシカメラ新宿店)

 大分昔に買ったので既に金額がわからなくなっているが、同社の直販価格が1,481円だから店頭価格もそのあたりだろう。PS/2のキーボードとマウスの両方を同時に使えるのがUSB-CVPS1よりちょっと良いところである。で、使い勝手だが

【良い点】
・キーリピートの速度は普通
・暴走しない
【悪い点】
・Ctrl+Shift(正確に言えば、CAPS+Shift)を認識しない

で、これが最大の問題だった。「普通使わねぇ」と言われそうだが、運が悪いことに筆者がメインに使っているOperaでは

・開く:Enter(or マウス左クリック)
・新しいタブで開く:Shift+Enter(or Shift+左クリック)
・バックグラウンドのタブで開く:Ctrl+Shift+Enter(or Ctrl+Shift+左クリック)

と割り当てられており、しかもこの「バックグラウンドのタブで開く」を筆者は非常に多用している。しかも、筆者はソフトウェアでCAPSとCtrlをひっくり返している。つまり実際にはCAPS+Shift+EnterとかCAPS+Shift+左クリックとなるのだが、どうもこのCAPSの同時押しをちゃんとハンドリングしてくれないようだ。そんな使い方をするお前が悪い、といわれればまぁ反論はできないのだが。ちなみに内部構造はこんな具合だった(写真9)。だから、変換器が何か悪さをしているという風情ではない。恐らくはKVMスイッチとの相性問題なのではないか、と思われる。

写真8:一応箱はくっついているが、かなり小さめ 写真9:ここでは信号レベルを調整しているだけっぽい(信号線の数からもこれは明らか)。USBコネクタも普通よりちょっと長いので、恐らくここに変換チップが入っているものと思われる

●バッファロー「AU02PS」(写真10)
写真10:表側には何のシールも無いが、裏側には一応型番が記されている

価格:失念(ヨドバシカメラ新宿店)

 こちらも価格は失念してしまったが、直販ショップでの価格は1,280円だから、店頭価格もそのあたりだろう。さて、こちらについてだが

【良い点】
・なし
【悪い点】
・動かない

である。いや念のために書いておけば、ATEN CS1784と繋ぐと動かないというだけであって、実際別のマシンに繋ぐと普通に使うことはできたから、壊れているわけではない。わけではないのだが、ただ筆者の今の環境には使えないこともまた事実である。


●エレコム「USB-P2KM」(写真11)
エレコムのUSB-P2KM

価格:失念(多分PC DEPOT碑文谷店)

 直販価格で2,310円、Amazonだと1,090円まで落ちているが、購入したのは大分前だから恐らく2,000円くらいは払っていたと思う。使い勝手だが

【良い点】
・Ctrl+Shift(正確に言えば、CAPS+Shift)をちゃんとハンドリング
【悪い点】
・キーリピートの速度はやや遅い
・たまにキーの取り漏らしをする(特にKキー)
・ちょくちょく暴走する

悪い点が異様に多いUSB-P2KMだが、実は一番長く我慢できたのがCS1784+このUSB-P2KMの組み合わせ。Kキーの取り漏らし、というのは、例えば「かきくけこ」を入力しようとすると「あいうえお」になってしまうことだ。なぜかKキーとの相性が悪いのは個体の問題なのか仕様の問題なのか。また暴走は、明らかにキー入力が変になったり、マウスを使ってセレクトしていると変なセレクトのされ方をすることでそれとわかるという次第。ただ一度USBポートから引っこ抜いてさしなおすと解消されるという具合だったので、まぁ我慢して使っていた。というよりも、Ctrl+Shift(というか、Ctrl+CAPS)を唯一正しくハンドリングしてくれるのがUSB-P2KMだったからだ。とはいえ、そろそろ我慢も限界に近づいてきた。

●んで結局
写真12:LenovoのThinkPlus Prefered Pro USB(英語版)。はっきり言ってキータッチは恐ろしく悪い。まぁ別のキーボードを見つけるまでの辛抱である

 筆者はどういう結論に達したかというと、こうである(写真12)。やはりPS/2→USB変換器は、一時しのぎにはなっても、長期間使うのには耐えない。ましてやKVMスイッチを使うと、これが顕著に現れる。ということで、PS2キーボードを使い続けるのは諦めようというのが筆者の結論である。とりあえずはこのUSBキーボードで我慢しつつ、まともなUSB接続の英語キーボードを探すという新たなミッションが筆者には出来たわけだ。やっぱりここは基本に戻って、UnicompのCustomizer 101あたりを輸入してみようかと思っている。


【2月24日追記】

 上の記事掲載後、Twitterで教えていただいたのが「ダーマPS/2-USBキーボードコンバータ DRKBCN」である。ためしにAmazonで調べてみると在庫があった。というわけで、迷わず購入。Amazonプライムのお陰で翌日昼には到着した。こういう具合にレスポンスが良いのは、やはりTwitterのお陰である。

 ということで、

●ダーマPS/2-USBキーボードコンバータ DRKBCN

価格:3,207円(Amazon.co.jp)

【良い点】
・通常の利用には問題ない
・キーリピートの速度も結構早い
・暴走しない
【悪い点】
・複数キー押しの際、Ctrlキー(というか、CAPSキー)がサポートされない

 商品ページにもあるとおり、最大10キーまでの同時押しに対応で、しかもさまざまなキーボードでの動作実績もあるということで期待したのだが、CAPSキーだけは未対応だったようだ。もちろん、CAPSキーを単体で押すとちゃんと認識されるのだが、Shiftを押しながらCAPSキーを押すと、このCAPSは無視されてしまうようだ。ちなみにCAPS/Ctrlの入れ替えを外して使うとちゃんとCtrl+Shiftが認識される(あるいは右側のCtrl+Shiftも認識される)あたり、これは意図的にNキーロールオーバーでCAPSを外しているものと思われる。

 残念ながら筆者の環境では全く役に立たないため、これもまたお蔵入りすることになった。

 というわけで、7製品目を試してみたものの、やはり結論は変わらないままである。ちなみに、UnicompのCustomizer 101は既に発注を掛けており(何故かInternational ShippingでFedexを選択したにも関わらず、Shipping Chargeが$0.00だった)、これが到着するまでの辛抱である。「KVMスイッチ買い換えろ」という優しい励ましの声も頂いているが、それはUnicompのCustomizer 101と組み合わせて使った結果次第でまた考えたいと思う。

(2010年 2月 23日)

[Text by 大原 雄介]