山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ
ソニーのデジタルペーパー「DPT-S1」を試す
~13.3型、1,200×1,600ドットながら約358gの軽量端末
(2014/9/12 06:00)
ソニーの「DPT-S1」は、13.3型という巨大な画面サイズを持ちながら、約358gという軽量で持ち歩きが容易なデジタルペーパー端末だ。汎用のPDFの表示に対応しており、データの閲覧はもちろんスタイラスペンを用いて注釈の書き込みが行なえるなど、紙の代替としてビジネスや文教の各シーンで活用することを目指した製品だ。
A4サイズのデータをほぼ原寸大で表示できる本製品は、E Ink電子ペーパーを採用することから、電子書籍端末の大画面版のように見なされがちだが、A4のビジネス書類や論文などを「読む」、さらに「書き込む」ことに特化した、いわば紙の代替という位置付けが正しい。同社は電子書籍ストア「Reader Store」を運営しているが、この製品には本ストアを利用する機能が用意されていないことからも、その方向性は明白だ。
本製品はビジネスおよび文教向けの製品ではあるが、一部では個人向けの市場にも流通している。今回はメーカーから機材を借用できたので、製品の特徴をざっとおさらいした後、PDFへの注釈記入を始めとした具体的な利用シーンにおける使い勝手を紹介する。併せて、PDFフォーマットの電子書籍を閲覧する使い勝手についても、ざっと見ていくことにする。
13.3型にしてわずか約358gの軽量ボディ
まずは基本的な仕様を、写真とともに見ていこう。
画面はグレー16階調のE Ink電子ペーパーを採用。本稿読者にはあらためて説明する必要もないだろうが、液晶と違って反射型であるため屋外でも見やすく、目が疲れにくいことが特徴だ。画面サイズは13.3型、実測値で202×270mm(幅×高さ)なので、A4サイズ(210×297mm)の印刷書類の上下左右に若干の余白があることを考慮すると、ほぼA4の等倍表示ができるサイズと言って差し支えないだろう。
解像度は1,200×1,600ドット。Amazonの「Kindle Paparwhite」やソニー「PRS-T3S」の758×1,024ドットに比べると格段に高いが、画素密度はDPT-S1が約150ppi、ほかが約213ppiと、それほど高いわけではない。
一方、これだけの画面サイズにも関わらず、わずか約358gと軽量であることも特筆モノだ。「iPad Air」(約469g)より100g以上も軽く、7.9型の「iPad mini Retina」(約331g)よりわずかに重いだけで、その軽さは突出している。ちなみにE Ink端末で比較すると、かつて販売されていたKindleの大画面版、9.7型の「Kindle DX」は約535.8gだったので、差は歴然だ。厚みは約6.8mmと、現行のタブレットや電子書籍端末と比較してもかなり薄い。
画面は指先のタッチのほか、付属のスタイラスペンでの操作にも対応している。メニューの選択や書類のページをめくる際は指先のタッチ、注釈の記入など細部の操作はスタイラスペン、という使い分けになる。本体右側面にはスタイラスペンを取り付けるホルダーも付属する。
操作ボタンとして、本体右下に電源ボタンを備えるほか、画面下部に「戻る」、「ホーム」、「メニュー」という、Android風の操作ボタンを備える。ちなみにこの操作ボタンはタッチセンサーではなく、カチッという音のする物理的なボタンなので、Androidのスマートフォンやタブレットに慣れていると最初のうちは戸惑う。余談だが、本製品は同社の電子書籍端末「Reader」が歴代受け継いでいるページめくり用のハードウェアボタンもない。
表示可能なフォーマットはPDFのみで、PDFのバージョンは1.7に対応する。Acrobatなどで採用されているAdobeオリジナルの注釈ツールを除けば、PDFの内容は注釈を含めてほぼ表示できることになる。PDFデータを読み込む方法は、USBケーブルでPCと接続して内蔵ストレージ(4GB)に転送するか、microSDカード(最大32GB)を経由して取り込む物理的な転送方法のほか、無線LANを経由してWebDAVサーバーと同期することも可能だ。
