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元麻布春男の週刊PCホットライン

SCSIホストアダプタは必要か?



■SCSIホストアダプタをどうするか

 前回は、新しい仕事マシンへの移行について触れたが、あの時点では決めかねていたことが1つある。それはSCSIホストアダプタをどうするか、ということだ。すでに述べた通り、筆者の仕事マシンは、ハードディスク、DVD-ROMドライブ、SuperDiskドライブの3デバイスがATA/ATAPIインターフェイスを利用して接続されている。言い換えれば、SCSIの内蔵デバイスは筆者の仕事マシンには存在しない。

 にもかかわらず、これまでずっと(Windows 3.0とISAバスの時代から)筆者の仕事マシンには、常にSCSIホストアダプタがインストールされてきた。Windows 95 OSR2の時点でSCSIのハードディスクやCD-ROMドライブの利用は止めたものの、今なおSCSIデバイスとしてMOドライブ(230MBタイプ)とテープドライブ(DDS-2)が残っているからだ。

 正直言って、これらのデバイスを使い続ける限り、仕事マシンにはSCSIホストアダプタが永久に不可欠だと思っていた。幸い、かつてSCSIハードディスクを利用していた時代の名残で、手元にはFast SCSIやUltra SCSIに対応したPCIのホストアダプタがたくさん余っている。わざわざ買う必要はほとんどない。時に拡張スロットの不足を感じることもあるものの、CPUの高速化でハードウェアDVDデコーダカードが不要になる、ビデオカードをTVチューナー一体型のAll-In-Wonderに変えたなど、拡張スロットが空く要素もある。現在、特に困っているというわけではない。


■USB-SCSIアダプタという選択肢

 だが最近になって、SCSIホストアダプタを外す誘惑にかられた。USB-SCSIアダプタの存在がその理由だ(筆者の手元にあるのはアダプテックのUSB Connect 2000だが、他社からも同様な製品がリリースされている)。これを用いれば、SCSIデバイスをUSBポートにホットプラグすることが可能になる。実は通常のSCSIホストアダプタでもこれに近いことは可能(起動時にSCSIデバイスの電源が入っていなくても、起動後にデバイスの電源を入れ、デバイスマネージャで「更新」ボタンを押すとWindows 98はちゃんとデバイスを見つけてくれる)だが、これは規格外の使い方。どんなデバイスであろうと、何回脱着を繰り返しても大丈夫というわけにはいかない。規格上ホットプラグをサポートしたPlug and PlayのUSBの方がベターなのは当然のことだ。

 もちろん、何でもUSB-SCSIアダプタを使えば良いというわけではない。現行のUSBは、最大データ転送速度が12Mbpsに過ぎず、ハードディスク等の高速なデバイスには不向きだ。筆者がSCSIホストアダプタの置き換えを考えるのは、利用するデバイスが比較的低速なデバイスに限られるからだ。

 しかし結論から言うと、今回の仕事マシンもPCIのSCSIホストアダプタを内蔵することになった。確かにDDS-2ドライブとMOドライブ以外は使わないのであれば、USB-SCSIアダプタにしてしまっただろう。しかし、仕事マシンのハードディスクをバックアップするのに、DDS-2では容量的に辛くなりつつある。現在、仕事マシンのフルバックアップにはテープ2本が必要で、作業効率が悪くなっている。予算さえ許せばDDS-3へとアップグレードしたいところなのだが、DDS-3になると今度はUSBの最大データ転送速度がネックになってくる。すぐにDDS-3ドライブを購入するという予定はないものの、一応アップグレード可能な体制にしておきたい。

 もう1つ、SCSIホストアダプタをインストールしておこうと考えた理由は、All-In-Wonder 128の存在だ。All-In-Wonder 128はソフトウェアによるリアルタイムMPEG-2ビデオキャプチャができる。画質的にはVHS級だと思うが、圧縮率が良いため、ビデオデッキ代わりにPCを使うことが夢ではない(実際、予約録画さえできるのだが、キャプチャ終了後にキャプチャソフトが自動的に終了してくれない、TVがつけっぱなし状態になるのが難点ではある)。1時間の録画(キャプチャ)が、初期設定の最高画質で約3GB、標準画質で1.5GB程度の容量があれば可能なのだ。

 ここまでくると、ビデオキャプチャの実用性はかなり高い。ひょっとするとキャプチャしたビデオを残したいと考えることさえあるだろう(編集する気はないのだが)。だが、いくらハードディスクが安くなったとはいえ、こうしたデータをいつまでもハードディスク上に置いておくわけにはいかない。PCをVHSデッキ代わりに使うのであれば、保存するリムーバブルメディアが不可欠だ。そして、現時点で数GB級の容量が必要となれば、DVD-RAMドライブ以外に選択肢はない。今までDVD-RAMドライブを欲しいと思ったことはなかったのだが、ひょっとすると近い将来欲しくなるかもしれない。

 もちろん、DDS-3ドライブにせよDVD-RAMドライブにせよ、理想をいえばUSB 2.0で外付けにしたい。しかし、USB 2.0に対応した製品が登場するのは、現在明らかになっているロードマップ通り順調にいったとしても来年の後半。確実を期すと、21世紀というのが順当なところだろう。それより前に、DDS-3ドライブやDVD-RAMドライブを使いたい(特に外付けデバイスとして)と思えば、接続インターフェイスはSCSIしかない。ならば、SCSIホストアダプタを最初から組み込んでおいた方が無難、という判断を下したのである。

 筆者はずいぶん前に、クライアントPCにもうSCSIは要らない、という判断を下した。この判断は、技術という観点では今でも正しいと思っているが、手持ちのハードウェア資産や、提供される製品ラインナップ(ATAPIのDDSドライブは、技術的には可能だが、製品としては存在しない)を踏まえると、なかなかSCSIホストアダプタを外せない、というのが筆者の現実である。

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('99年12月1日)

[Text by 元麻布春男]


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