バッテリの持ちは1日1時間の利用で約3週間と、E Inkならではのスタミナだ。ちなみにUSBケーブルでPCとデータをやりとりする場合、ケーブルを接続した時点で充電が始まるので、データを頻繁にやりとりしていると利用可能時間も自然と伸びる。
なお大画面かつ薄型ということで堅牢性は気になるところだが、本製品に採用されているE Inkの「Mobius」はある程度の反りには対応するため、割れる可能性がきわめて低い。筐体もマグネシウム合金ということで、使ってみた限りでは剛性も高い。ただし表面がガラスで覆われておらず、突起物を画面に押し当てるなど、画面に対して垂直に加わる力には強くはなさそうだ。輸送時は付属のスリーブケースを使ってやった方がいいだろう。
読む場合は「ドキュメント」、書く時は「ノート」アイコンをタップ
続いて画面表示周りについて見ていこう。
ホーム画面は、左側縦一列に「ドキュメント」、「ノート」、「ワークスペース」といったアイコンが並び、それぞれをタップすると右側にPDFのファイル名が表示される。左ペインにフォルダ、右ペインにフォルダ内の書類という、ごく一般的なエクスプローラと同じレイアウトなので、操作に戸惑うことはない。個々のファイル名を長押しすることで削除などのメニューが表示されるといった作法も標準的なもので、説明書を読まなくとも問題なく使えてしまう。こうしたハードルの低さは好印象だ。
ちなみに「ドキュメント」、「ノート」の違いだが、「ドキュメント」は外部から取り込んだ既存のPDFを開く場合、「ノート」はPDFを新規作成する場合(および新規作成したPDFを開く場合)に利用する。読む場合はドキュメント、書く時はノートをタップするものだと覚えておくとよい。もう1つの「ワークスペース」については後述する。
複数のPDFを開いた作業環境をそのまま保存して呼び出せる
本製品は複数のPDFを同時に開くことを想定して設計されており、画面上部のタブをタップすればPDFを切り替えられるので、複数のPDFを相互に参照するのも容易だ。既存の電子書籍端末は別のPDFを表示するためにはいったん閉じる必要があったので、この操作性はまさに紙の置き換えを意識したものといえる。タブは常時表示されているわけではなく、右上のアイコンをタップすれば表示と非表示を切り替えられるので、見た目もわずらわしくない。
もっとも、タブはいくつ開いても1画面に3つまでしか表示されないので、前のPDFが残ったまま知らず知らずのうちに新しいPDFを開いてしまい、タブを整理しようとして以前閉じたつもりのPDFが残っていて驚くことがある。タブブラウザのように開いているタブの数を表示できる仕組みがあれば、扱いやすくなるかもしれない。
また、これらPDFを複数開いた状態を、1つのセットとして保存できる機能も備える(ワークスペース)。例えば「プレゼン資料」、「売上目標データ」、「予算データ」という3つの書類をセットで保存しておき、一括で開けるのだ。タブブラウザでよく見かける、フォルダ内のブックマークをまとめて開く機能と考えればよい。会議や授業ごとに開くべきPDFファイルの組み合わせをセットとして保存しておき、いつでも続きをすぐに開けるのは便利だ。ちなみにこのセット=ワークスペースは、ホーム画面の「ワークスペース」から呼び出せる。
使っていて多少気になったのは、このホーム画面および「ドキュメント」、「ノート」の一覧で表示される属性が、ファイル名および更新日時だけであること。1行表示を2行表示に切り替えればこれに加えてサムネイルやタイトル、作成者名も表示可能になるが、むしろページ数か、もしくはファイル容量が表示された方が、似たファイル名の区別がつきやすくなるのではないかと感じた。
PDFに対してメモなどを手書きで記入可能。直感的な操作性
続いてPDFに対して実行可能な操作を見ていこう。
PDFの表示中に画面下段のメニューボタンをタップすると、PDFに対して実行できる操作の一覧が表示される。具体的な操作としては画面の回転、送信、目次表示、ページ移動、ブックマーク、キーワード検索などがあり、PDFがパスワード保護されているなどの理由で利用できない書き込み系の機能はグレーアウトした状態で表示される。前述の複数タブを組み合わせて保存する「ワークスペース新規保存」もここから行なう。
また、このメニューを経由せずに実行可能な操作もいくつかある。1つはサムネイル表示で、画面全体をピンチインすることで4分割(2×2)、もしくは9分割(3×3)の表示が可能になる。この状態で前後に移動することもできるので、別のページにジャンプしたい場合はページ移動メニューを使うのではなく、この機能でサムネイルを表示して目的のページを探した方がスムーズな場合が多い。目次による移動と併用するとさらに効果的だ。
また前述したタブのオン/オフ切り替えや、PDFに注釈を表示するツールボックスの表示非表示も、このメニューを経由することなく、画面上の左右隅から直接呼び出せる。PDFに注釈を記入するツールボックスは画面上にフローティング表示される仕組みになっており、これを画面上に表示した状態で、さまざまな注釈ツールを用途に応じて切り替えつつ、PDFに書き込む仕組みだ。
このツールボックスは注釈を記入する位置に応じて邪魔にならないように画面上部もしくは下部に自動的に移動する仕組みになっているほか、手動での移動も可能で、邪魔であれば「×」マークをタップすることで非表示にすることもできる。いったん非表示にしても、必要に応じて画面左上から素早く再表示できるので、操作性は良好だ。
注釈で利用できるのは、手書きの細線と太線(紺もしくは赤)、ハイライトツール、手書き付箋メモ、テキスト付箋メモの7種類で、これに消しゴムツールが加わる。モノクロの画面上では紺および赤はグレーの濃淡でしか見分けがつかないが、PCなどカラーのデバイスで表示するとそれぞれの色で表示される。
これら注釈ツールはPDFのバージョン1.7に準拠しているので、PDF上に保存してほかのデバイスでも参照できる。昨今のPDFビューワの多くはPDF 1.7に準拠しているので、ほとんどのデバイスでは問題なく表示でき、一時的に非表示にしたり、削除するのも容易だ。また本製品で表示している間は、消しゴムツールを使ってなぞることにより、筆跡単位で消すこともできる。使ってみた限りでは追従性も高く、まさに手書きの感覚と言っていいほど直感的に使える。
注意しなくてはいけない点は2つ。1つはPDFに書き込んだ手書き文字の、注釈上での扱いだ。手書きで書き込んだ文字は鉛筆ツールで記入した注釈として扱われるが、筆跡単位でバラバラに扱われるのではなく、記入した筆跡が時系列単位である程度まとまって保存される。そのため、例えば手書きでメモを取っている最中に、画面の離れた位置にちょっと文字を書いた場合、書き込んだエリアがまったく離れていても、1つのブロックとして扱われてしまう。
そのため、このPDFを別のデバイスで開き、一部の手書きメモを非表示にしようとすると、時系列的に同じタイミングで書き込んだ描画内容もまとめて非表示になってしまう。別のブロックとして扱われるタイミングをなんらかの方法で調節できればよいのだが、現状では明確な機能としては用意されていないようだ。本製品で書き込んだ注釈をあとから別デバイスで加工したい場合は注意した方がよいだろう。
もう1つ、どちらかというと本製品ではなくAcrobatなど外部ツールの問題だが、PDFのバージョン1.7に含まれない注釈は表示できない点も注意が必要だ。例えばAcrobatに用意される注釈ツールにはPDF 1.7に含まれない独自のツールもあるため、これを本製品で表示しようとすると、該当箇所が真っ白になってしまう。PCで注釈を書き込んだPDFを本製品に持ち込む際に起こりがちな問題なので、気を付けた方がよいだろう(もっともこれは本製品以外のデバイスでも概ね同じ症状なのだが)。
PDFはネットワークドライブへの手動アップロードや同期が可能
注釈を記入したPDFは、内蔵ストレージやmicroSDに保存することも可能だが、無線LANを経由してWebDAVサーバーにアップロードすることで、ほかのデバイスからの参照が容易になる。WebDAVサーバーは自前で立てても構わないし、WebDAVに対応したオンラインストレージサービスを用いてもよい。今回はWebDAVに対応したオンラインストレージサービス「BOX」を用いて、手動でアップロードする方法を紹介する。
利用にあたっては、まず設定画面の「ネットワークドライブの設定」であらかじめサーバー名やポート番号などを登録しておく。次いでPDFを表示した状態でメニューから「送信」を選ぶとWebDAVサーバーのフォルダを選択する画面が表示されるので、フォルダを選んでアップロードを実行する。特に難しい操作はなく、アップロードが成功したか否かも表示されるので分かりやすい。
これらの操作手順は、さきほどの注釈ツールの動画の最後でも紹介しているので参考にしてほしい。なおアップロードしたファイル名は「元ファイル名_from_dav_年月日_時分秒.pdf」となり、元ファイルとは明確に区別される。
なお今回は試し切れていないが、手動での送信以外に、「ドキュメント」内のPDFをまるごとネットワークドライブと自動同期する設定も行なえる。こちらであればどのドキュメントを更新したかを意識せずに全てが最新版に置き換わり、かつステータスバーで同期結果も表示されるので扱いがさらに容易になる。言うまでもないが、本製品側でドキュメントを削除するとネットワークドライブ上のドキュメントも削除されるので、その点は気を付けるようにしたい。
ちなみにネットワークに関連したところでは、本製品はWebブラウザも搭載しており、無線LANを経由してインターネットへの接続も行なえる。もっとも画面が白黒である上、本製品のインターフェイスがあまり縦スクロールに適していない(プレスしたまま上下方向にドラッグするしかない)ので、あくまでおまけの機能と捉えておいた方がよいだろう。
電子書籍PDFの閲覧は十分に実用的。画像が多い場合は注意
続いて、電子書籍をはじめとしたデータの閲覧について見ていこう。
冒頭で述べたように、本製品はReader Storeを始めとする電子書籍ストアとは連携しないが、PDFの電子書籍データや本を自炊したデータは問題なく閲覧できる。画面サイズは漫画週刊誌などのそれに等しいため、6型の電子書籍端末では小さすぎて読みにくい文字でもきちんと表示される(もちろん元データの解像度にも依存する)。サイズだけで言うと、むしろ電子書籍の閲覧には大きすぎるくらいだ。
ページめくりの操作はスワイプで行なう。スワイプして押したままにすると早送りになる点や、タップによるページめくりには対応しない点などは、Readerと共通する挙動だ。
ページめくりのスピーディさは、PDFに依存する。例えばパブーで販売されていた「東京トイボックス 1巻」のPDF版は大きな遅延もなくページめくりが可能だが、DOS/V POWER REPORTがダウンロード提供しているPDF版を表示した場合、あるページはすんなりめくれるが、別のページでは読み込み待ちのアラートが表示されるなど、スムーズに読み進めるのが難しい。試した限りでは、画像を含むページが一様に重いわけではなく、個々のページの容量や、データの作り方が大きく影響するようだ。
ちなみに、本製品に近い1,080×1,440ドットの解像度を持つE Ink端末「kobo Aura HD」で同じPDFを読み込んだ場合も、ほぼ類似の症状が見られるので、どちらかというと解像度が高いケースで共通して起こりがちな問題なのかもしれない。とはいえ、自炊したデータでも起こりうるだけに、ユーザーの側からするともう少し性能が欲しいのが率直なところだ。
また、本製品を電子書籍の閲覧に使う際のもう1つの問題として、見開き表示ができない点が挙げられる。画面がA4サイズということは、見開きに対応していればA5サイズの本を見開きにするのとほぼ同じサイズで表示できるわけで、その機能が備わっていないのは少々もったいない印象だ。
もっとも一方で、PDFに設定された左綴じ/右綴じの方向は正しく反映されるほか、左綴じから右綴じへの切り替えも可能なので、縦書きのドキュメントでも正しい方向で表示できるのはありがたい。少なくともKindle DXのように右綴じ/左綴じの向きとページめくりの方向が一致しないといったストレスはなく、電子書籍のビューワとして使うにも十分に実用的だ。4GBの内蔵ストレージに加えて32GBまでのmicroSDカードも利用できるので、DRMなしのPDFの電子書籍を多く所有しているユーザーであれば、かなり重宝することだろう。
初代モデルながら高い完成度が光る。さらなる進化に期待
試用期間中、実際の商談や打ち合わせでも何度か本製品を試す機会があったが、極めて実用性が高い製品という印象を持った。個人的にポイントだと感じるのは「既存のビジネス文書の上から書き込める」ことだ。まっさらなページにメモを記入するスタイルが主のシャープの電子ノートやキングジムのブギーボードと異なり、本製品は既存のビジネス文書の上からがんがん書き込んでいける利点がある。
タブレットでもアプリ次第で近いことはできるとは言え、複数のPDFをまとめて呼び出せ、更新したPDFはネットワークドライブとすみやかに同期できる。さらに大画面かつ軽量で目も疲れにくく、バッテリも長寿命で1度の充電で3週間近く使い続けられる点など、本製品の強みは多岐に渡る。「資料は資料、メモはメモ」と完全に分かれたほかのツールとは一線を画す、紙で行なっていた作業の置換にぴったりのデバイスといえる。
ただ、普及にあたっての課題はいくつかある。まずはなんといっても価格。現在本製品の個人向け価格は10万円をわずかに切った程度で、おいそれと買える額ではない。E Inkとソニーの共同開発による特殊なE Inkのパネルは、おそらく原価の相当な割合を占めるはずで、ロットがはけない状況下で価格を下げるのは容易ではないだろうが、逆に言うと法人市場である程度の台数がはけたあとは、価格が下がる余地があるかもしれない(と思いたい)。家庭向けは対象外としても企業内個人については少なからずターゲットに含まれるはずなので、それらのユーザーが手が出る価格にまで下がることを期待したい。
もう1つは性能で、自炊本を読むのは本来の用途ではないので除外するにしても、スキャンした過去の論文や書類など、自炊と同様のプロセスで紙から生成したスキャンデータを快適に閲覧するには、ページめくりなどでもう少しきびきびした動きがほしいと感じる。CPUやメモリなどハードウェアレベルで強化されるのが最善だが、タップしてから読込中を示すマークが出てくるまでのタイムラグをもう少し詰めるだけでも、体感速度は変わってくるはずなので、ソフトウェアでのチューニングを期待したい。
ほかに考えうる方向性としてはカラー化だろうか。本製品はモノクロの電子ペーパーであることが長寿命および見やすさに密接に関わっており、やみくもにカラー化することでそれら特徴が消えてしまうのは本末転倒だが、PDFに注釈を記入する際、紺や赤といった一部の色は、やはりあるに越したことはない。もし将来的にカラーE Inkが登場してくれば、例えば表示色を黒+赤に絞るといった形で、これらの折り合いがうまくつく可能性があるかもしれない。
ともあれ、新機軸のデバイスやガジェットは、機能や操作性がいまいちこなれていない、ズレた部分があることが少なくないが、本製品はそれを感じさせない。発売からこれまで9カ月間、ソフトウェアは何度かバージョンアップしているとのことで、その間に徐々に完成度が高まっていったのかもしれないが、少なくとも現時点では確実に、ビジネスシーンで威力を発揮する製品に仕上がっている。フェアや展示会など、本製品の実機に触れるチャンスに遭遇したら、その画面の大きさや軽さ、さらには書き心地などを体感してみてほしい。